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2025/04/17 校長室だより
校長室だより「真理がわれらを自由にする」令和7年4月17日
新入生を迎え、新学期が始まりました。始業式、入学式、新入生歓迎の行事などが続く中、体育祭の準備も進んでいます。今年度の体育祭も駒沢オリンピック公園室内球技場で開催します。「積極的で優しい世田総生」が活躍します。
本校では3年間を通してキャリア教育に取り組んでいますが、その第一歩である1年次の「キャリアデザイン」(産業社会と人間)初回の授業で、校長からお話をしました。
私は、「何のために学ぶのか」と問われたら、「自由になるため」と答えます。なりたい自分になるために学び続けます。
ここで言う「自由」とは、直近のことでは進路のことを示します。自分はこんな働き方をしたい、そのためにはこのような進学先に進学する必要がある、そのためにはこのような学びをしなければならない、と将来から逆算して今やるべきことを考えます。
1年次の皆さんには、私(校長)の将来の夢についてお話をしました。幼少期の頃から高校生、大学生になるまで、当時の「将来の夢」は変化してきました。夢は変化しても、そのために学ぶことは続けました。その結果、いわゆる「文系」「理系」と言われる分野の様々な領域を学んできました。夢に向かう「最短経路」をたどろうとすると無駄に思えるかもしれませんが、幅広い教養を身につけることは、決して無駄ではなく、働く際にも役立つだけではなく、会話の幅が広がったり、様々な視点で物事を考えたりすることができるようになります。
進路に限らず、「自由」とは、自分のことを自分で決めることができる、ということだと思います。決めるためには、判断するための情報と、考える力が必要です。このとき、自分の知識や考え方が少なかったり偏っていたりすると、最良の決断ができないかもしれません。
哲学者フランシス・ベーコンは「知識そのものが力である」「人間の知識と力は一致する」と述べています。様々な知識を備えておくことが大切なのはもちろんなのですが、知識だけではなく、様々な「考え方」も身につけておきたいです。中学校でも高校でも、国語、社会、数学、理科、英語、その他たくさんの教科を学びます。これらは、単に知識を学んでいるのではなく、「国語的な考え方」「数学的な考え方」「英語的な考え方」など、それぞれの教科での「考え方」も学んでいます。この「考え方」をたくさんもっていると、困った場面、判断しなけらばならない場面、決断しなけらばならない場面で、使うべき「考え方」の選択肢が増えるだけでなく、複数の「考え方」を組み合わせることで新たな考え方を生み出すこともできます。「知識」「考え方」が増えると、それだけ選択肢が増え、その中から自分で選ぶことができる。これが「自由」なのではないでしょうか。
東京都千代田区に、国立国会図書館という国の施設があります。この図書館は、日本国内で発行された全ての出版物が納められます。この国立国会図書館のメインカウンターの上に、「真理がわれらを自由にする」「Η ΑΛΗΘΕΙΑ ΕΛΕΥΘΕΡΩΣΕΙ ΥΜΑΣ」と刻まれています。戦後新しい日本を創るにあたり、「従来の政治が真理に基づかなかった結果悲惨な状況に至った。日本国憲法の下で国会が国民の安全と幸福のため任務を果たしていくためには調査機関を完備しなければならない」という思いから、この国立国会図書館ができたと言われています。本校の図書館にも様々な資料を揃えており、知識も考え方もじゅうぶん手に入れることができます。
世田谷総合高校は、いわゆる普通教科だけでなく、6つの系列に属する様々な専門科目や本校独自の科目を学ぶことができます。普通科高校にはない幅広さ、専門高校にはない選択の自由さがあり、「自由」になるための学びにうってつけの学校です。一つのことをつきつめることも、様々なものを組み合わせて新しい価値を創造することもできます。世田谷総合高校での学びを存分に活用して、より自由な自分を手に入れてください。