317本目:【吹奏楽部】校長の見た「閖上2026」 その1
2026/08/28
「閖上」これは何と読むでしょうか、想像してみてください。知らないとなかなか読むこともできないであろうことは容易に想像できます。「閖上」は「ゆりあげ」と読みます。
閖上は宮城県名取市にある海沿いの町の地名です。この場所は2011年3月11日の東日本大震災の際に津波で甚大な被害を受けた場所です。名取市は仙台市と仙台空港の間にあり、仙台市の南東太平洋側に位置しています。東日本大震災の時には仙台空港が津波と液状化に襲われた映像が強く印象に残っています。閖上地区でも多くの犠牲者が出る惨事となりました。
この閖上地区で富士森吹奏楽部は東日本大震災の年、2011年の8月から被災地復興支援の活動を続けています。このブログを見てくださっているふじもりサポーターの皆さんのうち、どれだけの方がそのことに気づいているでしょうか。かくいう私も校長に着任するまで、この活動を知りませんでした。着任1年目は閖上から帰ってくる吹奏楽部ふじもりメンバーを学校で出迎えました。あの時は台風の影響で高速道路が寸断され、長い時間をかけて学校に戻ってきたことを記憶しています。
そして去年は念願かなって、閖上に出向いて吹奏楽部の様子を実際にこの目で見ることができました。
189本目:吹奏楽部の「化学反応」 ~校長の閖上訪問記録~ | 東京都立富士森高等学校 | 東京都立学校
この時のブログでも書いているのですが、何となくやり残してことがあることに気づいていました。それは閖上小中学校でのコンサートの様子が見ることでした。
そこで、周到に日程調整をして、今年はなんとか吹奏楽部のほぼ全行程を見ることができました。昨年同様直前まで本当に行けるかどうかわからないので、別行動で閖上に向かいます。まず最初の目的地は本隊昼食場所のゆりあげ港朝市です。

私が到着した時に本隊はまだ到着していませんでした。どうやら私もつかまってしまった渋滞が原因のようです。本隊の到着を待つ間に歩いて少し先にある海まで行ってみました。この水平線の向こうからものすごい高さの津波が襲ってきたんだということを想像して、とても恐ろしくなりました。

朝市方面に戻る途中の橋の上から右手に震災メモリアル公園が見えます。この写真の真ん中の赤く囲われた塔のような白いオブジェが何を表しているか想像できますか。

この高さがこの地域を襲った津波の高さだそうです。昨年説明を聞いて愕然としたことを記憶しています。左手に目を移すと大型バスが2台停まっていることに気づきました。どうやら本隊が到着したようです。臨機応変にバス車内で昼食を済ませて、まずは名取トレイルセンターでトレイルセンターの説明と講演会です。


今年の講師は名取市立増田中学校の宮本静子先生です。この方は震災当時、犠牲者の出た閖上中学校に勤務されていて、その後の吹奏楽部との交流もずっと見守ってくださっている方です。また御自身も大学時代に吹奏楽部に所属し、閖上中学校でも吹奏楽部の顧問をされていたそうで、毎年富士森の定期演奏会にはお越しくださっている、まさに吹奏楽部ふじもりサポーターです。
お話の中で強く印象に残ったことを2つあげます。
まず1つめ、震災から15年経ったということはふじもりメンバーの中にも東日本大震災の時にまだこの世に生を受けていない人がいるということです。今回のメンバーの中にも数名いるようでした。
2つめは3月11日、その日のことです。その日閖上中学校は卒業式だったそうです。地震直後の校内の写真をいくつか見せてくださいました。その中の1枚に黒板の写真がありました。「3月11日」という日付とその下に日直の名前。その方が津波の犠牲となってしまったとのことです。いろいろなことを想像して、胸が締め付けられました。
宮本先生は、「あの時」何が起こったか、そしてその前後で何が変わってしまったのか、何を失ったか、私たちが想像することしかできない「事実」を目の当たりにしてきた方です。それを踏まえて丁寧に吹奏楽部ふじもりメンバーに話してくださいました。
講演のタイトルは「東日本大震災から15年、閖上と富士森高校吹奏楽部の皆さんとの絆」
そして講演の最後の言葉が「これからもこの絆に感謝して」
宮本先生、貴重な御講演、ありがとうございました。また来年の定期演奏会でお会いしましょう。

トレイルセンターでの講演の後は、震災遺構仙台市立荒浜小学校の見学に向かうグループと閖上中央第一団地でのコンサートに向かうグループの二手に分かれての行動になります。私は昨年もうかがった閖上中央第一団地のコンサートのグループに同行しました。



既に名取市役所政策企画課の方が待ってくださっています。昨年もお目にかかっていた方だったので、すぐにわかりました。仙台空港に向けて着陸態勢に入る飛行機が見える6階の集会室まで自分達で機材を運んで、演奏と交流です。この住宅に住んでいる方々の多くは被災された高齢の方々です。毎年吹奏楽部ふじもりメンバーが来ることを楽しみにしてくださっているそうです。演奏の後にはふじもりメンバーのほうから住民の方々に寄っていって、笑顔とまっすぐな視線で交流しています。その様子と表情を紹介したいところですが、さすがにリテラシーの観点からできないことが残念です。それくらい見ているこちらの表情もほころぶような楽しく温かい交流でした。機材の撤収を終えて市役所職員の方に御挨拶をして、いよいよバスに乗り込もうとする時、いくつかの部屋のベランダからこちらに向かって手を振ってくださる方がいらっしゃることに気づきました。

吹奏楽部ふじもりメンバーもきっと「来てよかった」「来年も来たい」と思ったであろうと想像しています。
この後、荒浜小学校を見学したグループと宿泊先で合流することになっています。私は本隊から離れて仙台市内で宿泊することにしていますので、ひとまずここでバスを見送ってお別れしました。
今日は1日目(8月26日)の様子を紹介しました。次回は2日目(8月27日)の様子を紹介したいと思います。
①今日の富士森上空は薄く雲がかかっていました。少し蒸し暑いです。

②明後日の日曜日は「八王子市内都立学校合同フェスティバル」が八王子市立第五中学校で開催されます。富士森は個別相談・学校紹介ブースの他にステージ発表としてダンス部(10:45)と吹奏楽部(13:45)が出演します。なお吹奏楽部は演奏ではなく、今回の閖上訪問の報告を予定しています。既に申し込みは締め切られているそうですが、来場される方はぜひ富士森ブースとステージを御覧くださいね。明後日は八王子市立第五中学校でお会いしましょう。