校章

東京都立両国高等学校・附属中学校

ニュース

2022/04/29 中学生

総合的な学習の時間(中学3年生)

「総合的な学習の時間」で3年間を通して取り組んでいる「志学(こころざしがく)」の授業。3年生に進級して迎えた初回授業では、認定NPO法人Dialogue for Peopleの副代表でフォトジャーナリスト安田菜津紀さんにご来校いただき、ご講演いただきました。

演題は「日本も大変なのに、どうして世界のことを考える必要があるの?」
安田さんからの「海外での取材について発信を続けていると、『日本だって大変じゃない』『まず国内のことが先でしょ』という声を耳にすることがあります。皆さんはどう思うでしょうか?」という問いかけで講演が始まりました。安田さんが自ら撮影した写真(シリア・カンボジア・東日本大震災)を提示しつつ、現地で暮らす人々の生きた声に耳を傾け取材してきた模様を、体験談を交えて語ってくださいました。山頂から撮影された街灯で明るく照らされていた美しいシリアの街が、一瞬にして戦場へ、そして、友だちや家族の笑顔が一瞬にしてなくなってしまった変化の様子がわかる写真を見て、たとえ戦争が収まったとしても、街や人々の身体や心の傷はすぐには戻らないことを感じ取りました。さらに、東日本大震災の復興支援は、国内だけでなく、海外からも複数あったことを改めて知り、「恩返し」ではなく「恩送り」という言葉を教えていただきました。これは、自分たちが「受けた恩を返す」ことよりも、「受けた恩と同じだけ、今、困っている人を助ける」ことが大切、という意味です。世界は支え合って成り立っているということに、改めて気づくことができました。

【生徒の感想や気づき】
・普段のニュースや新聞でしか触れることのない、他国の苦しい現状を知り、他人事ではないのだと気づかされた。
・自然と耳に入ってくる情報だけでなく、もっと視野を広げて、自主的に、身近な社会問題と向き合っていきたい。
・自分にできることは、日本のことや世界のこと、まず「知る努力」をすることが必要。
・世界について知るためのツールとして、英語をもっと勉強していきたい。
・一時の自己満足で終わらず、細くても長く続く支援を考えていけたら良いと思う。
・自分が困ったときに相手が助ける、相手が困ったときに自分が助ける、そんな基本的な人間関係の延長が国を助けることだと思った。
・日本でも大きな災害が起こった時に、世界はたくさんの恩をくださったので、この恩をどこかで自分も渡さなければならない。
・誰でも「戦争はよくない」といえるけど、実際に行動に移せば、見方も変わると感じた。

「世界の問題や課題について考えるのは、『国』の問題ではなく、『人』の問題だから」
安田さんが何気なく述べたこの言葉が、生徒達の心に深く刺さる講演会となりました。社会の第一線で活躍されている安田菜津紀さんのお話を直接聞けた経験は、生徒達にとって大きな刺激であり、財産となりました。この度は本校でご講演いただき誠にありがとうございました。

01