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2023/01/23 学習活動・探究活動
創造理数科企画「記憶・学習メカニズム」講演会
令和5年1月20日(金)の放課後、電気通信大学 情報理工学研究科 松田信爾 先生にお越しいただき、『記憶・学習メカニズム』をご講演いただきました。
15 時-17 時で途中 10 分間の休憩をはさみ、前半と後半に分かれて行いました。前半では、神経は電気刺激であることや、脳は領域ごとに機能が異なること、また、脳は神経細胞からできていることなど、脳や脳を構成する神経細胞に関する基本的な内容を、わかりやすく丁寧に教えていただきました。後半では、先生の研究されている「シナプス可塑性」について教えていただきました。シナプスにおける情報伝達の効率が変化することが、学習の効率に影響していることを、実験のデータや写真等を用いてわかりやすく教えていただきました。
また、科学者Camillo Golgi 氏が自身の研究結果を既存の理論に合わせて考察し、誤った解釈をしてしまった話を例に挙げて、学習や研究を行う上では、先入観にとらわれないことが大切だと教えていただきました。今後の課題研究において、実験を取り入れる人も多いと思います。自身の研究結果が予想と違っていたとしても、客観的に捉えて考察しなければならないことも学ぶことができたと思います。
【生徒の感想より】
- イントロダクションとして、歴史的な内容や科学者のあるべき姿についての説明がわかりやすくて興味を持つことができました。その後、シナプスやLDT、記憶の制御機能などの説明も図を使った分かりやすい説明で、よく理解することができました。生物的な分野で、研究の手法やデータ整理などを私の探究活動にも活かしていきたいと思いました。
- 脳のメカニズムを理解できれば学習の促進や脳障害の改善にも繋がるので、他の生物の機構を利用する手法はとても魅力的に感じた。
- 脳がどういった構造をして、神経がどのような回路を組んでいるのか等の説明が非常に分かりやすかったため、LTD やLTP、シナプスなど、自分には初見の言葉を耳にしていても、内容を十分に理解することができた。
- 神経の伝達の仕組みや過程についてわかったことは多くあると思いますが、まだまだ不明瞭なことも多いと思います。今回の講演では記憶と学習についてのメカニズムが知れて大変興味深いと感じました。ただ、分からないことが多いですが、いえ、分からないことが多いからこそもっと知りたいと思いました。本日は貴重なご講演ありがとうございました。
- シナプスの可塑性についてそれを聞いただけではどのようにして学習の基盤となるのか理解できなかったが、その後の話でこれを用いて学習のメカニズムについて説明されていて、感動した。
- 冒頭は比較的わかりやすい内容から始まり、徐々に発展していくという形でとても聞きやすかったです。なかなか想像しにくい話もありましたが疑問が多く残っている学問ということでやりがいがありそうだと思いました。
- 生物はどのように学習しているか知ることができた。最後の方は最先端の研究内容も含まれていたが、順を追って説明してくれたため、理解することができた。
- 研究から得られたデータを活用するときは、小さな誤差で結論をつけるのではなく、「誤差範囲」を考えて適切にデータ利用するべきとわかった。自分の研究でもそこを理解して研究でもするようにしたいと感じた。
- もともと人間の脳の機能について興味があったので、それについて学べるとても良い機会だった。大学で学ぶレベルのことを後半に教わったが、前半に基礎を丁寧に教えてもらえていたのと、さらに繰り返しゆっくり説明してもらえたことで、理解できて、理解できるとおもしろかった。どうやって記憶の情報を電気信号として送ることができるのかとても不思議に思った。
- マウスの脳で記憶について研究するのは研究するための技術力が相当必要だろうと思いました。先生の研究は最終的に人間の役に立ちそうな研究ですごいと思いました。