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2022/11/14 中学生
平和教育(中3)
11月4日(金)の「総合的な学習の時間」では、平和教育の一環で講演会を開催しました。1人目の講師は、東京大空襲に当時6歳で被災した西尾静子さん。2人目の講師は、東京大空襲のドキュメンタリー映画「ペーパー・シティ」を制作した、オーストラリア人映画監督のエイドリアン・フランシスさんです。
講演は、「西尾さんが当時通っていた幼稚園のクラスメイト23人のうち、西尾さんのみが生き残った。」という話から始まりました。途中、何度も「私の心は壊れました。」という言葉を多用され、東京大空襲の悲惨さを改めて痛感する内容でした。生徒たちは、歴史の授業等で、東京大空襲についての死者数や焼失した範囲等についてデータとしての知識を備えています。しかし、戦争で被災した方からこうして直接お話を伺う機会は初めてで、データだけでは分からない、空襲の凄惨さを知りました。西尾静子さんのお話を聞いて、途中で、想像以上の悲惨さに、思わずメモも忘れて聞き入っている様子がわかりました。最後の西尾さんからのメッセージで「これからは、あなたたちに託します。」という言葉が、重く、とても印象に残りました。
後半のエイドリアンのお話では、エイドリアンさんが東京大空襲を知り、深い関心を抱いて、東京大空襲の体験者に聞き取りをしたドキュメンタリー作品を、7年もの歳月をかけて制作した、という事実に衝撃を受けました。エイドリアンさんの「戦争を始めるのは政府だが、それで犠牲になるのはいつも市民だ。」という言葉や、自分の国ではない遠い国の歴史について興味をもち、世界に発信していこうとする生き方に、深い感銘を受けました。同時に、人種や立場に関係なく世界的な視野を持って生きていくことの大切さを学びました。終始英語での講演でしたが、最後の質疑応答では、生徒からも英語での質問が飛び交い、活発に交流することができました。
生徒の振り返りでは、今回の講演を通じて、自分が住んでいる東京の地で起こった悲劇について、当事者の声を聴いて学ぶことができた、といった意見が大半を占めました。現代を東京で生きる私たちだからこそ、東京大空襲という残酷な歴史を2度と繰り返さないように、「人々の思いと共に次の世代へと語り継いでいくこと」を決意したようです。
今回の講演を通して、改めて「平和」について考えることができました。日々、当たり前のように享受している「平和」の尊さを思い知りました。西尾さん、エイドリアンさん、この度は、本校15期生にこのような貴重な機会を与えて下さり、ありがとうございました。