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東京都立立川国際中等教育学校

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2022/01/10 タチコクギャラリー

1月7日(金)第3学期始業式 校長講話

   皆さん、新年明けましておめでとうございます。また、これまでの感染防止対策へのご協力ありがとうございます。

「令和4年」という年が、一日も早く日常を取り戻し、生徒の皆さんにとって幸多い年となりますよう願っています。

  さて、昨日は雪が降り、とても寒かったですね。一昨日は「寒の入り」でした。昨日は暦通り寒い一日となりました。令和4年になって、晴れの日が続いていたのですが、昨日は大雪警報・注意報となり、東京では数年ぶりとなる積雪が見られました。

  そして、新型コロナウィルス感染症の新規感染者数も、昨年末は減少傾向であったのに、ここにきて、感染力のあるオミクロン株が増え、新規感染者数は激増していますね。一昨日は390人、昨日は641人でしたね。もの凄い増え方です。

  皆さんにできることは、今まで通り、各自が「感染しない、感染させない」をモットーに、引き続き感染症対策をして、飛沫感染を防ぐために、三密を避ける、寒くても換気をする、食事中などマスクなしでの会話をなくすなどの徹底をしてください。

  さて、今日は2点お話しします。

  1点目は例年お話ししていることです。今年の目標を定めたでしょうか。「1日の計は朝にあり、1年の計は元旦にあり」という言葉があります。新たな年の初めの節目に目標や目当てをもつことが、その年を充実させるためには重要であると言われています。

  そして、目標を達成するための方法は、以前から話している通りです。デカルトの「方法序説」では「困難は分割せよ」という教えがあります。困難な目標を達成するためにはスモールステップで計画を分割し、コツコツと積み重ねることが大切です。小さな成功体験が一つずつ積み重なって最終目標の実現がより具体的になってきます。凡事の継続が非凡となるのです。そして、コロナ禍だからこそ、ネガティブにならずに、自身の可能性を大事にポジティブに考え、目標に向けて前を向いて欲しいです。皆さんは将来に本当に大きな可能性をもっています。

  2点目は、皆さんへのお願いです。昨年、NHK大河ドラマ『青天を衝け』で渋沢栄一が取り上げられていましたね。令和6年度から、一万円札の肖像になる人です。日本の明治・大正期の実業家、財界の指導者です。その渋沢栄一は100年以上も前から「論語と算盤(そろばん)」の重要性を指摘しています。以前、前期生の朝礼でもお話ししましたが、算盤だけではないということです。近年、企業ではパーパスが重要視されてきています。パーパス(Purpose)の意味は分かりますね。「目標」「目的」ですが、ここでのパーパスは「志」と訳されています。従来は利益が企業経営の最大のテーマですが、現在、SDG’sで持続可能な社会が求められており、企業でも社会貢献が求められています。

  どういうパーパスをもって企業は存在しているのかが、改めて問われているということです。

  さて、本校に振り返って、本校のパーパスは何でしょうか。第一に教育目標「国際社会に貢献できるリーダーとなるために必要な学業を修め、人格を陶冶する」です。そして、第二にグランドデザイン「Road to Global Citizen Think Globally Act Locally」とは、訳すと、「地球規模で考え、地元・地域から行動し、世界市民へ」です。この目標を達成する手立ての一例として丸谷才一(まるやさいいち)さんの「思考のレッスン」にかかれているものの考え方、思考について紹介します。

  丸谷先生は「ものを考えるには、本を読むことが最も大事」と述べています。そして、本を読むにあたって一番大事なのは「面白がって読む」ことだそうです。

  更に、「本来なら一冊の本はありえない。たくさんの本の中にあって初めて、一冊の本は意味がある」といっています。孤立した一冊の本ではなく、「本の世界」というものと向き合うことが大切だと。芥川龍之介の短編集だって、一冊だけで孤立しているわけでなく、その周りには師である夏目漱石の本、師ともいえる森鷗外の小説、萩原朔太郎、ニーチェなどなど、芥川龍之介に影響を与えた人達がいます。

  一つの例を上げましたが、「本の世界は、1人の著者が何人もの著者にバトンを渡していく。受け取った何人もの著者がまた走って行って、更に何人かバトンを渡すという仕組みで次々とつながっていく。本を読む際にはその経路を考えながら本を読めば、本が更によく理解ができるようになる」と述べています。

  このことは、その一点だけでなく、全体を関連付けながら体系的に、俯瞰してみること、考えることが大切であることを示唆しています。

  本校には「読書の時間」がありますが、読書だけでなく、学習面でも同じです。

  例えば、各教科において、それぞれの単元ごとに独立してみるのではなく、それぞれの単元の関係も考えると、理解が一層深まります。このことは、学習面だけでなく、部活動の練習等、他の分野でもいえるでしょう。

  是非、今年はそういった視点ももてるようにして、以前お話しした「エンジン」を積んで自分の頭で考え、自力で飛びまわれる飛行機型の人間、力を身につけてください。

  以上です。

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