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東京都立立川国際中等教育学校

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2022/03/26 タチコクギャラリー

3月25日(金) 令和3年度修了式 校長講話

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 3月13日に第9期生が、コロナ対応で制限のある卒業式の中、それぞれの道に巣立っていきました。とても素晴らしい式でした。皆さんも、それぞれ進級し、新たな道に進みます。この人生の節目を大切にしてください。

 以前、竹の成長の早さの理由についてお話ししました。その成長の早さの秘密は節に隠されていました。人も同じです。飛躍するためには節目を大切にすることです。

 今年度はコロナ禍で多くの行事が工夫をしての実施や中止となり、部活動も思うように練習ができず、さらには、学習面でも自宅学習や時差登校で十分に行えず辛い思いをしたと思います。私は、こういう時こそ、前を向くことが大切であると考えます。「ポジティブ」とまでいかなくても、前を向いて、考えてください。この節目に来年度の目標をたて、計画を立て、目標を見据えることが大切です。

 これまでも皆さんに伝えてきたことを踏まえて、その目標達成のための5点のメッセージを送ります。

1点目『夢、目標をもて!』

 渋沢栄一は夢七訓で『夢なき者は理想なし、理想なき者は信念なし、信念なき者は計画なし、計画なき者は実行なし、実行なき者は成果なし、成果なき者は幸福なし、ゆえに幸福を求むる者は夢なかるべからず。』と述べ、夢や希望を持つことの大切さを説いています。夢や目標を持つことを心がけてください。最近では企業も利益を生むためにはパーパス(Purpose)が大切であると。どういうパーパスをもって企業は存在しているのかが、改めて問われています。パーパスは、いわば渋沢栄一の「論語と算盤(そろばん)」です。

 渋沢栄一は100年以上も前からその重要性を指摘しています。本校でいうと、教育目標とグランドデザインですね。

2点目『スモールステップ』

 大目標をスモールステップに分け、小目標の達成を継続すること。

 デカルトの「方法序説」では「困難は分割せよ」という教えがあります。困難な目標を達成するためにはスモールステップで計画を分割し、コツコツと積み重ねることが大切です。小さな成功体験が一つずつ積み重なって最終目標の実現がより具体的になってきます。

3点目『凡事徹底』

 当たり前のことを当たり前にやるということです。時間を守る、整理整頓する、挨拶をする、お礼を言う、小さなこと、当たり前のことを当たり前にする。そのことが、周りからの皆さんへの「信頼」と、皆さんの「自信」につながります。スモールステップもそうですが、凡事の継続が非凡となるのです!小事は大事とも言います。

4点目『グライダーと飛行機』

 グライダーと飛行機は遠くから見ていると似ています。空を飛ぶのも同じです。グライダーが音もなく優雅に滑走している様は、飛行機よりも美しいくらいです。ただ、悲しいことに自力で飛ぶことができません。人間にはグライダー能力と飛行機能力があり、両方とも大切です。しかし、先生と教科書に引っ張ってもらうグライダー型ではなく、エンジンを積んで自分の頭で考え、自力で飛びまわれる飛行機型の人間こそ、これからの時代に必要です。皆さん、与えられた知識を基に、自分で思考し、判断して、表現もしくは行動できる飛行機能力を身に付けてください。

5点目『互いを尊重しよう』

 違いを認め、互いを尊重する。自分の存在と他人の存在を等しく認め,お互いの人格を尊重する態度は「国際」を冠する学校としてとても大事なことです。本校のグランドデザインでも「日常」から養える国際感覚と多様性をテーマにしています。多様性は本校にとってとても重要な、キーワードです。現在、国際社会でこの一カ月、ウクライナとロシアで戦争が起きています。違いを認め、互いを尊重し、コミュニケーションの重要性を感じています。自分の存在と他人の存在を等しく認め,多様性を認め、お互いの人格を尊重する態度が必要です。

 以上、5点、私から皆さんへの最後のメッセージとなります。私はこの3月31日をもって定年退職となります。そして、東京都を完全に退職することとなりました。立川国際に着任以来4年間、様々な課題がありました。小学校建設工事に伴う施設対応、火災事故対応、新型コロナ感染症対応、学校行事対応、本当に様々な対応があり、充分に対応できたかというとそうではありません。大変申し訳ございません。それでも、何とかここまでこられたのは、生徒、保護者、教職員の皆さんに、御協力を頂き、支えてもらったからです。本当に感謝をしています。ありがとうございます。

 私からは以上となります。