校章

東京都立富士森高等学校

ふりがな Language

122本目:卒業式式辞を掲載します

2025/03/10

 今日学校にこれが届きました。

 250310お礼状

 先日、2年生の進路ガイダンスの講師を依頼されて、この地域ではないある中学校で進路講演会をした、そのお礼状の束です。その中学校との御縁は10年以上前の生活指導主任の頃からで、私が副校長になった平成28年からずっと2年生向けの進路講演会に呼んでいただいています。途中コロナの時期にオンラインや動画撮影等で対応していたのですが、再び対面で講演会を開催できるようになったところで、再開した経緯があります。お礼状を手に取って読んでみると、随所に未知だったものに対する「気づき」とまだ見ぬ世界に対する「想像」が前向きな期待感とともに書かれていました。1年後には既に入学試験が終わっているという現実に気づい、ショックを受けている生徒もいたようですが、担任や進路指導の先生方としっかり想像して、準備してほしいと思います。

 

 さて、今日は土曜日の卒業式の際の、校長式辞を掲載します。どのような話をしたか見ていただき、読んだ方がどのような感想を持たれるのかを想像したいと思います。同日に前任校も卒業式だったそうですが、聞くところによると在校生送辞の中に「先代の校長先生のお言葉を拝借するなら~」という台詞があったそうです。去年の私の式辞を引用したとのことで、ちゃんと響いているんだなぁとちょっと嬉しいです。

 もちろん今年は富士森で初めての卒業式の校長式辞ですから、結構な時間をかけて準備をしました。卒業ふじもりメンバーの皆さんに少しでも響いてくれるといいなぁと想像しています。

 それではどうぞ。

 

 令和六年度 卒業式 式辞

 本日御来場の皆様は、正門を入るとすぐに目に入る梅の木が、満開になっていることに気づかれましたでしょうか。本校では4月の入学式は南浅川河川敷の桜たちが、そして卒業式では校内の梅の木が、新入生や卒業生を祝ってくれます。本日この良き日に、本校学校運営連絡協議会委員である文京学院大学教授樋口桂様をはじめとして多くの御来賓の方々に御臨席を賜り、多くの卒業生保護者等御家族の皆様に御来場いただき東京都立富士森高等学校第71回卒業式を挙行できますことは、校長としてこの上ない喜びです。

 ただいま卒業証書を授与しました302名の卒業生の皆さん、改めまして卒業おめでとうございます。富士森高等学校の教職員一同、心から皆さんの卒業をお祝い申し上げます。

 卒業生の皆さん、皆さんが入学した頃のことを覚えていますか。マスクを着用し間隔を空けての着席、保護者の皆様にも式への来場の制限に御協力いただく形でなんとか入学式を挙行できた、そういう時期でした。このように新型コロナウイルス感染症にともなう様々な制約から少しずつ解放され「新しい日常」に移行しつつも、感染症予防に細心の注意を払いながら皆さんの高校生活が始まりました。卒業アルバムを手に取って見てみると、様々な行事にマスクを着用した皆さんの様子が写っていることからもその苦労が想像できます。その中にあっても皆さんは、「自分たちの手で行事を作り上げ、後輩に託したい」という富士森の伝統的な想いを受け継ぎ、特に今年度は最上級生として精一杯この学校を引っ張ってくれたと私の目には映っています。体育祭や文化祭では実行委員会の中心となり、また学年行事等も行事係を中心にして、生徒主体で自分たちのやりたいことを実現可能にしていく姿はとても頼もしく映りましたし、素直に応援したい気持ちになりました。これはどの先生方も一緒だったと思います。特に5月末に予定していた体育祭が雨のために順延し、さらに予備日前日に大雨が降って開催が危ぶまれたあの時、中止を覚悟して出勤した私が目にした、グラウンドを何とか使える形にして体育祭を開催しようと努力している皆さんの姿に、とても感動したことはしっかり記憶しています。時程をずらし、プログラムを削り、最初の競技種目の100メートル走の距離を短くしてプログラムを成立させた一連の流れも「さすがに文武不岐の富士森だな」と気づかされました。このエピソードはその時の写真と一緒に私が参加したたくさんの中学校の説明会で、富士森の誇りとして話をしました。どの中学校でも感心して聞いてくれていました。またその姿は後を引き継ぐ現在の2年生・1年生の心の中に大切な気づきを与えてくれていると想像しています。そのことに私は校長としてとても感謝していますし、体育祭を実施できたことを誇りに思っています。今年度入学した1年生の中には、学校説明会等を通じて、生徒主体で取り組んでいる本校の行事や部活動に魅力を感じて入学を希望した生徒がいます。きっと昨年度も今年度と同様に生徒会や部活動を中心にオープンキャンパスや学校説明会で、当時2年生だった皆さんが積極的に発信してくれたことに魅力を感じた受検生が多かったであろうことは容易に想像できます。これも皆さんを誇りに思えるところですし、校長して感謝しています。どうもありがとうございました。

 さて、保護者等御家族の皆様。お子様の御卒業まことにおめでとうございます。

 保護者の皆様のお喜びもひとしおのことと拝察いたします。今年度私が校長に着任して以来、事あるごとに「保護者と学校との連携」についてお願いしてまいりました。御協力いただきありがとうございました。感謝申し上げます。令和4年4月にお預かりして以来、ともに成長を見守り続けてきたお子様を卒業生として本日保護者の皆様にお返しいたします。「新しい日常」の制約の中での教育活動ではありましたが、それぞれが自分の進路を見つけ、卒業後の未来を切り拓くことができ、現時点で合格発表待ち等の未定者がおりますが、多くの卒業生が自分の進むべき道を決めることができました。それぞれの生徒が自分の進路を見極め、進むべき道を切り拓くことができ、これ程嬉しいことはありません。

 最後になりますが、卒業生の皆さん、今年度の1学期始業式で初めて皆さんに会った時、私が何を話したか覚えていますか。「来年の今頃、どこで何をしているか想像してごらん」という話です。卒業を迎える今はどうですか。想像した通りの道を進むことになっていますか。必ずしも想像した通りにはなっていないかも知れません。しかしその時その時で真剣に向き合って切り拓いた結果が今この時のはずです。始業式の時にはさらにこうも言いました。「5年後、10年後の自分を想像してごらん」。

 これから皆さんはSociety5.0さらには「ヴーカ」と言われる社会で生き抜いていくことを求められます。変化が大きくかつ曖昧という特徴を持つその時代は、気づいたことについて、自分で調べ、自分で整理し、自分で想像し、自分で判断するということがとても重要です。そしてその結果に対して、自分で責任を取ることになります。本校で身に付けたスキルを活用し、進学先や就職先で早く新しい環境に慣れ、自身の個性を生かしながら頑張って欲しいと思います。

 これから富士森高校(ふじもり)は皆さんにとっての「灯台」になります。船は灯台があるおかげで自分の位置を確認することができ、迷わずに進むことができます。皆さんもこれからの人生で時として迷うことがあるでしょう。また落ち込んでしまうこともあるでしょう。そんな時はどうぞ本校を訪ねてきてください。その時また一緒に考えましょう。今回の卒業証書の最後の番号は22273番です。つまり22273名の同窓生という心強い仲間がいるということです。

 さあ卒業生の皆さん。中学生の時に「入りたい」学校として希望して入学した東京都立富士森高等学校という港からの船出の時です。日ごろから皆さんに伝えていた「看板を背負う」「プライドを持つ」に進化させて、「入ってよかった」と振り返れるようにしっかり前を見て進んでいってください。卒業生の皆さんの船出が幸多からんことと本校で学んだことを活かし、皆さんが新しい社会で自分の希望を叶えながら活躍することを祈念して式辞の結びといたします。

 

令和7年3月8日

   東京都立富士森高等学校長 中村 弘志

 

①今朝はすっきりした青空でした。遠くの山並みは雪で真っ白ですね。正門に入ってまずは梅の木の元に立って、しっかり咲いていてくれたお礼を言いました。正門では生活指導部の先生方が入口に入ってすぐの3年生が使っていた駐輪場が空いたので、入れ替えをしています。ちょっと寂しい気もしますが、こうやって少しづつ「代替わり」していくんですね。今日のおはようカウンターは463回でした。

 250310校舎 250310梅

 250310おはようカウンター