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東京都立両国高等学校・附属中学校

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2023/11/20 高校生

勝浦フィールドワーク合宿

11月3日~4日、本校高校1年生15名は探究活動の一環として、千葉県の勝浦市に農業や漁業や観光の学びを通して地域課題を調査するためのフィールドワーク合宿を行いました。

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まずは合宿前に事前学習として千葉大学大学院国際学術研究院助教の田島先生を講師に招き、勝浦市の現状や他の地域との比較検討、勝浦市の風土や特徴である朝市の課題についての仮説検討などを行い、地誌的なリテラシーを取り込んだ上で合宿に臨みました。

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合宿初日午前中は、勝浦市観光協会の副会長江澤様や事務局長の西村様から「朝市の存続への挑戦」と題して朝市の歴史や朝市存続のための組織改革や新たな業態の出店の経緯などをお話いただきました。話を聞き終えた生徒からも人口減少化の中でどのように課題を乗り越えていったのか、勝浦の資源豊かな海や岩盤のため地震災害が少ない自然環境を、産業とどのように融合させているのかなどの質問が飛びかいました。江澤様からは、既存の店舗だけでなく新たな形態のマルシェとよばれる出店者達との共存や、地元の学校の出店の体験、海産物だけでなく様々な魅力的な商品の販売などを通して、その取り組みがマスコミに取り上げられるようになり、相乗効果となり賑わいを見せているとの回答を得られました。また勝浦市は観測史上猛暑日(35℃)を記録したことがないとのことで、夏場の避暑地としても人気がありそれら自然環境の影響も朝市の成功の要因となっているようです。

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午後は、農場に移動し体験学習や鳥獣による農作物被害などの現実などの講話をいただきました。さつまいも掘りに一生懸命に取り組んだ生徒達は、嬉しそうに家族へのお土産を手に農家の方々の話に耳を傾けておりました。近年特に鳥獣被害として深刻なのがホエジカ類に分類される「キョン」とよばれる外来種である小型のシカの一種が千葉県房総半島を中心に大量に繁殖しており、柵を作っても飛び越え作物を食い荒らすとのことで被害が止まらないと嘆いておられました。また猟師の高齢化などからキョンの大繁殖は止まらないようで房総半島を北上しているとのことです。近い将来、江戸川を渡って都内でも農作物被害が起こりうるかもしれないという話に生徒達も我が事のように聞いておりました。道中、キョンの姿を見ることはありませんでしたが、夜バーベキューをしている際、しきりに聞きなれない「ギャー」という鳴き声のようなものが聞こえました。キョンの鳴き声だったのかもしれません。

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2日目の午前中はレンタルサイクルで勝浦市内の漁港にお邪魔して、「外房漁師の海洋資源を保全するための取り組み」について千葉県沿岸小型漁船魚業協同組合キンメ部会長吉野文仁様からお話を伺いました。SDGSの先取りとして、漁場協定で乱獲を阻止していることや漁具や操業を厳しく規制することで、外房ブランドであるキンメダイの水産資源の管理をしています。また、一度釣り上げたキンメの背中に標識のタグを打ち、再びどこかの漁場で釣り上げた際にどんな行動をとっているのかなどの生態調査も自主的におこない、勝浦の漁師の皆さんが組織として資源管理を徹底している姿勢が窺えました。それらの取り組みは国連のFAOが提唱するサスティナブルな水産資源の利用の理念とも合致しているため、同組織からも高い評価を受けています。以上の取り組みと合わせて勝浦のキンメ漁のすばらしさやまちづくりとの関連について1時間程度の講話をいただきました。講話終了後にタイミングよく帰港した漁船からマグロが水揚げされて、記念に全員でマグロの前で撮影することができ良い思い出になりました。

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2日目の午後は学んだ事を確認するための実地調査として自転車で海岸線を中心に観光地をめぐり、勝浦の魅力について知ることができ合宿を締めくくる事ができました。

勝浦で学んだ地域課題への取り組みを自身の探究の時間での課題解決へと結びつけ、とくにSDGSの視点から持続可能な発展を目標に活動していって欲しいと思います。
合宿中、暖かく迎えてくださり私たちの取り組みにご協力いただきました皆様方に感謝申し上げます。ありがとうございました。