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2023/07/24 多摩高LIFE

1学期終業式での校長講話

校長講話

 皆さんおはようございます。いよいよ1学期の終了です。
4月当初に決意した目標はどこまで達成できたでしょうか。1年生には入学式で、2,3年生には始業式で「自分のなりたい姿をできる限り具体的にイメージしてください。」という話をしました。
 1年生には高等学校を卒業した後、どのようになっていたいかという理想の姿を、頭の中でイメージして、それをゴールとして、どのようにすればそのゴールに近づけるかを考えながら、高校生活を送ってください。すぐに達成できるようなゴールではなくても、スタートした時点ですでに、ゴールに近づいているのです。
失敗しても、遠回りであっても、着実にゴールには近づいていることを信じて、前に踏み出してください。という話をしました。さて、1年生の皆さんはそれぞれに前に踏み出すことができているでしょうか。
1年生の皆さんは、4月当初は高校生活という初めての環境と新たな出会いに、緊張している様子もありましたが、奥多摩ウォーキングや体育祭をとおして打ち解けてきている様子が見受けられました。授業への取組も積極的で、グループワークや発表活動にも快活に取り組んでいました。素晴らしいです。
 2年生、3年生には社会人基礎力の3つの能力、「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」は課題を解決するために欠かせない力であること。将来社会の一員として、地域社会での課題を解決するために必要な能力を身に付けるために多摩高校で級友とともに学んでいること。そして、今の自分の状態と、なりたい姿の間に生じているずれを、具体的にどう解決するかという課題解決をするために必要な力を、この多摩高校の学びの中で身に付けて、一つ一つの課題を解決し、なりたい自分に着実に近づいていってください、という話をしました。2,3年生の皆さんはなりたい自分に近づいていることを実感できているでしょうか。
 2年生は森林保全体験や上級学校訪問などで、学校の外の方々と接する機会が多くありました。また、高校2学年の学習内容は、高度になってきているので、皆さんの中には、教科によってあきらめかけているような様子も見受けられます。新学習指導要領での観点別評価では、学ぼうとする態度が重要になっています。2学期の粘り強く、果敢な挑戦を期待しています。
 3年生は、最後の体育祭で、リーダーとして立派に体育祭を成功させていました。多摩高が一つになった感覚を参加した生徒だけでなく、教員も感じていました。現在、それぞれの進路の実現に向けての取組がスタートしています。最後まで努力し、やり遂げることでなりたい自分を実現してください。
 全校生徒の皆さん、この4か月を是非振り返り、自分のなりたい姿に近づくためにどうしていけばよいかということを考えてみましょう。夏休みは、できていなかったところを調整する期間です。ぜひ、自分としっかりと向き合ってください。

 ここで、「思いやり」という言葉について考えてみたいと思います。皆さんの一人一人は違います。それが個性です。十人十色という言葉がありますが、友人関係の適度な距離感をもち過ごすことができているでしょうか。相手を認めるということは、どのようなことなのでしょうか。例えば、私たちが目の前に虹を見たとき、他の人が同じように虹を見ているかというと、実は同じようには虹を見ていません。確かに、似た虹の景色は見えています。私たちは目で光を捉え、その光は目の感覚細胞から視神経をとおしてそれぞれの脳へ電気的な信号で脳へ伝達されます。さらに、脳でその信号は言葉に置き換えられていきます。例えばある人は「虹がきれい」、またある人は「虹は山の上に見える」など一人一人異なる言葉として認識されていきます。それぞれが身に付けている言葉によっても、認識がちがってきます。
 どんなに仲のよい友人同士でも、恋人どうしでも、家族であっても、このように違うということを理解して接するということが相手を認めるということになるでしょう。思いやりとは、相手は異なる感覚をもっているということを前提に、相手がどのようなことを考えているかということに思いをはせながら、見返りを求めず、接することです。「考える」ということは、身に付けた言葉を頭の中で組み合わせていく作業です。そして、相手を知るためには言葉を使ったコミュニケーションをとることが必要になります。思いやりをもつためにも、多くの言葉を知っておくということが必要となるわけです。全ての人との適度な距離感をもちながら、思いやりをもって豊かに生きていくために必要となる言葉を身に付けていくにはどのようにしたらよいでしょう。高校生である皆さんは、日々の学校での学びを大切にすることや、立場の異なる人と会話をすることや、本を読むことです。
 生成AIが話題になっていますが、生成AIも数多くの言葉のデータから、適合した言葉を選択してアウトプットするという作業をしています。数多くの言葉を身に付けるために、学習に真剣に打ち込み、思いやりをもちつつ豊かに生きていくことができるようにしていってほしいと思います。

 さて、先日、スクールカウンセラーの清水先生の講話がありました。「不安」についてのお話でした。夏季休業中は、一人で考えるという時間を多くもてる一方で、一人で解決できない不安を抱え込んでしまうということになってしまうことも起こりがちであるというお話でした。コンディションレポートやクラッシー、学校への電話(0428-23-2151)、あるいは学校緊急携帯電話に連絡(070―1688―0201 :緊急時副校長連絡先)ができるということを知っておいてください。ホームルームで担任の先生からそのお話がありますので、連絡先を確認しておいてください。

 夏季休業中は、家の人や地域の人と一緒に話し合うことで、視野が広がり、自分のことがよりよく見えてくることもあるでしょう。家の人の役に立つことに取組む、あるいは地域の方々の役に立つボランティア活動に積極的に参加するなどぜひチャレンジしてください。それでは、皆さん有意義な夏休みにしてください。
 9月1日に皆さんに会えることを何より楽しみにしています。
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