東京都立農芸高等学校

学校からのメッセージ

校舎の写真

校長あいさつ

東京都立農芸高等学校長
小堀 卓二

本校は、明治33 年(1900年)に創立された東京都で一番歴史のある農業高校です。綱領に「誠実・勤勉・自主・協調」を掲げ、農業に関する専門的な学習を通じて、次代の農業とその関連産業の技術者を養成しています。
21世紀は「環境の世紀」と言われています。本校は農業の専門高校として21世紀の産業社会で活躍する人材の育成を目指し、「環境教育実践宣言校」をスローガンにあらゆる場面で「環境教育」を推進しています。「環境」というと「5R」や「省エネ」がすぐに思い浮べられると思います。しかし、本校で考える「環境」は自然環境だけにとどまりません。友達や食べ物、生活空間など、生物を取り巻く家庭・社会・自然などの全てが「環境」ととらえています。
本校には、全日制課程に、園芸科学科、食品科学科、緑地環境科を設置し、農業生産や食品加工、環境保全に関する内容が学習できます。農業は食料の生産だけでなく、自然環境や国土保全においても大切な役割を担っています。まさに、21世紀の日本を救う原動力となるものです。
各学科の詳しい学習内容は、このホームページをご覧になり理解を深めて頂きたいと存じます。
また、中学生の皆さんにおかれましては、ぜひとも本校においでいただき自身の目で内容を確認して頂くことを強くお勧めいたします。

在校生からのメッセージ(食品科学科)

食の大切さ(I.Y)

「楽しそうでいいなぁ」と友達は言った。友達が羨ましがるような学校に通う私。私の自慢の学校である。

私が通っているのは、都立農芸高校の食品科学科。ここで勉強する人は、将来何らかの形で食品関係の仕事に就きたい人がほとんどだ。私もその一人であるが、将来の夢は決まらないまま入学した。

まず、入学して印象に残っている授業は農業基礎である。この授業は畑でナス・トマト・大根・ほうれん草、他にも色々な野菜を栽培する授業だった。最初は、虫は沢山いるし、手は汚れるし、暑いし、全然良いことがない授業だと思っていた。残留農薬等が問題になっている現在、私達は敢えて無農薬で栽培していたので、野菜には沢山の虫がついていて、その虫取り作業は本当に大変だった。

しかし、高校一年生の夏に、初めて自分で栽培した夏野菜が凛々しく実っている風景を見た時、私の心の中は「うれしい」の一言だった。その野菜を収穫して食べたが、今までに無い美味しさだった。自分で育てたという感動もあり、またスーパーで買う物とは味が違うような気がした。この時、無農薬で栽培してきた意味がわかった。虫達も食べたくなる様な安全で、美味しい野菜を栽培してきたのだと。だから、私はこの美味しさをみんなにも知って欲しくて、友達や知り合いの老夫婦に野菜をあげた。見た目は、売ってる物には負けるけど、味にはそれなりに自信はあった。自信があるだけに、みんな美味しいと言ってくれて、私はうれしさで、幸せいっぱいな気持ちになった。

私は、この授業を通して太陽があってこそ野菜が実るという自然の凄さを知り、野菜はまず土によって育てられ、美味しいものが私達の手に届くということも改めて知った。都会の真ん中で力強く育つ野菜を見て、私も力強く生きていこうと思う授業だった。

私の家では冬によくイチゴジャムを作っていた。しかし、市販のジャムの様なゼリー状には絶対にならなかった。なぜかと考えてみるが、毎回答えは出なかった。しかし、学校でイチゴジャムを作る実習をした時、答えがわかった。イチゴのへたを取り、イチゴと砂糖を入れてじっくり煮る。ここまでは家での作り方と同じだった。しかし、鍋にペクチンと酸を加えると、いつもととろみの様子が違ってきた。ジャムとは「ペクチン・酸・糖」の三要素で成り立っていたからだった。どれか、一つでも欠けたらゼリー状にはならない。家で作っているジャムはペクチンと酸の二つが欠けていて上手に仕上がらなかったのだ。私は、この実習で長い間、疑問に思っていたことの答えがわかり、ジャムの奥深さや食品への興味が増した。

また、印象に残っているのはニワトリをさばいてスモークチキンを作る実習だ。ニワトリの毛は取ってあるが顔はしっかりと体についていて、私はそれを見た時、気分が悪くなってしまった。気分が悪い中、まずニワトリの首を切断して、肛門に手を入れて内臓を取り除き、塩漬けして、ねかせる。ニワトリの肛門に手を入れるなんてやったこともなかったから、初めは凄く怖かったが、やり終えた後は達成感を感じられて、本当に私は良く頑張った、と自分を褒めてあげたかったくらいだ。だから、燻煙が終わって出来上がったスモークチキンは、クリスマスの七面鳥の様に美味しそうだった。

私が、違う学校の友達に「こんな授業をやっているんだよ」と話したら、羨ましそうな顔をして「楽しそうでいいなぁ」と言った。私は、その言葉を聞いて、普通の高校にはない楽しい授業ばかりだと思った。

日常、私達は、様々な食品を食べて生きている。そこには、畜産や鶏などの生命があり、また、野菜を育てる人々や製造する人々が存在するということを、農芸高校で学んだ。そして、高校三年生になった今、はっきりと自分の進路を決めなければいけない時期になった。入学時には決まっていなかったが、今では栄養士として仕事をしていきたいと思い始めた。他の動物や植物の生命が、私達の命をはぐくみ、支えている。そんな食品の大切さを栄養士として、みんなに伝えたいと思っている。

こんな気持ちにさせてくれたのは、農芸での勉強があったからだ。本当に自慢したくなる学校だと思う。だから、改めて言う、私の自慢の学校である。