ニュース

2024/11/12 校長室より

創立100周年記念式典 校長式辞

百周年記念式典 式辞

菊薫るこの佳き日に、東京都立深川高等学校が創立百周年を迎え、本日記念式典を開催するにあたり、ご多用のところ、東京都議会議員あぜ上三和子様、白戸太朗様、細田いさむ様、さんのへあや様、東京都教育委員会より瀧沢佳宏教育監をはじめ、多くのご来賓の方々のご臨席を賜り、皆様と共に祝福できますことは、この上ない慶びであります。また歴代の校長先生方には現在の基盤を築いていただきましたことに感謝申し上げますとともに、記念事業の遂行のために献身的にご支援賜りました実行委員会をはじめ、同窓会、PTA、深交会の皆様に心より厚く御礼申し上げます。

本校は、関東大震災の翌年、東京市が焦土の中から急速に復興し、将来大いに向上・発展するためには、何よりも健全な市民を育成しなくてはならないとして、復興はまず教育をもってという理念のもと、大正13年、第一東京市立高等女学校として開校しました。

初代校長の吉田圭先生は、この意を受け「人間尊重」の精神を基調に校訓を定め、20年にわたって強固な基盤を築かれました。この精神は、第1回生とその当時の先生がまとめ上げた校歌に受け継がれ「心豊かに生いたたん」「はたらくものの幸知りて」「大杉の直く雄々しき心もて」とあるように、歌詞の中に残されております。

第2次世界大戦の昭和20年、戦災のため外郭を残し、全焼した校舎の復旧工事の中、昭和25年に校名が現在の東京都立深川高等学校と改称され、その校舎の全面改築が昭和58年に始まり、昭和60年に屋上にプールを設置した一部5階建ての現校舎が完成しました。正門左手奥の植え込みの中に建つブロンズ像は、戦火や風雪に耐えて歩み続けた母校のように、どんな試練にも屈することなく、未来に向かって強く清らかに生きてほしいという願いが込められており、玄関脇の外壁のレリーフは「友情の絆」と銘じて、友情は人生の宝であり、真実の友情の持続を表しています。これらのブロンズ像やレリーフは本校を象徴するものであり、現在の深川の校風に引き継がれております。

「伝統とは改革の連続である」というように、開校以来、深川の精神を堅持しながら、時代の要請に応じて変化していくための改革を進め、本校の教育は着実な歩みを続けて参りました。この間、独自の校風を維持・発展し、本校に学び、ここより巣立っていった卒業生は30,417名に達します。それぞれの能力や適性を存分に開花させ、日本全国はもとより、海外においても社会の様々な分野で中心的役割を果たし、活躍していることは本校の誇りとするところです。

この10年間を顧みますと、変化の激しい時代において、社会に出て活躍できる生徒を育成すべく、本校の教育目標である「自主・合理・積極・協調」を教育活動の根幹に据え、人格を磨くとともに、文武両道の実現を目指して、学力向上と部活動の推進に取り組んできました。

平成27年度から東京都教育委員会より「グローバル10」の指定を受け、令和4年度からは「Global Education Network 20」に指定され、英語合宿の実施や海外語学研修・姉妹校との国際交流など積極的に取り組み、国際理解教育を推進しております。そして、グローバル化の進展に伴い英語スキルの重要性が高まる中、英語4技能に重点を置き、バランスよく身に付ける指導改善や言語活動の充実を図り、昨年の英検2級以上の合格者数はコロナ前と比較しても50名近く増加しました。さらに毎年行われる英語のスピーチコンテスト、弁論大会等でも、毎回上位に入賞するなどの優秀な成績を収め、成果を得ています。こうした国際理解と外国語学習が充実している環境は、本校の特色として中学生や地域の方々からも高い評価を受けており、この春の卒業生は普通科、外国語コースともに非常に素晴らしい進路実績を残してくれました。また、部活動においても活性化を図り、平成30年度から「スポーツ特別強化校」及び「文化部推進校」に指定され、令和4年度からは「Sport Science Promotion Club」の指定を今年度も継続中です。女子剣道部は今年で11年連続関東大会出場を果たし、その間全国選抜大会出場2回、昨年は東京都秋季大会で優勝しました。サッカー部、水泳部、男子バレーボール部、卓球部など、運動部の上位大会進出、文化部では美術部・書道部の全国高等学校総合文化祭出場をはじめ、国際協力ボランティア部、吹奏楽部、演劇部など多くの部活動が伝統の中で培われた「粘り強さとやり抜く力」を十分に発揮し、実績を上げております。

学業はもとより、部活動や学校行事にも手を抜くことなく「全てに全力で取組む」という深高生の姿を追求し続け、この生徒たちの姿こそが、活力溢れる深川の原動力となっています。

さて在校生の皆さん、私は深川高校が伝統校としてあり続けられるのは、第一に深川に対する、同窓生、保護者、地域の方々の熱い思いがあるからだと思います。様々な場面で生徒を励まし支えてくださっていることが、深高生にとってどれだけ力になっているか分かりません。第二に教員の情熱、心意気です。本校の教員は深川で教えることの誇りと使命感をもって教壇に立ち、生徒と真剣に向き合っています。そして第三に生徒自身が新しい未来を切り拓いていこうとする力、すなわちフロンティア精神です。この3つが見事に融合し、深川という校風と伝統を創り上げ深高生を育んできたのだと思います。

皆さんには「文武両道の精神」「フロンティア精神」を本校で培い、新しい時代の創造者になるという気概をもって、夢に向かって果敢に挑戦してほしいと思います。そして皆さんが高い志と深川のプライドを胸に抱きながら、自分の人生を切り拓き、21世紀を逞しく生き抜いていくことを期待しています。

100周年の大きな節目に当たり、私ども教職員一同は深川高校を現状維持するだけでなく、更にそれを発展させなければならない責務の重さをひしひしと感じています。これまでの輝かしい伝統に新しい息吹を吹き込み、皆様方のご期待に応えられますよう決意を新たにし、さらなる躍進へと教職員一丸となって、自ら考え行動できる生徒主体の学校づくりに邁進してまいります。今後とも引き続きご厚情とご指導を賜りますようお願い申し上げます。

終わりに、本日ご臨席を賜りました皆様方の変わらぬご支援、ご協力を心よりお願い申し上げますとともに、皆様のご多幸を祈念申し上げ式辞といたします。

 

令和6年11月9日

東京都立深川高等学校 校長 馬場 智生