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2026/08/25 在校生

【理数研究拠点校】合同巡検で八丈島の大自然の恵みと脅威を体験!!

 2026年7月26日~29日に、3〜5年生の有志の生徒20名大泉高校附属中学校の生徒20名の計40名で、八丈島巡検2026を実施しました。

 昨年に引き続き(昨年度の様子はこちら)八丈島での探究フィールドワークでしたが、2校合同で宿泊巡検を実施するのは初めての挑戦で、同じ都立中高一貫校と連携して学校間横断での実施となりました。

 今年は2025年10月の台風災害を一つのテーマに、八丈島の大自然を体験しました。

 

八丈島巡検2026.PNG

 

 

【0日目】26日(日)

 21:00に竹芝客船ターミナルに集合しました。夜の集合でしたが、時間通りに全員が集まることができました。

 大泉高校附属中学校の生徒と合流し、船の出発を待ちます。

八丈島巡検2026①

 

 22:30発の東海汽船「橘丸」にて八丈島に向かいます。

 島巡検の魅力は、夜のフェリーで東京を旅立つことです。東京湾を進む船内からは東京湾の夜景とともに、レインボーブリッジを見上げたり、工業地帯のガントリークレーンや羽田空港に発着する飛行機の隊列をみたりと夜の船旅を楽しみました。

 甲板ではスカイツリーと東京タワー、レインボーブリッジをバックに40人で集合写真も撮りました!

八丈島巡検2026②

八丈島巡検2026_集合写真(橘丸②)

 

 

【1日目】27日(月)

 5:00に三宅島6:00に御蔵島に停泊しました。三宅島到着前には船から日の出を眺めました。

 御蔵島は就航率の低い港ですが、今日はなんとか港に船をつけて観光客や島民が乗下船していました。

 船内レストランで朝食を食べる生徒もおります。

八丈島巡検2026③

 

 

 9:00に八丈島底土港に到着し、下船しました。港には八丈高校の佐藤さん(以前、三鷹中等でも勤務されていた方)、宿の女将さんがお出迎えをしてくれて、荷物を宿まで車で運んでもらいました。

八丈島巡検2026④

 

 その後、宿舎で休憩をとり、くさや工場の「長田商店を訪れました。

 店主の長田さんにお話をいただき、八丈島のくさやの特徴やくさやの伝統の継承に向けて、様々な工夫をされていることを知りました。八丈島のくさやの特徴は、①新鮮なハマトビウオ(ハルトビ)を使っていること、②豊富な降水量と雨水を蓄えることのできる島の森林、③26年前から継承されている菌 の3つです。

 実際にくさやの試食もいただき、全員が食べることができました。昔は200件のほどのくさや工場があったものの、現在は6件まで減少しており、東京都の補助がなければくさや業はなくなってしまうそうです。

 長田さんのくさやに対する情熱に想いをはせつつ、島の一大産業にも気候変動や後継者問題などの課題があることを学びました。

八丈島巡検2026⑤

 

 

 12:00頃に東京都島しょ農林水産総合センター八丈支所に向かいました。

 ここでは、若手の職員の方々から、このセンターの役割や八丈島の水産業について教えていただき、漁業や八丈近海の魚介類に関する概要や現状を解説してくださいました。

 50年ほど前はトビウオやムロアジの漁獲量の割合が大きかった一方で、近年ではキンメダイやマグロ類の漁獲量の割合が大きくなり、漁獲される魚種も変化していることを学びました。また、黒潮の蛇行がに様々なパターンがあること、黒潮の流れ方が漁業に大きく影響していること、このセンターでつくられている「海洋ニュース」が漁業者に重宝されていることなどを学びました。

 庁内で昼食(お弁当)もいただきました。八丈島産のものを使ったスペシャルメニューを作っていただきました。

八丈島巡検2026⑥

 

 

 見学後、徒歩で底土海水浴場へ戻り、海辺で海洋生物観察を行いました。島民の多くが利用する海水浴場で、観光客だけでなく、島民も多くいました。

 海はとてもきれいで海底が透き通って見えていました。磯での生物観察は初めての試みでしたが、生物教員の指導の下、カニや小魚などを捕まえることができました。運が良ければウミガメも見られるような海ということで、また機会があれば、ぜひ訪れてほしいです。

八丈島巡検2026⑦

 

 

 15:30に底土港の近くにある戦跡を訪問しました。洞窟のようになっており、ここには戦時中に人間魚雷「回天」が隠れていた場所になります。

 現在はアメリカによって破壊されており、洞窟内部に金属の跡が見えて、その痕跡を垣間見ることができます。佐藤さんから説明もいただき、観光地である八丈島の裏の一面を知ることができました。

八丈島巡検2026⑧

 

 宿に帰る途中に商店に寄り道をして明日の買い出しを行いました。宿に戻ってすぐに入浴をしました。その後、夕食をいただきました。

 夕食後には、本土から八丈島へ移住された方に宿までお越しいただき、講演会をしていただきました。

 役場の約半分が移住者であること、毎年100人くらい人口が減っていっていること、都道と町道の見分け方、島の気候や水源について、地熱発電所やごみの処分についてなど、子どもたちの質問に対して、丁寧にお答えいただきました。

 講演会後も生徒たちはたくさんの質問を聞いてくださり、とても有意義な会となりました。

八丈島巡検2026⑨

 

【2日目】28日(火)

 2日目は、午前中に八丈富士登山(西山)の登山、お鉢巡りを行いました。

 貸し切りバスで宿から中腹の登山口に向かい、7時30分より登山を開始しました。この日は山岳ガイドの河田さんと一緒に八丈富士を登りました。学校で購入したイヤホンガイドを活用して、大泉高校附属中学校と45名で登山を行いました。

八丈島巡検2026⑩

 

 八丈富士は八丈島の北側の成層火山で、約1万年前から噴火活動が活発化し、1605年の噴火が最後とされている活火山です。その山頂は伊豆諸島の最高峰となり、島民は小学校入学前に必ず山頂火口にある浅間神社へ参拝をするために登山をするそうです。

 八巻道路の登山口から登山スタート。はじめは常緑樹の樹木が生い茂っていましたが、次第に低木の植生に移行していきました。気温が低下するとともに風も強くなりました。昨年度もお世話になった山岳ガイドさんから、八丈島の固有種を紹介していただいたり、八丈富士や伊豆七島の神様について、三大鳴鳥、三大霊山、アジサイや明日葉に見分け方などを学びました。

八丈島巡検2026⑪

 

 雲におおわれることもありましたが、1時間ほどで登山道の最高地点まで上がると、快晴の天気が広がり、八丈富士の火口を見渡すことができました!

 眼下には八丈島を見下ろすことができ、八丈ブルーの海と雄大な大自然の大パノラマを体験しました!

 少し休憩をしてから、時計回りにお鉢廻りを行いました。

 右側に火口、左側には麓へ続く斜面を見ながら、細い道を注意しながら歩きました。

 山の斜面を風が吹きつけ、霧の中を歩く場所もあり、神秘的な体験をしました。

 八丈島の固有種などの珍しい植物を観察しながら、854mの伊豆諸島最高峰を経由して、1時間ほどのお鉢廻りを終えました。

八丈島巡検2026⑫

八丈島巡検2026⑬

八丈島巡検2026⑭

八丈島巡検2026⑮

 

 最後に、火口内部へ降りていき浅間神社に参拝に行きました。火口内は、山の斜面とは異なった植生が見られ、山頂斜面との気象条件の違いを体感しました。

 八丈富士は最後の噴火から400年経っており、火口内も植生が豊かに広がっています。火口内は環境省の最上級の保護規定である特別保護区域に指定されており、神秘的な低木林が形成されています。

 30~40年周期で噴火活動を繰り返している伊豆大島の三原山と比べると、植生が見られない場所やパイオニアプラントがようやく定着した群生などを観察することができません。火山の成り立ちや噴火周期と関係する植生の違いを感じることで、島ごとの自然環境の違いを感じることができます。

 浅間神社奥にある木々の隙間からは、火口のさらに奥深くにある大穴を見下ろすことができました。

 ここからの眺めで、火山の壮大さと、信仰の対象としての文化を併せ持つ八丈富士を感じることができます。

八丈島巡検2026⑯

 

 その後、八丈富士を下山し、見晴らしの良い八丈富士ふれあい牧場に立ち寄りました。

 ふれあい牧場では放牧されている牛たちをみることができます。東屋で少し休憩を取り、バスで八丈高校へ向かいました。

八丈島巡検2026⑰

 

 12:30頃に八丈高校に到着しました。八丈高校では、校長先生から島の学校の特色についてお話をいただきました。

 高校の会議室でお弁当をいただきました。

八丈島巡検2026⑲

 

 13:30に八丈高校を出発し、まずはバスで南原千畳敷海岸に向かいました。

 途中にある南原スポーツ公園を通過し、2025年の台風災害によって発生した倒木やがれき、災害ごみなどがグラウンドに積まれた状態を見であることを確認しました。

 いまだに使用できないグラウンドをみると、災害復興の厳しさを体感することができます。

 南原千畳敷では、様々な溶岩地形を観察しました。八丈富士から流れてきたパホイホイ溶岩(縄状溶岩)がたくさん見られます。その模様から溶岩の流向を推測することができます。伊豆大島でもなかなか見られないパホイホイ溶岩の美しい地形に多くの生徒が感動しておりました。

 海岸の岸壁では柱状節理、一部の地層では水蒸気噴火の痕跡である火山豆石も観察することができました。

 また、海岸では、1969年に集団離島し無人島化した八丈小島を望みながら、八丈小島の歴史を学びました。

八丈島巡検2026⑳

 

 バスで大里地域を抜けて三原山(坂上)の集落へ差し掛かります。その途中で車窓から大里の玉石垣を見学しました。

 この石垣は近くの海岸に堆積する玉石を使って積み上げられたもので、高いところでは2mを越えています。この地区にはかつて代官が居住し、島の政治的な中心部であったので、小田原北条氏に関連するともいわれています。

 続いてバスで三原山(東山)の方へ向かい、その間である大坂トンネルで集合写真を撮りました。

 大坂トンネルも水蒸気噴火でできた爆裂火口であり、その斜面の傾斜や八丈富士を臨む島の絶景を体感することができました。

 橋とトンネルが建設される前には、急な崖を上る必要があり、交通の難所でした。

八丈島巡検2026_集合写真(大坂トンネル)

 

 15:00頃に、2025年10月の台風によって土石流の被害を受けた末吉地区に到着しました。

 土石流に飲み込まれた末吉の公民館(海・山・くらし館跡)教職員住宅跡を見学しました。

 それぞれ、末吉小学校(現在の公民館)ご出身で町の町議会議員も務めている浅沼様と、教職員住宅で被災をされた教員の方にご案内いただきました。

 土石流被害によって命を失いかけたつらい体験をしたにも関わらず、その教訓を後世に伝えるため、子どもたちにすべてを話してくれました。

 災害時の情報共有という視点では、スマートフォンが使えない中で、末吉の住民220人全員が全員の動きを知っている関係だったことが死亡者0人という奇跡をつながっていることを学びました。また、平等と公平という観点からもボランティア精神と感情のジレンマについても考えさせられました。

八丈島巡検2026㉒

八丈島巡検2026㉒-1

 

 衝撃的な話もある中で、子どもたちは熱心に耳を傾け、最後は出発時刻ギリギリまで質問をするなど、とても貴重な体験となりました。

 

 続いて、名古の展望台へ向かいました。ここからは三原山の海食崖をみることができ、八丈富士側との地形の違いを体感することができました。

八丈島巡検2026㉓

 

 16:30頃に中之郷地区では、裏見ヶ滝を見学しました。

 本来は滝を裏側から見ることができますが、2025年10月の台風の影響で裏まで歩くことができませんでした。

 ヘゴシダの北限にあたるこの地域では、亜熱帯の植物の曲宗麟を見ることができます。

 滝の裏まではいけませんでしたが、水質調査をしたり、亜熱帯の植生を観察したりと、八丈島ならではの大自然を体感しました。

 なお、川の水は自然のものに加え、近くのため池から流れているのものあり、伊豆諸島で唯一稲作ができる島として、滝の川下で灌漑用水を取り入れていたようです。

八丈島巡検2026㉔

 

 最後は、中之郷地区にある「足湯きらめき」を訪れ、旅の疲れを癒しました。

 足湯の屋根も昨年の台風で吹き飛んでおり、その基礎となる石だけが温泉の周りに並んでおりました。

 無料で入れる足湯温泉で、冬は太平洋上にクジラを見ながら入浴ができる場所です。

 塩味のきいた海性の泉質で、午前中からの疲れが取れて笑顔があふれていました

八丈島巡検2026㉕

 

 

 18:30頃に宿に帰って入浴・夕食を済ませ、明日の探究活動の行程を確認しました。

八丈島巡検2026㉖

 

【3日目】29日(水)

 計画では、朝から班ごとの探究活動を行って八丈島空港に集合する予定でしたが、線状降水帯に伴う大雨によりレベル4土砂災害危険警報が発令されており、安全を最優先して、朝から空港へ移動をすることになりました。

八丈島巡検2026㉗

 

 雨が弱まった合間を利用して徒歩と町営バスで八丈空港へ向かいます。

八丈島巡検2026㉘

 

 八丈空港の待合所を貸していただき、旅の振り返りをしたり、お土産を買ったり、空港のレストランで昼食を取ったりしながら、13:50発の2便を待ちました。

 予定通り飛行機が着陸し、折り返しの便で羽田空港まで1時間程度のフライトでした。

 上空からの八丈島を臨み、3日間の巡検に想いを馳せました。

八丈島巡検2026㉙

 

 15:00羽田空港で手荷物を受け取ったあと、全体で集合し、諸連絡をしたのち、解散しました。

八丈島巡検2026㉚

 

 毎年予定通りにはいかない八丈島巡検でしたが、生徒20名全員が怪我や体調不良もなく、充実した3日間を過ごすことができました。

 本校がフィールドワークを始めて5年目で、八丈島へのフィールドワークは2回目でした。昨年までは、本校のみでの実施でしたが、巡検の魅力を他校へ広めるため今年から2校合同での実施に挑戦しました。

 人数が多いことで、バスのチャーターや宿にも制約がありましたが、見学箇所2か所をローテーションして回したり、八丈富士登山でのイヤホンガイドを活用したりと、様々な工夫をすることで教科等横断型かつ学校間横断型の大巡検を成功させることができました。

 このように何年もかけて段階的にフィールドワークの規模を拡大してこられたことが、今回の八丈島での巡検の成功にもつながっていると感じます。

 現地では、たくさんの島民の方々に解説やガイドを依頼し、書籍やWebサイトでは知りえない生の情報を聞き、実際に実物にふれるたりすることで、八丈島のダイナミックな自然や、歴史を深く学ぶことができました

 一方で、2025年10月の台風災害による水害の恐ろしさや、死亡者0となった地域の団結力、復興の難しさなどにもスポットを当て、島の自然環境と人々の共存について改めて考えることができました

 都内でも起こりうる災害時にどのような判断や行動が求められるのか、子どもたちはひとり一人考えることができました

 たくさんのガイドの方々や民宿の女将さん、八丈高校の先生方など多くの島民の方たちのご協力を得ながら、都内では経験できないような大自然と島で暮らす人々の生活を体感することができました。すべての島民の方々に感謝です!

 現地で本物に触れて感じたこと、現地の人からのお話しなど、東京では体験できない様々な学びを得ることができました。

 また報道されていることと、実際に現場で起きていることのギャップなども知り、今後の探究活動において、実際に自分で見て話を聞くことの大切さ実際の自然や社会現象は、教科書や受験勉強で学ぶような体系的なものではなく、いくつもの複合的な現象で成り立っていることを実感してくれました。

 

 

<生徒の感想>

 

<学んだことをどのようなことに生かしていきたいか>