校章

東京都立立川国際中等教育学校

ニュース

2022/12/23 タチコクギャラリー

12月23日(金) 第2学期終業式 校長講話

 532 533 

534 

 今日は8時20分から先ほどまで、附属小学校の終業式で挨拶をしてきました。小学生は1学年しかないので、入学時よりコロナ対策を講じて体育館で、対面で実施してきています。

 中等教育学校の終業式は、第1アリーナに前期生が集まり、後期生は各教室で聞いています。コロナにより、今回は前期生のみと対面で実施となりましたが、立国生とこうして対面で話ができることを大変嬉しく思っています。すぐには難しいかもしれませんが、近い将来、ここに1学年から6学年まですべての立国生が集まり、対面で式を行いたいと考えています。

 2学期の終わりに、大きく3点お話します。

 

 1点目は、物事の捉え方です。

 このコップを見てください。ここにお茶が入っています。このコップを見て、「もうほとんどない」と思うか「まだこれだけある」と思うかは、その人の置かれた状況や考え方によります。その時、「もうほとんどない」と思うことがネガティブで、「まだこれだけある」と思うことがポジティブなのではなく、だからどう考えどう行動に繋げるかが大切だと思います。「もうほとんどない、だからもうだめだ」と思えばネガティブな思考になり、本来の力が発揮できなくなるかもしれませんし、「もほとんどない、だからすこしずつ計画的に使おう」や「自分だけでなく、人々と分け合おう」と思えばポジティブな思考になり、前に進む行動ができることでしょう。

 職員室の前のホワイトボードに、更に小さなホワイトボードが置いてあります。そこに何が書かれているか知っていますか。「共通テストまであと〇日」と書かれています。私は毎日この数字を見ているのですが、そのホワイトボードと反対側を見ると、自習スペースで寒い中、集中して学んでいる6年生がいます。ホワイトボードの数字を見て、私はいつも心の中で「立国生が力を伸ばせる日数がまだ〇日ある。みんな、頑張って」と思います。6年生は、職員室前の自習スペースだけでなく、自習室やラーニング・コモンズでも勉強しています。黙々と取り組む彼らを見ると、つい「頑張って」と直接、声を掛けたくなるのですが、邪魔をしてはいけないと思い、心中でエールを送っています。6年生の皆さん、皆さんは一人ではありません。これまで立国で築いてきたチーム力で、皆で目標に向かって進んでいきましょう。いつも心から応援しています。

 

 2点目は、立国や立国生のチャレンジについてです。

 立国生には、6年間という期間を活かして、チーム力を高め、学校内外で活躍してほしいと考えています。

 例えば、学校行事は皆さんの命の安全を第一に、可能な限りコロナ前に戻そうとしています。これまで、体育祭、文化祭とチャレンジして成果を出してきました。それは、中心となって取り組んできた委員の皆さんとその委員に協力して取り組んできた立国生全員の力です。文化祭で委員が考えて私に提案した計画は、大変規模の大きいもので、私はその説明を聞いて、できるだろうかと思いました。しかし委員は細かい点まで検討し、他の生徒との協力体制も取り、もちろん、先生のサポートもありましたが、立派にやってのけました。私は心から感心し、立国生の底力を感じました。とても嬉しく、立国生のことを誇らしく思いました。

 また、校内だけでなく、校外の活動にも積極的にチャレンジしてほしいというのが私には強い思いとしてあります。校外で他校の生徒と協働したり、専門家の話を聞いて学んだり、実際に海外へ行って交流を図ったりする経験は、皆さんの視野を広げ、皆さんの力を伸ばして、皆さんをより一層強くするからです。例えば次世代リーダー育成道場や、次期オリンピック・パラリンピック開催都市であるパリへの派遣事業、企業人が講師となって行うセミナーへの参加等、東京都が行う事業に多くの立国生がチャレンジしています。部活動での対外試合やコンテスト等にも出場しています。本校は校名に「国際」を冠しており、ややもすると、「国際→英語→文系」というイメージをもたれがちです。しかし、決してそんなことはありません。実際に、東京都教育委員会の理数分野の得意な才能を伸ばす事業にも、多くの立国生がチャレンジして、選ばれましたし、先輩の進路を見ても多様であることが分かります。英語を確実に伸ばし、文理問わず学ぶことで、皆さんの進路の可能性は広がります。

 この年末に5年生は国内研修旅行に出かけます。本来は海外研修旅行ですので、可能性を探って最後まで先生たちと取り組みしたが、一個学年での海外旅行は不可能で国内に変更となりました。しかし、その内容は、現状でできる最大限の内容を学年団が工夫して作り、留学生との交流や、医学部生による解説など、「グローバル平和学習プログラム」という副題にふさわしい充実したものになっています。自信をもって薦められるプログラムです。

 チャレンジしてうまくいかないこともあるでしょう。しかし、何もしなければ変化は起こりません。結果も大切ですがその時に結果が出なくとも、チャレンジすることそのものが、あなたを大きく成長させることに繋がります。3学期からも、立国生のチャレンジを楽しみにしています。学校も引き続き様々なチャンスを提供します。

 

 3点目は、本校のミッションに照らして国際社会について考えてほしいということです。

 北半球ではこれから、日本と同じように寒い冬を迎えます。しかし、世界の誰もが私たちと同じように、温かい部屋でおいしいものを食べ、安心して暮らしているというわけではないことは、ニュースを聞けば分かることです。誰もが平和を願っていても、残念ながらそれだけでは世界は平和にはなりません。日本は、平和な世界構築のために積極的平和外交を推進しています。

 なぜ、願っているだけでは平和にならないのか、積極的平和外交とはどのようなことなのか、そのことを考える一つのヒントであり、重要な視点に地政学があります。地政学とは、地理学と政治学とを融合した物事の捉え方です。立国のミッション、存在意義は、将来、国際社会に貢献し、活躍するリーダーを育成することです。その立国生にとって、地政学という視点をもつことは大変重要です。政治が成果平和に必要な視点であることが自明の理ですが、地理がなぜ必要な視点であるのか分かりますか。皆さんは、平和でよりよい世界を構築することに貢献する人材になることが期待されています。地政学とはどのような学びで、その視点をもつことがどうして重要なのか、是非、この冬休みに調べて、新学期から意識しながら地理分野と政治分野の学習に取り組んでください。

 

 健康に十分気を付けて、3学期、元気にまたここで会いましょう。