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2026/01/17 在校生
【理数】地球の大自然を体感する伊豆大島巡検
2026年1月5日~6日に、3~5年生の有志20名と教員4名で伊豆大島巡検を実施しました!

伊豆大島はフィリピン海プレート上にできた火山で、約2万年前に海上へ現れました。20世紀には3回の大規模噴火を起こしており、直近には1986年に中規模噴火を起こして、約1か月間の全島避難となっています。巨大なカルデラを持つ活火山で、標高764mの三原山に直径約400メートル、深さ200mの大火口があります。伊豆大島火山が噴出する溶岩は玄武岩質で、高温で粘り気が小さいことが特徴です。火山だけでなく、植生の変遷や火山島での暮らしなど、都内でありながら、地球のダイナミックな大自然と人々の生活を学ぶ場として、毎年フィールドワークを行っております。
1月5日(月)20時に竹芝ふ頭に集合し、22時発の大型船さるびあ丸に乗船しました。
さるびあ丸からは、お台場やレインボーブリッジ、羽田空港などの都内の夜景を観察し、冬の大三角やオリオンなどの星空を眺めて過ごしました。

船内の2段ベッドで就寝後、翌朝6時に伊豆大島岡田港に到着しました。
大型バスに乗って、伊豆大島南西の地層大切断面に向かいました。

地層大切断面では、伊豆大島が形成して約2万年間の堆積物が積み重なったダイナミックな地層を観察しました。
スコリア、火山灰、土壌の互層を観察しながら、地層の不整合や溶岩流、火砕流堆積物なども観察しました。

再びバスに乗って、三原山山頂口に向かいます。
道中では、2013年に大規模な土砂災害があった元町地区を通りました。
防災公園となった被災地や新しく建てられた砂防堰堤などを見ながら、外輪山を上りました。
外輪山の尾根にある三原山山頂口でバスを降り、三原山レストセンターで朝食をとってから、ジオガイドの西谷さんと合流し、三原山登山へ向かいました。

まずは外輪山からカルデラと中央火口丘である三原山を観察しました。
三原山をバックに集合写真を撮り、カルデラ形成史や山頂から流れ出る1986年噴火の溶岩流のあとを観察しました。

続いて、カルデラ内へ降りて、1777年の溶岩流を観察しました。
この溶岩は玄武岩質溶岩の中でも温度が高く、粘性が低いため、流れながら固まった溶岩で、縄状溶岩やパホイホイ溶岩と呼ばれています。
パホイホイ溶岩に触れられる場所は、国内でも非常に珍しく、その流れる向きを観察しながら噴火したときのマグマの動きを推定しました。

次に、1986年の溶岩流の上に登りました。
この溶岩は玄武岩の中でも比較的粘性が高く、表面から冷えながら固まったため、表面がゴツゴツした形状となっているため、アア溶岩と呼ばれています。
アア溶岩の上を歩くと「カラカラ」と音を立てます。
アア溶岩の表面の隙間には、植物の小さい種が引っ掛かり、そこから新しい植生が回復します。溶岩流が流れていないスコリアや火山灰の表面には植生が回復しませんが、溶岩流の上には植生が入り込み、遷移が始まるのです。伊豆大島ではハチジョウイタドリやススキなどが先駆植物として、ハッチを形成していました。
カルデラを抜けて中央火口丘である三原山へ登ります。
三原山の山頂付近には三原神社があります。
伊豆大島では、古来より三原山の山そのものを「御神火様」として崇められてきました。「御神火」とは、三原山の噴火による火柱や火映のことを崇めて表した言葉です。1986年の溶岩流は三原神社の祠をよけて流れました。これは祠がある位置の裏側に大きな岩があり、標高も少し高くなっていたからであると考えられます。このような高まりをハワイ語でキプカというそうです。溶岩流被害から免れた神社で参拝をして、お鉢回りへ進みました。

お鉢回りは2年ぶりの実施です。
溶岩トンネルであるホルニトの内側を観察したり、地面から吹き上がる火山ガスを触ったりと、火口周辺ならではの体験もできました。
中央火口の底がみられる場所からは、火口のダイナミックな地形を観察し、歓声が上がりました。このような火山地形を間近にみられるのも伊豆大島ならではです。
中央火口(A火口)を見た後には、1986年にできた割れ目噴火の火口(B火口)も見学しました。

お鉢回りをした後は、歩いてきた道をたどって三原山山頂口まで戻り、ジオガイドさんとお別れをして、ジオミュージアム「ジオノス」を訪問しました。

ジオノスは今年の7月にオープンした新しい施設で、伊豆大島や伊豆諸島の赤色立体模型や地層大切断面の巨大な剥ぎ取り標本、3Dシアターなど見どころ満載の施設でした。
今回は昼食も含めて1時間しか時間が取れず、すべてを見ることはできませんでしたが、午前中の三原山登山で学んだことを振り返ったり、自分の興味を深めたりする時間となりました。
お昼は、ごはんやコンさんにお願いして、伊豆大島でとれたものを使ったお弁当を作っていただきました。
地魚やかめりあ豚、島野菜、岩のりなど島の味覚が盛りだくさんの弁当でした。ジオノスの屋外スペースで喫食しました。
ごはんやコンさん(https://www.instagram.com/gohanyacom/p/DTK_mOJklrL/)

バスで岡田港に戻り、お土産などを購入してから再びさるびあ丸に乗船して東京を目指します。
近年は伊豆大島近海でもクジラがみられるということで、甲板からみんなで探しましたが、今回は出会うことはできませんでした。
三浦半島や房総半島などの地形や横須賀、横浜などの都市の明かりを見ながら東京竹芝まで戻りました。
船内では巡検の振り返りも行いました。


予定通り19時に竹芝に到着し、下船後解散しました。
理数研究プロジェクトチームが企画している伊豆大島巡検ですが、毎回行程と内容を変えながら、4回目の実施となりました。
都内からアクセスが容易で、地球の大自然を体感できる場所して伊豆大島は魅力あふれるフィールドです。
夏の八丈島巡検に参加した生徒からは、「八丈島と比べて、伊豆大島は近年噴火が起こっているので地形や植生の変化がわかった。」という意見もありました。
巡検を通じて地球の活動を間近に感じてもらうことができました。
伊豆大島巡検初参加の教員3名にも、伊豆大島巡検の学びの深さを感じてもらいました。来年度も多くの生徒、教員が参加できるよう、準備して参ります。
ジオガイドの西谷さんや、伊豆大島の地物を使ったお弁当をご提供いただいたごはんやコンさん、食事場所をご提供いただいたジオミュージアム「ジオノス」のみなさま、ありがとうございました!
今回のフィールドワークの様子について、ジオガイドの西谷さんのブログでもご紹介いただいております。
https://blog.globalnature-club.com/entry/2026/01/06/223000
<生徒の感想>
Q 今回の巡検に参加した感想を教えてください。
- 実際に火山島に行ったことで、過去の学習での知識を深めることができたことに加え、噴火後に植生や生態系が再生していく過程にも注目することができた。さらに、くさやや椿など気候や水はけと人々のくらしの密接な関係も発見できた。今後火山へ赴くことがあれば、今回の知識を使って、また伊豆大島と比較したりしてより楽しく見学できると思う。
- 授業で聞いたことのあった地層や溶岩を実際に見て、あまり具体的に想像できていなかったものに触れることができて学びが深まった。火山活動によって形成される環境は、必ずしも人間が住みやすいとは限らないけれど、島民の方々はそれにあった工夫をして生活していると知った。ジオノスでは、午前中の登山で見た事に加え、生態系やこれまで起こってきた自然災害について知ることができた。
- まず往路では東京湾内の船の通航時のルールや湾内の景色、夜の羽田空港を離発着する飛行機を観察することができた。次に伊豆大島では三原山の地理的特徴について学ぶことができた。最後に復路では浦賀水道を航行する船舶の多さについて学ぶことができた。
- 初めての島への巡検で、特に火山を間近に見られて活火山の様子を観察できて良かった。三原山が成層火山であり黒っぽい玄武岩が主な岩石という知識をより体にしみて覚えられるようになった。今後の巡検にも参加して自分の深い学びにつなげられるようがんばりたい。
- 三原山の登山がおもしろかった。八丈島では聞けなかった植生の移り変わりが特に。縄状溶岩は形が好き。あと、地面があったかくて、活火山っていうものを始めて体感できた気がした。八丈島より船が揺れなかったから寝やすかった。
- 島巡検も船内泊も初めてで、いろんなことが新鮮な巡検だった。パホイホイ溶岩やアア溶岩を実際に見て触るなど意味記憶とエピソード記憶が結びついて、その知識が強化されたような感じがする機会が多かった。ジオノスはもう少しじっくり見たいところもあったが、十分濃密な時間だったと思う。
- 前回よりは時間が短かったものの船中泊もまたでき、初めてのお鉢周りで全然知らないような一面を見ることができてよかった。実際に五感で感じることで自然の雄大さや地形の成り立ちの面白さ、島の魅力を精一杯感じることができたと思う。ジオノスのVRを3回も見たのに灰皿を見損ねたのが悔やまれるのでまた行く理由ができたとポジティブにとらえるようにしたい。
- 伊豆大島巡検に参加するのは2回目なので前回の知識を振り返りつつ周りを広く観察でき、知識を深めることができて楽しかったです。また、はじめてのお鉢巡りや、ジオノスで文化的な歴史を学べたため三原山をより多角的な視点で見ることができたことで伊豆大島における三原山の存在の大きさを感じその大きさに心打たれました。
- 2回目の参加で、さらに短いスケジュールだったが、お鉢巡りやジオパークミュージアムなど、新しい体験がたくさんできて充実していた。イヤホン付きのガイドもとても良かった。ぜひ来年もやってほしい。
- 2回目の伊豆大島巡検だったが、前回できなかったお鉢巡りやジオノスの見学などができて良かった。前回は主に知識を入れることを意識しながら受け身な感じで参加したが、今回は「なんでそうなったのか」を考えたり、他の人に教えたりしながら参加できた。また、遷移について3学期に生物で学習する予定だから、イメージが湧きやすくなった。
- 前回の伊豆大島巡検とは異なることも多く 、新鮮な体験だった。船内泊は非日常的で、景色や船内の施設(シャワーなど)の利用を含めて面白かった。三原山は昨年とは異なるルートで、火口をさらに近くから見れた他、山の最高点からの景色はとても良かった。
- 前回の巡検では行けなかった、火口の周りを歩くことができて火口の大きさを感じることができた。ジオノスでは、大島の形成や火山の特徴がわかりやすく解説されていて面白かった。あと、初めての船中泊は少し酔った。
- 三鷹に入って初めての巡検だったが、一日とは思えないほど充実した濃い時間だった。普段は火山のニュースがあっても「そうなんだ」程度で終わってしまうものが、噴火というもの一つで地形や人々の暮らしを大きく変えてしまうものなんだなと肌で感じた。またカルデラなどは更地になってから成長していく過程を如実に表していて、今もその過程にあるというまさに歴史を生で見て実感できたのでとても貴重な体験だったと思う。
- 初めての巡検参加でしたが先生が多くてガイドさんなどのサポートも手厚くてとても充実した2日間になりました。
- 昨年度の巡検にはなかった、お鉢巡りやジオノスへの見学などを経験することができてよかった。前回は遷移などの話が伺えたが、灰皿の話など新たなことを知ることができた。イヤホンガイドもあって、ガイドの方が雑談でお話しされていた豆知識も聞こえたので良かった。
- 今まで教科書でしか学んでこなかったものが実際に見て触れることができとても自分のためになったし貴重な体験となった。さらに湯気が出ていたり、アホイホイ溶岩、アア溶岩、玄武岩など伊豆大島全体が活火山であり生きているように感じた。
- 人の手がほとんどはいっておらず自然のありのままの姿を見ることができ、日常生活では体験できないような経験をすることができたのでとても貴重な機会だった。
Q 今回の学びを、今後の探究活動や学校生活で、どのような場面につなげていきたいですか?
- 土が赤い理由や断崖と砂浜が存在する理由など、「なぜ」を深めることで、幅広く探究し知見を広げることができると知った。今後、探究活動や日常生活で、より多くの「なぜ」を深めたい。
- どのような学習内容についても、教科書を見るだけの学習とか、先入観だけで判断せず、自分でいろいろ調べてみたり、機会があったら実物を見たりして、経験を通した理解をしていきたい。
- 巡検は自らの学びを一層深くすることができる貴重な場だと思うので、今後も巡検ができるように意欲的な探究活動をしていきたい。
- ノコギリクワガタの内歯の数を離島ごとに調べて、どのような分布になっているのか調べたい。
- 実際に訪れて体感する大切さを学んだので、特に探究活動では得た知識を基にしたフィールドワークを重視するようにしたいと思う。
- 行っている最中に出た疑問点を忘れないうちに解決し、まとめることで後々に見た時に理解が深まると思う。また、来年地学基礎を取るので知識事項との関連付けもしたいと思う。
- 今回養った教科関係なく一つのものをより多くの視点で見て本質を見抜く力を探究の考察に繋げて自分の研究を新たな疑問を見つけやすい形にしていきたいです。
- 去年の研究内容を今年も引き継いで行いたい。今年はPythonなども使って、より正確なシミュレーションを行いたい。
- 火山の面白さを再び体感したため、地学の勉強を頑張ろうと思えた。地学以外の教科でも、知識を覚えるだけでなく、「どうしてそうなったのか」を考えることを大切にしたいと思った。
- 自身の科目選択上、普段学ばないジャンルであったため、そういった「自分は受験には使わない学問」にも価値を見出せるようにしたい
- 現地を訪れることで初めて知ることがあるという、フィールドワークの必要性を感じた。自分の探究でもフィールドワークをしたい。
- 巡検にまた参加しようと思った。これはなぜこうなっているのだろう?という疑問を常に持ち続けて生活したい。
- 植生についてとても興味深いものが多くて、「こういう背景があるからそこにその植物が沢山あるんだ!」という発見を色々なところで気にかけてみようと思った。
- 学習内容を実際に自分で見て、体験して理解するようにしたい。
- ただ椅子に座って教科書から学ぶのではなく実際に見たり触ったりすることが1番の学びだと分かったのでこれからは自分から率先して体験をするようにしたい。
- 苦手だった地学基礎をより身近な教科として苦手意識を克服していきたい