自然科学部 活動報告
2024/07/09
5月12日「東京都薬用植物園」フィールド実習の開始です。珍しい草花が観察できる薬用植物園です。植物園にはいったことがあっても、薬用植物園には行ったことがないという方も多いのではないでしょうか。
ここは、薬用植物や有毒植物・ハーブ、染料になる植物や絶滅危惧植物などを集めたり、どの植物にどんな薬効があるのかを確かめたり、危険薬物への注意をうながしたり、健康食品の使用法を指導するなど、人々に役立つ薬草の研究栽培が行われています。
麻薬成分のあるケシも観賞できます。ケシは観賞用の品種と、麻薬の成分が含まれる品種はまったく別の種類です。観賞用のケシは一般的なお花屋さんでも売られていますが、麻薬成分が含まれる品種は一般での栽培は禁止されており、私たちが目にする機会はありません。こちらでは研究や危険性の啓蒙のために観賞が許可されており、貴重なケシを見ることができます。ケシが見頃を迎えるのは、5月頃。有害なはずのケシの花ですが、その色や形はとても繊細で華やか。白や紫、赤やピンクなど色とりどりのケシを見ていると、とても毒性のある植物とは思えず、時間を忘れてうっとりとしてしまいます。
ケシ(ソムニフェルム種)は医薬品原料として、重要な薬用植物です。これらのケシは、麻薬の原料となるモルヒネを含有しているため、日本ではあへん法により栽培等が禁止されていますが、日本では、唯一この薬用植物園で栽培されているので、観察することができました。
ジギタリス(ゴマノハグサ科)
釣り鐘のような花が特徴で美しいです。強心利尿薬の製造原料です。
ムラサキ(ムラサキ科)
以前は武蔵野にたくさん自生していました。小さくてかわいい5枚の花弁があります。根が紫色をしているので紫根といい、火傷、痔疾の薬、染料に用いられています。
シャクヤク(ボタン科)
「立てばシャクヤク、座ればボタン、歩く姿はユリの花」の芍薬です。ボタンの花と似ています。ボタンは木ですが、シャクヤクは草です。風邪薬の葛根湯の中の一つの成分です。
ニッケイ(クスノキ科)
発汗、解熱、鎮痛作用があるので桂皮という名前でさまざまな漢方薬の中の一つの成分としてよく使われています。シナモンのことです。
カカオ(アオイ科)
チョコレートやココアの原料です。実のつき方が面白いです。薬用としては、カカオ脂が軟膏や座薬の基剤として用いられています。
たくさんの薬用植物を一度に観察したので、頭の中が混乱します。フィールドワークの締めくくりです。観察した内容や気づいたこと、薬用植物、毒性のある植物について記録、考察を深めました。