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東京都立両国高等学校・附属中学校

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2024/11/15 高校生

両国高校白熱教室!総合的な探究の時間:国際平和・安全保障研究TEAM中間発表

11月14日(木)5時間から7時間目、高校1年生、高校2年生は、総合的な探究の時間の中間発表会を行いました。

各TEAMごとに分かれて、会場ごとにそれぞれご専門の講師の先生をお招きして、中間発表がスタート。

国際平和・安全保障研究TEAMでは、東京未来大学の田澤佳昭先生をお招きしました。

本校卒業生も参加し、明治大学法学部2年生の学生がチューターとして参加してくれました。

 

午後1時50分頃に始まった発表会は、休憩をはさんで4時20分頃まで、約2時間半にわたっての白熱した発表会となりました。

 

【発表テーマ】

・難民問題とウクライナ戦争(高校1年生)

・領土問題~台湾問題を中心に~(高校1年生)

・戦争をなくすには~病院が攻撃される事態を止めるには~(高校1年生)

・国際平和を維持するための理想的な国際機関とは(高校2年生)

・日本の外国人労働者の課題と展望(高校2年生)

・カナダにおける言語問題(高校2年生)

・アメリカ合衆国の政権と紛争の関り(高校2年生)

・台湾有事と日本有事(高校2年生)

・サライェヴォ事件が起きなかったら第一次世界大戦は起きなかったのか(高校2年生)

・兵器の発展と世界史(高校2年生)

・ソヴィエトの歴史~完全に人間から主体性を奪うことは可能なのか?~

 

【発表例】

 

国際平和を維持するための理想的な国際機関とは(高校2年生)

私たちは、国際刑事裁判所(ICC)や国連決議といった国際組織が、必ずしも効果的に国際的な人権侵害を解決できていない現状に疑問を抱き、理想的な国際機関の在り方について考察を進めています。この研究の目標は、現在の国際社会が直面する紛争解決において、どのような取り組みや機関が有効であるのかを提言することです。私たちは、「保護する責任(R2P)」という概念に注目しました。R2Pは、国家が自国民を保護する責任を果たさない場合に国際社会が介入する責任を持つというもので、2001年にカナダ政府が提唱した「介入と国家主権に関する国際委員会」によって提示されました。この概念には、予防する責任、対応する責任、再建する責任の三つの段階が含まれており、国家がその責任を果たさない場合には国際社会が介入するという新しい視点が示されています。

具体的な適用例として、2011年のリビア紛争が挙げられます。リビアでは、R2Pに基づいて国際社会が初めて軍事的介入を行い、当時のカダフィ政権を崩壊に追い込みました。本来の介入目的は大量虐殺の防止でしたが、最終的に政権打倒に至ったことから、この行動が国連安保理の意図を超えているのではないかと指摘されています。このように、R2Pの適用には多くの課題が残されており、単に人道的介入としての意義だけでなく、その後の影響や結果についても慎重な検討が求められています。

また、コンゴ民主共和国の安定化ミッションや南スーダンにおけるミッションなども、R2Pに関連した事例として挙げられます。しかし、リビア同様、これらのケースでも介入の成果と限界についての議論が必要です。これらの事例を通じて、R2Pの実践上の課題やその法的・道義的な範囲について明確にし、理想的な国際機関のあり方を探る必要性が浮かび上がってきます。さらに、R2Pと類似する概念である住民保護(POC)についても、今後調査を行い、その有用性や効果について検討する予定です。

この研究を通じて、私たちは理想的な国際機関の在り方を考える上で、内政不干渉や国家主権がなぜ重要なのか、また主権と人権の優先度をどう定めるべきかについても検討を深めたいと考えています。国際社会が人権保護のために国家の主権を超えて介入する場合、その正当性や制限はどうあるべきか、またそれが国際機関の権力構造にどう影響するかについても慎重に考える必要があります。今後、私たちは田村教授との追加インタビューを通じて、国連憲章が想定する戦争の分類や、国際機関が人道的理由に基づく介入を行う際の基準などについて理解を深め、さらなる分析を進めるつもりです。

 

 

戦争をなくすには~病院が攻撃される事態を止めるには~

本日は、私たちの研究班が取り組んできた国際紛争に関する調査についてお話しさせていただきます。私たちの研究は、国際機関の役割と戦争の影響に焦点を当て、特に冷戦後のアメリカの東アジア安全保障政策や国際協力における課題について深く掘り下げてきました。

私たちの研究の目的は三つに分けられます。一つは、国際紛争への対応と、国際機関の役割を理解することです。二つ目は、戦争が及ぼす影響を多角的に考察すること、そして三つ目は、これらの視点を基にした新たな研究の進行です。この目的を達成するために、私たちは文献調査に始まり、講演の参加やフィールドワークを通じて得られた知見を研究に反映させています。

最近では、東京未来大学の田澤先生から、冷戦期とその後のアメリカの東アジア政策について学びました。特に、アメリカとソ連の冷戦時代における対立と、アメリカの中国に対する関与についての講義は非常に印象的でした。また、講演を通じて、戦争の影響がいかに多面的であるか、そしてそれに対する国際的な対応がいかに重要かを再認識しました。田澤先生は、特にソ連とアメリカの軍事的封じ込め政策や、第二次世界大戦後の核保有による緊張状態について説明していただきました。

また、私たちの研究は、実際の現場に足を運び、さまざまな視点からの意見交換を行うことにも力を入れています。ウクライナについては、ウクライナ大使館のインナ・イリナ様からの講演を受け、戦争の影響を深く掘り下げました。ウクライナの文化や日常生活の中で、戦争がどのように人々に影響を与えているのか、そしてその結果として生じた人道的な問題についての知見を得ました。さらに、国際連合の役割について、順天堂大学の玉村先生の講演を聴きました。先生は、国際紛争における国際機関の介入について、その限界と可能性を慎重に議論されました。

私たちの研究の一環として、実際に戦争における医療機関への攻撃の問題にも取り組んでいます。病院への攻撃は国際法で禁止されていますが、それが現実には頻繁に行われているという問題に直面しています。国際法が守られない現状を前に、どのように平和維持活動を強化し、医療機関を保護するかが重要な課題となっています。私は、特に紛争地での医療支援がどのように行われるべきか、そしてその支援がどのように国際機関や他国の介入を受けるべきかについて調査を進めています。

また、私たちの研究班は、平和維持活動(PKO)やその後の人道支援活動が果たす役割についても議論を重ねています。コソボの事例に見るように、PKOが成功裏に行われた一方で、他の地域では介入が政権転覆を招く結果となることもあります。このような事例を踏まえ、国際機関がどのように効果的に介入できるか、その課題を明確にすることが重要です。

最終的に、私たちの研究は、国際協調をどのように推進するか、そして各国の立場が交差する中で、いかにして平和を維持するかというテーマに集中しています。特に、資金や物資が限られた中で、どのように支援活動を行い、戦争や紛争の影響を最小限に抑えるかについて、さらに研究を深めていきたいと考えています。国際紛争の影響を受けた人々に対する支援が続く中で、私たちの研究がその解決に向けた一助となることを目指しています。

私たちの研究は、冷戦後の国際秩序とその変化、そして現代における紛争解決策について、さらなる理解を深めるための出発点となるものです。これからも、多角的な視点を持ちながら、平和維持活動の強化に向けた具体的な方法を模索していきたいと考えています。

 

【これまでの活動振り返り】

 

国際平和・安全保障研究TEAMここまでの活動を振り返ってみましょう。

 

https://www.metro.ed.jp/ryogoku-h/news/2024/06/5_30.html

6時間目と7時間目の「総合的な探究の時間」に、各研究チームごとの研究テーマ構想発表会が行われました。

「国際平和・安全保障研究チーム」では、6時間目に1年生13名、7時間目に2年生15名が、構想発表を行いました。

明治大学法学部の大学生(卒業生)がチューターとして参加してくれました。

生徒は、机を扇形に並べて、発表者の発表を真剣に聞いていました。

 

田澤佳昭先生(東京未来大学)「冷戦期と冷戦後のアメリカの東アジア安全保障政策」

https://www.metro.ed.jp/ryogoku-h/news/2024/06/6_20.html

この日の総合的な探究の時間では、各研究TEAMに分かれて「ゼミ別講演会」が実施されました。

「国際平和・安全保障研究TEAM」では、東京未来大学の田澤佳昭先生をお招きして、「冷戦期と冷戦後のアメリカの東アジア安全保障政策」というテーマで90分間の講演を聞きました。

大学と同じ90分の講義とあって、普段は50分の授業を受けている高校生にとっては、一足先に大学生気分を味わう機会ともなりました。講義後は、多くの質問が出ていました。

「研究をするうえで大切にしていることは何ですか」(1年生女子)

「中国ともっと歩み寄ったり対話をしたりするにはどうすればよいのでしょうか」(2年生女子)

など様々な質問に、田澤先生は丁寧にわかりやすく答えていらっしゃいました。

 

https://www.metro.ed.jp/ryogoku-h/news/2024/07/newsentry_215.html

7月11日(木)、総合的な探究の時間に、講演会「東京大空襲を語り継ぐ」を行いました。

8歳のときに東京大空襲をご経験された二瓶治代さんを講師としてお招きしました。

東京大空襲について、本校の近くにある東京大空襲・戦災資料センターからお借りしたDVDを視聴したあと、二瓶さんが登壇しました。

79年前、実際に空襲の現場をご経験された二瓶さんのお話に、生徒は真剣に耳を傾けていました。

 

https://www.metro.ed.jp/ryogoku-h/news/2024/07/newsentry_217.html

7月22日(月)、高校1年生13名が、「総合的な探究の時間」のフィールドワークとして、在日ウクライナ大使館を訪問しました。

三等書記官のインナ・イリナ様から、館内を案内していただきました。

ひとつひとつの質問に丁寧に答えて下さり、最後はプレゼントも頂きました。

 

https://www.metro.ed.jp/ryogoku-h/news/2024/09/newsentry_229.html

9月5日(木)総合的な探究の時間に、ウクライナ大使館講演会を行いました。

7月22日(月)に生徒がウクライナ大使館を訪問した縁で、実現した今回の講演会。

ウクライナ大使館から、三等書記官インナ・イリナ様をお招きして、約1時間半にわたってご講演を頂きました。

高校1年生と高校2年生が参加しました。

 

https://www.metro.ed.jp/ryogoku-h/news/2024/09/newsentry_236.html

9月26日(木)7時間目、高校1年生と高校2年生の総合的な探究の時間、

国際平和・安全保障研究TEAMでは、国連UNHCR協会の講演会を行いました。

難民について研究している高校2年生のグループの要望を受けて実現した今回の講演会。

講師の天沼耕平様のお話を、高校1年生と高校2年生の約30名の生徒が、真剣なまなざしで聞いていました。

 

https://www.metro.ed.jp/ryogoku-h/news/2024/10/newsentry_245.html

10月25日(金)、総合的な探究の時間のフィールドワークで、高校1年生3名が東京未来大学の田澤佳昭先生の研究室を訪れました。

 

https://www.metro.ed.jp/ryogoku-h/news/2024/11/10_31.html

 

https://www.metro.ed.jp/ryogoku-h/news/2024/11/newsentry_247.html

 

3月の最終発表に向けて、これからも活動を続けていきましょう!

 

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