校章

東京都立久留米西高等学校

23粒目:「東京2020オリンピック開会式を見て気づいたこと その②」

2021/08/03

 今回は21粒目のジョン・レノン「イマジン」の話の続きです。

 この曲の2番の歌詞の冒頭に「Imagine There’s no countries」とあります。和訳してみてください。何も難しいことはありません。本当にみなさんが想像した通りですから。

 

 開会式の入場行進を見ていて、息子と「あいうえお順」で次に入場する国の予想をしていました。次に入場してくるのですぐに答え合わせになるわけですがそう簡単には当たらず、知らない国がたくさんあることを再認識しました。そんなことをしている途中でふと思いました。

 「テレビ画面の端にその国の場所を地図で示してくれればいいのに」

 今の技術であればそんなに難しいことではないと思ったので、とても不思議でしたが、途中でそれができない理由に気づきました。もちろん正解かどうかわかりませんが、皆さんも理由を想像してみてください。

 

 私の想像した理由はこうです。

 「国として参加している団体ばかりではなく、また地域や国境を特定しきれない実情もあるから」

 

 開会式の入場行進を見ていて気づいた人も多いと思います。すべての団体が「国」ではなかったですよね。では、皆さんの知っている範囲で今回「国」以外の団体はどこがあったでしょうか?私もすべてを即座に答えられません。ただギリシャに続いて入場した個人参加の「難民選手団」や「ROC」といった「団体」があったのは、その背景も含めて事情は多くの人の知るところです。入場の時に持っていた旗は「国旗」ではありませんでした。

 表彰式でもメダルを取った選手の国の国旗を掲揚し、金メダルを取った選手の国の国歌を流すことになっていますが、必ずしもその通りにはなっていません。果たしてアスリートたちはどういう思いでいるか、想像してみてください。

 

 これを書いている時点(8/3)で、日本のメダルラッシュを多くのメディアが取り上げています。

 過去に例のない「5年」の歳月を様々な思いを持ちながら自分を研ぎ澄まして頑張ったアスリートのことを想像するとリスペクトの気持ちしかありません。そして様々な国の人たちが自分の国の選手の活躍につい一喜一憂してしまうことも、不自然なことではないと思います。

 卓球混合ダブルスで日本が金メダルを取りましたね。試合の最初から最後までの一進一退の攻防に私はテレビにくぎ付けになりました。表彰式のシーンを見ていて、ふと気づいたことがあります。開会式で違和感を覚えて気づいたことの延長戦にあることです。公式な記録ではこうなっています。(引用https://olympics.com/tokyo-2020/olympic-games/ja/results/table-tennis/medal-standings.htm

 金:日本  銀:中華人民共和国  銅:チャイニーズ・タイペイ

 知っている人も多いと思いますが、ここにも複雑な事情はあります。

 

 世界(この地球)は様々な問題をはらんでします。それを超越したところでオリンピックは存在しているはずです。あくまでもそれが理想です。

 オリンピック憲章規則6の1に「オリンピック競技大会は、個人種目または団体種目での選手間の競争であり、国家間の競争ではない」と明記されています。

(出典https://www.joc.or.jp/olympism/charter/pdf/olympiccharter2019.pdf

 

 「イマジン」がオリンピックで使われるのは初めてではありません。

 様々な矛盾をはらんでいる実情の中でこの曲が開会式に流れた意味を、私なりに想像してみました。私の解釈は少しおめでたいかもしれません。

 ただ1971年に発表されたこの曲が、今でも人々の想像力をかき立てる、その存在感の強さに敬服しています。

 そして、その歌詞のシンプルさに。

 皆さんは誠実に真剣に競技に向き合うアスリートたちのことを想像してみてください。

 

 今回は少し難しい話をしたかもしれません。

 

 もし知らないことがあるのならきちんと調べて、想像して、自分の意見を持つことの大切さをぜひ学んでください。

 

 そしてやみくもに他者を否定して自分の意見を通そうとするのではなく、他者の意見に聞く耳を持つ姿勢も必ず併せ持つようにしてくださいね。

 

①今朝は午前中に雨が降る予報でした。そうやって見ると田無タワーの方角には低い位置に雲がありました。

 210803田無タワー