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東京都立両国高等学校・附属中学校

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2022/05/16 中学生

校外学習③(中学3年生)

「森林保全の取り組みから日本の林業の課題を見つける」というツアーに参加しました。

前半は、音楽家・坂本龍一氏が代表を務める森林保全団体more trees(モア・トゥリーズ)の方による、「森林と私達のくらし」についての講演でした。森林減少による異常気象現象の話から始まり、森林減少の速度の話では、世界の森林が、1秒間にサッカーコート2面分、テニスコート15面分ものスピードで減っているという事実を知り、生徒は一様に驚いた様子でした。森林が減少している要因の1つに、パームオイルを作る際に森を田畑にしていることを例に挙げて、私たちの生活と無関係ではないことを知りました。また、生徒は、「林業の従事者たちが減っているだろうから、日本の森林も減少しているだろう」と予想していましたが、逆に「日本の森は100年間で増え続けている」事実を知ったことで、偏見を持たず正しい情報を得ていく必要性を感じました。さらに、地球温暖化対策で、木を多く植えて育てるということは大切な一方で、林業が持続的に発展していくためには、木材自給率(現在42%)を上げる(消費する)方策や、林業におけるリスクと利益が釣り合う手立てなどを、自分事として捉えていくことの大切さに気づきました。講演の中ではSDGsのどの目標と関連深いかも教えてくださり、「17 パートナーシップで目標を達成しよう」にも触れられていて、商品を選ぶ際にサステナブルラベルなどを参考に「環境問題に取り組んでいる企業を応援する」という視点を持つことが大切だと学びました。

後半は、細田木材工業を訪れ、木材加工の様子を見学しました。実際の商品としての1本1500万や数百万の銘木を見たり、触れてみたりすることで、通常の木材と「銘木」の違いを感じ取りました。最初は、林業にあまり関心がなかった生徒たちも、このツアーを通じて、木についての幅広い知識、木の奥深さ知ったり、体験したり、解決策を議論していく中で、木や林業(の問題)を身近なものとして感じるようになりました。

 

【生徒の感想や気づき】

・森林や林業について興味がなかったが、我々の暮らしと密接に関わっていることに気づき、自分の知らないこと、興味のないことでも逆に積極的に取り組んで知見を広げていきたいと思った。

・SDGsを目標にして世界中で取り組んでいるが、どこか遠い国や未来のように捉えていたが、自分事として捉えていきたい。

・森林は、東京にいると気づかないが、日本の大切な資源の1つであると改めて感じた。

・新国立競技場に木を使うなど期の使用に積極な姿勢を見せながらあまり消費者に広まっていないから、木材自給率を上げられるようもっとアピールする必要がある。

・今まで木材に対して値段が高い、耐久性が低いというイメージがあったがイメージが変った。木材に対する偏見をなくして興味を持ってもらえる方法を自分が考えていきたい。

・林業を発展させるために1人1人が木材を有効に活用するという意思を持って行動する

ことが重要。

・家具などを買う際には、サステナブルラベルの製品を応援したり、これまで家具の木材産地を気にしたことはなかったが、機会があれば国産のものを買ってみたりする。

 

午前の講義と体験、午後の校内でのワークショップを通して、生徒たちにとって、森林資源の利活用や私たちの消費などの観点からその未来について深く考える良い機会となりました。また、問題解決のプロセスを学ぶことができ、「社会問題は、誰か1人だけが悪いのではないから、1人1人の意識を変えていかないと解決できないこと。逆に意識が変れば解決に近づくこと可能性があること」を知ったので、卒業研究等に向けた取り組みなど様々な場面でこの考え方を生かしていってほしいと思います。

 

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