ニュース
2025/11/28 その他
大学研究室訪問(東京大学)
11月17日(月)東京大学大学院 医学系研究科 生物統計情報学講座 小出大介教授の研究室を訪問しました。参加者は、3年生18名、4年生2名、5年生3名、総勢23名という大人数でした。今回は、本郷キャンパスの中にある医学部棟および、東大病院内の研究室を見学させていただきました。

はじめに、東京大学医学部健康総合科学科 学科長 松山裕教授より、健康総合科学科についてのご説明をいただきました。「健康」の重要性が叫ばれる現代、臨床医学だけでは、すべての人の「健康」を守ることはできません。増え続ける医療費問題を考える「医療経済」、医療にかかわる政策決定や現場での倫理判断の基礎となる「医療倫理」など、「医学」だけを学ぶのではなく、幅広い学問分野との関わりを持ちながら、深く人々の「健康」について考える学科であるとご説明いただきました。学問とはすべて繋がりを持つものであるという先生のお言葉は、本校の小石川教養主義と通じるものがあり、生徒たちも実感を持って納得している様子でした。
次に、小出先生から生物統計学分野の研究内容について教えていただきました。新薬が世に出るまでには多くの臨床試験が不可欠です。試験の結果を統計して分析する生物統計学は今でこそ必須の学問ですが、ほんの50年前まで、日本は生物統計分野で後れをとっていたと聞き驚かされました。また、医療関係のデータベースも不足していたそうで、小出先生をはじめとする様々な方の研究のおかげで現代の安全な医療が保たれているということを知りました。
その後、東大病院内にある研究室および学生室を見せていただきました。学生室では、「ここで寝泊まりしながら研究をしている」との話を聞き驚きつつも、そんなキャンパスライフに憧れている様子でした。
病院を出たあとは、キャンパス内を案内していただきました。秋晴れの本郷キャンパスは紅葉も美しく、解散後も生徒たちは思い思いにキャンパス内を散策していました。
貴重なお時間を割いて研究室の案内や研究内容のご説明をしてくださった小出先生、松山先生、お手伝いくださった研究室の皆様、本当に有り難うございました。

《参加生徒の感想》
・人々の健康に寄与するのは医師と病院だけでは済まないという学科長のお話が印象に残った。近年疫病構造も変化していると聞くが、そのような状況にも柔軟に対応可能な医療×〇〇の視点は、今後重要になると思った。今回お話してくださった小出先生の生物統計の分野も、データや統計、数学に興味がある自分にとって、新しい一つの道のように感じた。
・自分の将来の夢は医者なので、医学部の教授から話を聞けるというめったにないチャンスを生かしたいと思い参加した。医療がとても発達している日本にも、生物統計とデータベースが足らないことは衝撃であった。また、因果関係の間違いや交絡バイアス、ランダム化などの話に加えて、プラセボの実験の話は今まで知らなかったが、今後の自分の研究活動やフィロソフィーの授業においても、非常に大切なことになると感じた。
・見学前は生物統計学という分野の存在を知らなかったが、見学を経て生物統計学やその道の方々が成し遂げてきた実績は、チーム医療や私たちの健康な暮らしを見えにくいところから支えてくれていること実感した。将来の進路の選択肢の一つとして考えてみようと思った。
・今回、大学の研究機関としての一面をよく見ることができた。研究室内には、個人の研究に集中するための空気や環境があった。見学中、院生の方がずっと話しかけてくださった。おかげで人生の選択肢が増やせたと思う。