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2025/11/11 学習活動・探究活動
【SSH企画】「分子科学の最前線」を体感!
【SSH企画】「分子科学の最前線」を体感!
11月10日、東京大学大学院の佐藤宗太先生より「分子科学の最前線」をテーマにご講演いただき、実験とVRで〝最前線〟を体感しました。
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佐藤先生は、東京大学大学院工学系研究科の特任教授であり、分子科学研究所の客員教授も兼任されています。
そのキャリアを通じて、大学の研究(アカデミア)と企業(産業界)の橋渡しとなる「産学連携」プロジェクトに深く携わってこられました。
- 「水素結合」を体感!
高吸水性ポリマー(紙オムツの素材)を使った実験では、少量の粉末が大量の水を吸収する様子を観察。
これは分子同士が引き合う「水素結合」という力によるものです。
さらに塩をかけると水が戻る現象も体験し、分子間の引力の不思議を体感しました。
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- ビールの新開発にも! 最新技術「結晶スポンジ法」
これまで構造を知ることが難しかった液体や気体の分子も、特殊な「結晶スポンジ」に染み込ませるだけで分子の立体構造(かたち)が分かるように!
この革新的な技術により、ビールの成分を詳細に分析して体脂肪を減らす効果のある成分を発見。「機能性表示食品」の開発にも繋がっています。
- VRで分子の世界にダイブ
VR体験では、分子の世界に実際に入り込みました。
「温度」とは「分子運動の激しさ」であることを視覚的に学ぶとともに、高温になると水素結合が切れて氷が水に、さらに水蒸気に変わる様子を体験。
また、DNAの二重らせん構造が水素結合で結びついている様子も観察しました。
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- 生徒の声「化学がもっと好きになった!」
・高吸水性ポリマーの実験では、身近な素材が予想以上に水を吸収する様子を目の当たりにし、手元で実験することで、より感動を覚えました。
・温度によって分子の動きが変わる様子や水素結合を視覚的・直感的に体感。生物の授業で習ったDNAの分野とも繋がり、化学と生物の関連性が見えて感動しました。
・「結晶スポンジさん」といった親しみやすいイラストや動画を交えた解説により、難解な分子構造解析の話も楽しみながら学ぶことができました。
・物理の方が好きでしたが、化学の世界もいいなと思うようになりました。2年生の化学の授業がより楽しみになりました。
・「産学一体」という言葉を初めて聞き、科学研究所と不動産会社といった異分野の連携に衝撃を受け、「そういう科学との関わり方もあるのか」と視野が一気に広がりました。
・あっという間に終わってしまうほど充実した時間でした。貴重な講義を本当にありがとうございました。
本講義を通じて、分子の「かたち」を解明する基礎研究が、食品や香料といった身近な製品開発に直結していることがよく分かりました。
佐藤先生の「科学とは、みんなが困っていることをアイディアで解決すること」という言葉が印象的でした。