校章

東京都立久留米西高等学校

336粒目:昨日の始業式校長講話の原稿を掲載します。

2024/01/10

 今日は正門に立った後、その足で校内を巡回して回りました。1年生と2年生は実力テストを実施していました。巡回していて今更ながら気づいたのですが、特別教室棟に掲示されている3年選択授業「自然科学の探究」の発表はいいですね。掲示されていたものはどれも「テーマ設定」「仮説」「検証準備」「検証」「結果集約」「考察」の流れになっていて、思わず立ち止まって読んでしまいました。必ず「仮説」の立案が入っているところがいいです。

 240110自然探究1 240110自然探究2

 さて、今回は昨日の始業式での校長講話の原稿を掲載します。いつも静かに耳を傾けてくれてありがとうございます。できるだけ講話の時間を短くしようとかなり省略しましたが、内容は原稿に沿ったつもりです。それではどうぞ。

 

 みなさん、おはようございます。校長の中村です。

 

 学校にとって始業式は新年の始まりの日ですから、本来であれば「あけましておめでとうございます」から話し始めるところではありますが、今日はその言葉は使いません。どうしてか皆さんは想像がつきますよね。

 

 今年は新年早々「能登半島地震」と羽田空港の事故で多くの尊い命が失われることとなりました。心より哀悼の意を表したいと思います。

 能登半島地震ではいまだに家屋の下敷きになっている人の救出活動や安否不明者の捜索が続いています。ここ数日現地では雨や雪が降り非常に寒い状況であることを考えると、一刻も早い救出を願ってやみません。また被災された方々の今の生活や今後の復旧活動についても気になるところです。これからも報道に注目していきたいと思っています。

 今回私は年末年始に車で帰省しましたが、帰省先で能登半島地震に遭遇しました。私の実家の地域は津波注意報が出ましたし、地震の時には海に近いショッピングモールにいました。また夜中にも地域の防災無線で地震に対する警戒を怠らないようにという放送が入っていました。3日に東京に戻る予定でしたが、飛行機で帰省していたら羽田空港の事故の影響も受けたことでしょう。この一連の流れの中で、その時々の最善の対応について私も私なりにさまざまな「想像」をめぐらせることになりました。

 

 羽田空港の事故はこれから検証して防止対策を取ることで防ける可能性が高い事故です。一方「能登半島地震」は検証しても防ぐことが難しい「自然災害」です。とはいえ自然災害に対してどのように対応するか、どうすることで被害を最小限に食い止めることができるかという対策について、しっかり考えておくことは必要だと思います。

 それらの対策を考える上で必要なものはやはり一人ひとりの「想像」だと思います。あえて一人ひとりと言ったのは「国」や都道府県等の「自治体」に任せるだけでなく、一人ひとりがしっかりと判断して行動する統率の取れた対策も重要だと考えるからです。実際に羽田空港の事故では客室乗務員の適切な誘導で乗客乗務員全員が大きなけがなく退避することができたそうです。「早く出してください」という子供の叫び声にもひるむことなく客室乗務員が全体のパニックを押さえる行動をとっている様子が実際の映像としてテレビで紹介されていました。これはそれまでの訓練の成果ともいうべきだとは思いますが、さらに特筆するべきことは8ヶ所ある非常口のうち後方の1ヶ所を開けたのは担当客室常務員の個人の判断だったということです。前方との連絡システムがダウンした状態で、前方の2ヶ所の外に安全と判断した後方1ヶ所の非常口を開けたこの対応によって全員の避難にかかる時間が大幅に短縮された可能性が高いそうです。これも日頃の訓練の中で想定されていたことであることは容易に想像できます。また脱出後に少し離れた場所で10名ずつかたまることで人数を把握し、一方機内に残っている人がいないかを確認した上で最後に機長が後方のシューターから脱出するといったシーンの映像もありました。この映像から乗客乗員全員の行動が訓練にしたがってしっかり統率されていたと感じています。不安の感情のコントロールが難しい子供が叫ぶのは仕方ないかもしれません。皆さんがもしあの場面に遭遇した時に、子供のように叫ぶのか、非常口に我先にと殺到するのか、客室乗務員に対応を迫って避難のための準備を妨げるのか、指示を正しく理解して落ち着いて行動するのか、脱出シューターの下で補助をする等「できることを協力する」のか、脱出後に指示に従い人数把握に協力するのか、どういう行動を取るか想像してみてください。

 

 皆さんは2学期の終業式で私が話した話を覚えていますか。あの時私は避難訓練に対する取り組み姿勢についてあえて厳しい言い方をしました。避難訓練の意味をしっかり理解して真剣に取り組み、まずは「自助」として安全かつ速やかに身の安全を確保して人数把握をし、その後「共助」に向かうという姿勢について、話しました。それから2週間も経たないところでこのようなことが起こるとはもちろん私も想像していませんでした。しかし現実に起きてしまいました。「災害」はいつ起きてもおかしくありません。次の避難訓練を待ってはくれません。お正月に起きたことからしっかり想像していくしかありません。本能のおもむくままではなく、指示に従い、やるべきことを見据えて行動していけるくるにしメンバーであってほしいと思っています。

 

 いよいよ令和5年度の仕上げの学期である3学期を迎えます。

 1年生の皆さんは中学校までの義務教育を終えて初めての進級にチャレンジします。1年生の成績は1年生のうちにしかつきません。あとから修正できないものです。つまり進路活動で必要な調査書や評定平均といったものに反映する動かない数字が初めてつくということです。皆さんは1年前に高校入試の内申点という形で経験していますよね。「やりたいことのできる可能性」を閉ざすことにならないように、しっかりと最後の仕上げをしてください。

 2年生は既に1年生の時に積み上げた成績を基にして、自分のやるべき道の方向性をしっかり見極めてください。そのために準備として2学期に来年度の選択科目の履修を決めたはずです。3ヶ月後の3年生の始業式をどのような気持ちで迎えるかをしっかり想像して3学期を過ごしてください。

 3年生はあと何日学校に登校するか知っていますか?私が数えたところ、学校に登校するのは17日だと思います。その前に総仕上げとしての学年末考査がすぐに始まりますね。授業自体はそれほどの回数がないまま1年間の総仕上げの考査となりますから、一日一日をより一層大切に過ごす必要があります。全員が笑顔で卒業式当日を迎えられることを期待しています。また3年生の皆さんの中には大学入学共通テスト等一般受験をして進路を拓いていく人がいますよね。体調管理に充分気をつけ、いかんなく力を発揮してほしいと思います。頑張ってくださいね。

 

 今回話した内容は、この後校長ブログにアップしておきますので、気になることがあったら読み返してみてください。

 

 以上で、私からの話は終わります。

 240109始業式

 

①今日の田無タワー方面は雲一つない冬の青空でした。正門前もそんなには寒くなく、おはようカウンター292回でした。

 240110田無タワー 240110おはようカウンター

②334粒目で紹介したヒマワリが開花していました。冬なのに頑張っていますね。

 240110ひまわり

③昨日まで職員玄関にはお正月飾りがありました。毎度おなじみ環境整備員さんの手作りです。出勤してすぐに目に入ってくるので、とても華やかな感じがします。

 240109正月飾り1 240109正月飾り2

④今朝の出勤途中、いつもの清富士通りで今年最初の「いか星人」を発見しました。これは残念です。

 240110いか星人