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東京都立立川国際中等教育学校

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2022/04/06 タチコクギャラリー

4月6日(水)「着任式」「始業式」

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 「何組になるのだろう。」「担任の先生は誰になるのかな。」「仲の良い友達と一緒のクラスがいいな。」期待と不安を抱えて登校してきたことでしょう。4月6日(水)、令和4年度の「始業式」を迎えました。

 新しいクラスの教室で、担任の先生の話を聞いて、クラスのメンバーの顔を見て、どんなことを思ったでしょうか。「よしっ、頑張るぞ!」という意欲が湧き出てきたでしょうか。配信による「着任式」「始業式」の後、それぞれの学年で学年集会が行われ、学年の担任の先生・副担任の先生の紹介と先生方の話がありました。この4月に立川国際に着任した先生との新しい出会いもありました。令和4年度のスタートラインに立った立川国際の生徒たち。新たな目標を胸に、力強く進んでいきましょう。

 

【校長講話】

 4月1日付けで着任した校長の市村裕子(いちむらゆうこ)です。よろしくお願いします。

 始業式での挨拶は、立国で初めての挨拶になるので、本来は対面で行いたかったのですが、コロナ禍の現状を考慮し、オンラインで行うことにしました。皆さんを直接見て話ができないことは大変、残念です。今後、皆さんと対面で話をする機会を楽しみにしています。

 新年度の始めに、皆さんにお話ししたいことが3点と新6年生へのメッセージがあります。

 1点目は、本校の新しいチャレンジについてです。

 本校は、4月に附属小学校が開校し、チーム立国に加わります。チーム立国が目指すのは、これまで同様、知徳体をバランスよく育成し、人格を陶冶して国際社会で活躍し貢献するリーダーになる人を育成することです。都道府県が設置する小学校を有するのは、全国では本校が初めてです。みなさんは既に、中学校段階と高等学校段階の6年間で学ぶ学校のよいところを実感し、その利点を活用しながら学校生活を送っています。そこに、小学校段階が加わり、本校は、小、中、高の校種が全て揃う学校になります。これは新しいチャレンジです。このチャレンジには前例がありません。乗り越えなければならないことが発生します。困難なこともあるでしょう。しかし、前例がないことを考え共に乗り越えていくことは貴重な経験です。私たちが変えられるのは、未来です。私たち立国は、このチャレンジをポジティブに捉えて進みましょう。一丸となってチーム立国の力を更にアップし、立国をより一層、大きく発展させましょう。そのためには、皆さんの力が必要です。

 昨年、附属小学校の歌を、音楽家の青島広志氏に依頼して作成しました。作詞に際して、歌詞に込めたい、立国の先輩としてのフレーズや思いを募集しました。優しく、力強く後輩に思いを伝えようとする心のこもった内容を寄せてもらいました。皆さんの心がとても嬉しかったです。ありがとうございました。これまで皆さんが創ってきた伝統を大切にしながら、附属小学校の伝統を創っていきたいと考えています。附属小学校の入学式は、4月7日で、午前中の中等教育学校の入学式に続き、午後に行われます。今年の夏に新しい校舎が完成するまで、小学1年生は、仮設図書館の奥にある仮設校舎で過ごします。日常的に校舎内で小学生と出会うことはあまりないかもしれませんが、対面式や三祭を中心に、交流する機会を設定します。その時、皆さんのリーダーシップが必要です。皆さんにとっても、リーダーシップに更に磨きをかける機会になります。よりよい交流について、ぜひ、アイディアを出してください。校舎ができるまで、皆さんには、不便をかけることがあると思います。引き続き協力をよろしくお願いします。

 2点目は、中等教育学校のチャレンジについてです。

 中等教育学校はこの3年間、東京都教育委員会の施策の一つである「グローバル10」の指定校としてとして様々な取組を行ってきました。「グローバル10」は、事業の期間が終了し、その後継として、今年度から“Global Education Network 20”、略して“GE-NET20”(ジーネットトゥエンティ)という施策が始まり、本校はその1校に指定されました。指定は3年間です。GE-NET20は、3部門から構成されており、本校は、「対話・理解グループ」に所属します。

 取組の一つに、これまで同様、英語力の向上があります。英語はコミュニケーショツールの一つであり、英語力の向上は、皆さんの可能性や選択肢を広げます。しかし、ツールを有効に活用するためには、内容が重要です。英語で何を伝え、何を表現するのかが求められます。皆さんは、探究的な学習の時間でSDG’sに関連付けた学びに取り組みます。その取組は、何を伝え、何を表現するのかという内容を深めることに多いに役立ちます。探究的な学びをとおして、学問は、便宜上、教科や科目に分かれていても、すべては相互に関連し、繋がっているということを認知してほしいと考えています。その繋がりを実感したとき、皆さんの知的好奇心はより一層大きくなり、学ぶことは、実にワクワクすることだと更に思えるようになります。皆さんが将来、様々な分野で国際社会のリーダーとして活躍し、貢献するための力を一層伸ばせるよう、「グローバル10」の成果を元に取り組みます。

 3点目は、新しい学年を迎え、心を鍛えて成長させるということです。

 皆さん、あなたの隣を見てください。何が見えましたか。立国の制服を着たクラスメイトが見えたと思います。彼らは、着ている制服の種類に違いはあっても、立国の制服を着た、あなたの大切な仲間です。自分を大切にするのと同じように仲間を大切にしてください。中学生や高校生になれば、価値観や考え方等の違いから、気の合う人、そうではない人がいることでしょう。それは、自然な感情です。しかし、あなた以外の人は、あなたと同じ、誰もが大切な人であることに変わりはありません。違いを認め、受け入れ、互いに敬意を払って生活をしてください。人格を陶冶するとは、そういうことです。心を鍛え、自分を成長させることが必要です。

詩人の金子みすゞさんの詩の一つに、「こだまでしょうか、いいえ、誰でも」という詩があります。

 「遊ぼう」っていうと

 「遊ぼう」っていう。

 「馬鹿」っていうと

 「馬鹿」っていう。

 「もう遊ばない」っていうと

 「もう遊ばない」っていう。

 そして、あとで

 さみしくなって、

 「ごめんね」っていうと

 「ごめんね」っていう。

 こだまでしょうか、

 いいえ、誰でも。

 

 最後の「こだまでしょうか、いいえ、誰でも」とはどういう意味でしょうか。こだまとは、山や谷で声や音が反響して聞こえてくるものを指します。それは自然の摂理であり、そこに感情的なことは介在しません。それでは、あなたが人に投げたことばは、単にこだまとして返ってきているだけでしょうか。違います。単にこだまとなっているということではなく、人は誰でも心で感じて、同じように反応するということを言いたかったのだと思います。あなたが人に投げたことばは、あなたにも返ってきます。だからこそ、自分を大切に、人を大切にしてください。

 それは、意識して、あなたの心の力で行うことです。心を鍛えて、成長させるということです。

 最後に、新6年生の皆さんにメッセージです。

 新6年生の皆さん、いよいよ最後の1年間が始まりました。立国での集大成となるこの大切な1年間を、皆さんと共に過ごせることを大変嬉しく思っています。1年間ではありますが、皆さんの描く将来の夢とその夢の実現に向けた進路について、ぜひ、話を聞かせてください。

 これから、進路実現に向けて取り組んでいく中で、悩むことがあるかもしれません。しかし、あなたは、まず、自分を信じてください。そして、忘れないでほしいのは、皆さんは決してひとりではない、ということです。今まで培ってきた仲間との絆、友情が皆さんの大きな力です。高等学校であれば、3年間の課程ですが、皆さんはその倍の6年間を仲間と共に過ごしてきました。その絆と友情を大切にして、皆で高みを目指し、全員で進んでいきましょう。

 期待しています。