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2025/11/19 国際交流
令和7年度都立高校生等の海外派遣研修 グローバルスペシャリストコース(カナダ)
11月9日から15日まで生徒4名が海外派遣研修でカナダ バンクーバーに行ってきました。
内容について、4名が順に記事を書いてお伝えいたします。
【1日目】
バンクーバー国際空港到着後、グランビルアイランドに市場調査のため訪問しました。グランビルアイランドには工房やアーティストファクトリーが多くありアーティストの人達がすごく輝ける街だと感じました。また、工場のセメントコンテナまでアートになっていてエリア全体がアートに包まれていました。日本にもグランビルアイランドのようなアーティストの方々が活躍できるようなアートに包まれた街が増えていけばいいなとも思いました。
市場調査では、私たちの研究テーマである環境問題についてインタビューをしました。初日ということもあり、現地の人に話しかけに行くのはとても緊張しました。しかし、自分から行動しないと何も得ることができず終わってしまうので、緊張などという気持ちは捨て、積極的に店員さんや現地の方たちに話しかけに行きました。現地の方たちはとても優しく丁寧に自分たちの質問について答えてくれました。カナダの多くの人たちは水筒やecoバックを持ち歩くことが当たり前だと話していました。日本人はまだまだビニール袋を買ったりペットボトルを多く使用するので日本とカナダではエコ対してすごく意識の差があることに気付かされました。このインタビューをきっかけにより自分たちのテーマについて深く考えることができました。
1年 渡辺梨月

【2日目 UBC・Chop Value】
ブリティッシュ・コロンビア大学ではバディとなったRounaさんに3種類の伝統文化を体験してもらいました。実践を通して異文化理解と同時に現地での生活や留学、環境問題などの質問でコミュニケーションを充実させることができました。そして日本の文化をまとめたオリジナルブックを見て新しい文化や日本の言葉に興味を持ってくれたことが嬉しかったです。
また、キャンパスツアーでは、建物のデザインで先住民に対してのRESPECTのメッセージ性を伝える建物がとても印象的でした。日本も偏見などを持たず人に接する姿を尊重するべきだなと改めて感じました。Chop Valueでは、私たちの研究テーマである環境問題について深く学ぶことができました。Chop Valueとは使用済み割り箸を回収し、それらをリユーズ商品として新たな形で販売するという活動を行っている会社です。これらのアクションを通して彼らはこの9年間で約1.195万kgのCo2削減に成功していることを知りました。
一方、日本は1日に2700万本の割り箸が廃棄されているのが今の現状です。これからも環境問題に私たちが貢献していくためには小さな意識の積み重ねが重要だと考えます。"無駄"をなくすために、まずは環境にやさしい竹の素材や何度でも使えるマイ箸を持参するなどを意識して過ごしていこうと思います。これをきっかけにみなさんも意識してくれたら嬉しいです。
2年 宮﨑梨愛


【3日目】
3日目は全日空スタッフの方による講話とカナダをグラウスマウテンに訪問しました。午前におこなった全日空スタッフの方には目標を達成するためのヒントについて講話していただきました。外国の方々と接する上で大切なこともアドバイスをいただき、海外で活躍する日本の方のお話は貴重な機会になりました。
それに加え私たちの研究テーマの環境に関する課題でANA(All Nippon Airways)では、プラスチックごみ・使い捨てプラスチック袋(ビニール袋含む)の使用を大幅に削減するため、さまざまな取り組みを進めていることも知ることができました。
午後に訪問したグラウスマウンテンのグラウスとは日本で言う雷鳥のことを意味しています。最初に到達した記録のあるハイカーたちがこの鳥を狩ったことからグラウスマウンテンという名前がついたそうです。標高は約 1,231 m(4,038 ft)。バンクーバー市街地から近いため、“バンクーバーのピーク(The Peak of Vancouver)”という愛称もあります。 また、面白いことに山頂までの途中には約2,830段の階段があるとも言われているそうです。そして、グラウスマウンテンには他の場所と同じように燃えるゴミ燃えないゴミでゴミを分別するのではなく、リサイクルやリデュース、リユース(3R)できるかできないかで分けるゴミ箱もありました。このことからも私は改めてカナダは日本よりも環境に関する意識が定着しているのだと感じました。明日以降はその理由や現地の方々がどう思ってるのか、今カナダに住んでいる大人の人が子供の頃からそういう考え方が当たり前というふうに教えられてきたのかなどより詳しく聞き出すための質問を考えていきたいと思います。
1年 松永千晴


【4日目】
4日目はBodwell 高校で文化交流とスクールツアーを体験しました。
私は中国と韓国にバックグラウンドをもつ生徒に書道を英語で紹介しました。
コミュニケーションを図る際に、言語の壁や国籍の違いを意識的に気にせず、比較的フランクな会話をするように、また、分かりやすく伝わるように意識しました。
書道の紹介だけではなく、進路に関する質問や相手の興味についての質問も行い、振り返ってみたときにバラエティ豊富な会話をすることができたと思います。
スクールツアーの際に、STEMラボにて熱心な生徒さんの姿を実際に見ることができ、私はこの姿に驚きました。私もこんな生徒の姿に対等する熱心さを勉強に打ち込んでいきたいと決意しました。
実際にBodwell高校に通う日本人の方にも質問したり、現地校に通う多国籍の生徒さんたちとも交流し、良い経験になりました。
この経験を私の自分の目標を成し遂げるためのエネルギーにし、周りの方々のアドバイスを受け止めながら、自分のベストを尽くして毎日少しづつ、コツコツと努力を重ねていきます。
3年 黒木美優莉


【5日目】
5日目は日系文化センターとGleneagle Secondary schoolに訪問しました。午前に訪問した日系文化センターでは日系カナダ人の歴史や文化について知ることができました。
特に印象に残った言葉があったので紹介します。「わたしたち日系カナダ人のコミュニティーは補償運動のあいだ、同じようにいつか自分たちの補償運動を実現させたいと望んでいる他の人種の人々から支援を受けました。だからわたしたちは、今日似たようなかたちでの人種差別を受けている他の人々をサポートする責任があるのです。」という言葉です。私はこの言葉を聞いた時に、日系カナダ人の人々が過去に受けた苦しみを「自分たちだけの歴史」で終わらせず、今差別に苦しむ人を助ける力に変えようとしているのだと考えさせられました。自分たちが支えられたからこそ、今度はその支援を返していくという考え方に、深い優しさと責任感を感じました。歴史の痛みを未来の誰かを守る力へつなげようとする姿勢がとても印象に残りました。
次に訪問したGleneagle Secondary schoolでは文化交流と授業体験をしました。文化交流で私は現地の高校生に折り紙を英語で紹介しました。現地の先生方も折り紙にとても興味を持ってくれました。交流時に分からない言葉が出てきた際、そのまま流さずに質問すると丁寧に教えてくれ、曖昧だった理解がしっかり形になっていくのを感じました。小さな疑問にも向き合ってもらえることで、学ぶことへの前向きな気持ちが自然と大きくなりました。
授業体験では英語の授業を受けました。授業を受ける際に日本と違うように感じた部分を紹介します。1つ目は、机が丸く配置されみんなで話し合いやすい雰囲気になっていたことです。2つ目は、ほとんどの生徒が積極的に挙手して発言しており、それぞれが自分の意見をしっかり持っていることを強く感じました。
今回の訪問を通して、歴史や文化を学ぶだけでなく、現地の人と直接交流する大切さを実感しました。日系カナダ人の方々の支え合いや責任感に触れたことで、自分も困っている人や仲間を助ける姿勢を持ちたいと思いました。また、Gleneagle Secondary Schoolでの授業体験では、自分の意見をしっかり伝えることや、わからないことはそのままにせず質問して理解を深める大切さを学びました。これからは、学校や部活でのグループ活動や話し合いの中で、積極的に意見を出し合い、周りの人を支える行動につなげていきたいです。
1年 松永千晴
【6日目】
6日目はスターウォーズやスパイダーマンと言った有名映画のCGを作る Industrial Light Magic という現地企業の日本人スタッフから講演を聞き、後に実際に、会社を訪れました。
彼は24歳の時にプロになったそうで、なかなかプロになると上手くいかないなという時期がくると話しており、またその会社に勤めるスタッフは世界中から Hollywoodに関わりたいという人が集まってくるところで、何度も何度も落ちることもあるし、それでも今日を生きていると言っていました。
私はこの言葉に重みと深い意味を感じました。彼が話をするとき、一切飾る様子はなく、彼が心情を赤裸々に話す度に自然と周りから笑い声が起こり、暖かい雰囲気になりました。
終盤、様々な人種の方々と関わる中で気をつけていることは何ですかというような質問が投げかけられました。それに対して「あえてあまりないですね」との答えでした。それを聞いた通訳の方が「きっと心が広いんだと思います」と仰っていましたが、私も共感し本当にそうなんだろうなと感じました。また、そんなに深く考えなくて良いというような言葉にも聞こえました。
母国も含める他国籍の人間と関わるうえで、ああしなきゃいけない、こうしなきゃいけないというのはなく、あまり堅くならずに、ただ肩の力を抜いてリラックスし、ありのままの自分でいることが大事という風にも捉えることができるとも思いました。
最後のメッセージとして、「身近な人を大切に」ということと「自分が楽しむということを第一に」ということを教えて頂きました。「これは今でもやっていることです。まだ僕の人生終わっていないので、これからもそのマインドで生きていこうと思う」とお話して頂きました。
結果として私にとって、6日間の一連の研修の中で1番と言っても過言ではないほど、本当に有意義な時間を過ごました。とても人間味を感じる講話で、私自身全てを書こうとすると長くなってしまうくらい、たくさんのことを彼のメッセージや行動から学びました。
私も、将来、自分の経験や人生を誰かに伝え、勇気を与えられる人になりたいです。そして、日々徳を積み、感謝をし自分が楽しむということを第一にという心構えで日々を過ごしていきます。
3年 黒木美優莉
『カナダの風景』

