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東京都立立川国際中等教育学校

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2021/07/26 タチコクギャラリー

7月20日(火) 第1学期終業式 校長講話

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 生徒の皆さん、お早うございます。本日の終業式では、2点お話しします。

 1点目は新型コロナウイルス感染症対策についてです。昨年度から引き続き、令和3年度の1学期も新型コロナウイルス感染症対策・対応で始まり、そして、新型コロナウイルス感染症対応で終わった感があります。今や、新型コロナウイルス感染症対策は、世界的な大きな課題となっています。東京都の感染者数は約19万人です。東京都の人口が約1396万人ですから、割り算すると0.0136です。この1396万人は幼児から高齢者まで含んでいる数です。年齢層別にみた場合、若者が感染している割合が多いようです。また、感染者のうち「感染経路不明」の割合が61%です。誰もが感染する、また、移す可能性があります。今、私たちに必要なのは、感染の広がりを抑えることです。

 以前、インフルエンザについてお話をしました。1918年-1921年に世界各国で極めて多くの死者を出しました。この間、世界中で5億人が感染したとされ、これは当時の世界人口の4分の1程度に相当します。死者数は5000万人との推計もあり、人類史上最悪の感染症の1つであるといわれています。現在、インフルエンザはワクチンも開発されており、コロナのように社会全体で日常の中で生活が、ここまで制限されることはありません。これまでも「人類はウイルスとの戦いの歴史」または、最近では「ウイルスとの共生」とも言われています。私は、必ず新型コロナウイルス感染症もインフルエンザと同様に抑えることが出来ると信じています。生徒の皆さんは、この夏季休業日中も徹底した感染症対策をしてください。自分自身はもちろんのことですが、「感染しない、感染させない」をモットーに感染症対策、マスク、手洗い、消毒、うがい、ソーシャルディスタンス、換気、健康チェックの徹底、黙食、三密を避ける、さらに、不要不急の外出を避ける。当たり前のことを当たり前にやってください。また、体調がすぐれないときは無理をせず、我慢をせず、部活動、講習、行事等は連絡をしてお休みをしてください。そのことが、立川国際の皆さんを守ることになります。改めて、気を引き締めて、引き続き感染症対策をしてください。お願いします。

 2点目は「読解力」、読み解く力を身に付けてくださいという話です。1学期始業式でも、読書について話をしました。皆さんは今学期、この4月から何冊の本を読みましたか?朝読書の時間だけという人もいれば、20冊以上読んだという人もいます。6月に、4月30日に立花隆さんが80歳で亡くなっていたことが報道されました。「知の巨人」といわれていた人で、NHKのクローズアップ現代でも取り上げられました。東大の特任教授でもあり、その立花ゼミでの「生き方の十箇条」はとても有名です。立花ゼミでの話をまとめたものがあり、いつか読みたいと思っていますが、なかなか手に入りません。その立花さんは、3万冊の本を読み100冊の本を書いてきたといいます。政治経済から宇宙まで様々な分野で書かれています。鋭い切り口、様々な観点から物事を正確なデータや事実を基に解析する力を持った方です。是非機会があったら立花さんの本をどれか読んでみてください。その立花さんが読書について、実践に役立つ14カ条を紹介しています。その中の一つで「若いときは、何を差し置いても本を読む時間をつくれ」と読書の大切さを話しています。始業式でも触れましたが、大学入試改革の大きな要因は、経済協力開発機構(OECD)の学力到達度調査PISAの結果、日本の読解力が15位に後退したことと関係があります。先日の6年生(第9期生)の「総合的な探究の時間」の発表でもこのことについては触れている生徒がいましたね。PISAにおける読解力は文学的文章や説明的文章などだけでなく、図・グラフ・表などの数学的な資料も含まれています。また、「論述」で自分の考えをまとめる力も 含まれています。周りの状況を読み解いて判断する力もあります。読解力は大学受験に必要だからという話ではありません。社会人になっても、人とコミュニティを築くうえでも、将来にわたって読み解く力は必要だからです。例えば評論などを読み、論理的読解力を身に付け、身の回りや出来事、自分の内面と結び付けながら読み解いていくことで多角的なものの見方を身に付ける練習にもなります。また、文学作品を読み、自分とは全く境遇の違う人、考えが異なる人、自分がしたことがない体験をしている人に対しても共感できる力、情緒的読解力を身に付け、立場の違う人たちへの共感力が着きます。これらは、将来にわたってとても大切な社会人として必要な資質、能力だからです。簡潔にいうと、視野を広げ、社会を築ける人、国際社会に貢献できるリーダーに必要だからです。だから、大学入試改革が行われてきているのです。そして、「読解力・読み解く力は1日にしてならず」です。「考えるヒント」など書いている、批評家の小林秀雄さんの「脳みそに汗をかく」ではありませんが、日々の努力が必要です。明日から長期の休業日に入ります。学校での毎朝の読書時間はしばらく休憩ですが、興味・関心のある本で構いませんので、毎日、短時間でよいので読書時間を楽しく続けてください。よろしくお願いします。

 私からは以上2点「新型コロナウイルス感染症対策」と「読み解く力」についてお話ししました。

 2学期始業式に皆さんと会うのを楽しみにしています。