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2025/03/13 お知らせ
卒業式を挙行いたしました
2025/3/7
都立小平南高等学校第40期生の卒業式を挙行いたしました。
ご卒業おめでとうございます。
校長よりいただいた式辞を掲載します。
卒業式式辞
式辞を述べる前に、このたび発生した大船渡をはじめとする山林火災において殉難された方のご冥福を心中より深くお祈り申し上げ、被災された方々に対しまして心よりお見舞い申し上げ、一日も早い復興をお祈り申し上げます。
これより式辞とさせていただきます。
寒さがやわらぎはじめ澄み渡る晴天のもと春の日差しと息吹を感じ、梅花馥郁たるこの良き日に、東京都立小平南高等学校第40回卒業式が挙行できますことを、心より深く感謝申し上げます。
第40期生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
本日はご多用の中、東京都議会議員 礒山亮 様、同じく東京都議会議員 竹井ようこ 様、小平市青少対十小地区委員 今村泰子 様、PTA会長 山本敦子 様、PTA副会長 柳澤英子 様、PTA会計 古川ひろみ 様には本校卒業生の為にお時間を頂戴し足をお運びくださいました。高い所からではありますが、厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。
そして入学以来今日まで、お子様を支え励ましてこられた保護者の皆様にも、ご卒業を心からお祝い申し上げ、三年間本校の教育活動に御理解と御協力を賜わったことを、教職員を代表致しまして御礼を申し上げます。
先程、呼名時に皆さんのお顔を拝見して高校3年間の学びを得て立派に成長され、その姿から皆さんの自信と誇りを感じることができました。また、立派な進路実績を上げられ、コミナミの歴史に40期生として確かな足跡を残し、「努力、自律、英知」というコミナミ伝統のバトンを後輩に渡すことができました。今後はそれぞれの進路先で精一杯活躍されることを念願しております。
皆さんは中学1年生3学期のころから新型コロナウイルスの影響により、通常の活動ができず授業再開後も色々な制約の中での学校生活が余儀なくされるなか、本校の入学試験に臨まれました。私は令和4年1月1日に本校に着任しましたので、皆さん方が入学されるまでの様子を垣間見てきました。特に一次の学力検査は当初1.9倍を超える高倍率で、取下げに来られた方々が登校する生徒をじっと見ている様子、通常より多くの教室を使用しての学力検査当日、教職員も何時も以上に緊張し奮闘したことが鮮明に思い出されます。皆さん方はその難関を乗り越えて入学し、ここに無事卒業式を迎えることができました。特に修学旅行については学年の先生方のユニークな発想のもと、2年生の9月に東北・北海道と3泊4日の行程で無事に行われ、高校生活の貴重な思い出を残すことが出来ました。このような経験から普通に行われてきたことが普通に行うことが出来ることが如何にありがたいことであるかを痛感されたと思います。このことを忘れずにこれからの人生の糧にして欲しいと思います。
さて、本年の十干と十二支を組み合わせた干支(えと)は乙巳(きのとみ)です。草木がしなやかに伸び横へと広がる意味を持つ乙(きのと)と、脱皮をすることから「復活と再生」が連想され、不老不死のシンボルともされる巳(み)の二つが組み合わさる本年は、再生や変化を繰り返しながら柔軟に発展していく年になるといわれています。皆さん方は、その年の萌え出ずるを意味する弥生三月に卒業を迎え新たな進路先で出発を迎えるわけです。努力を怠らず重ねてゆけば必ずや前途が開けていくものと確信しています。
戦国武将の黒田官兵衛は剃髪後、如水(じょすい)となのり残したとも言われている「水五訓」という現代にも十分通じる内容の水を題材とする五つの名言があります。 その五番目に「洋々として、大海を満たし、発しては雲となり雨と変じ、凍っては氷雪と化し、しかもその性を失わざるは水なり」とあります。今世の中に目を向けると自然災害、人的災害ともに激動の様相を呈しています。状況に合わせて変化しつつも、本質を失わない柔軟で強く清らかな水に習うべきことが多々あると思います。大変な時こそ以前お話しした「応変」という言葉のように、根本をわきまえて様々な変化に対応していくことが大切です。長い人生です。今まで以上に辛い局面に立たされることがあるでしょうが、決して諦めることなく怯むことなく前進していくことが大切です。
次に私の信条としている好きなお歌を紹介いたします。昔ある高僧が自身の病が癒え復帰する際に後継者に詠まれたもので「わくら葉の 影に若芽の見ゆるかな 春の日差しの 恵にぞこそ」というお歌です。これは柏の葉は秋に枯れても春の若芽つまり新芽が出るまで決して落ちないことを題材にして詠まれたもので、私はこの歌を人を育て後継者を残し継承させていくことの大切さと、それを担う人生の先達といわれる上に立つ者の責任、さらには辛抱強く継続することの大切さを述べているものと思い、辛い時大変な時、この歌を思い出して乗り越えてまいりました。
皆さんが今この場にこのようにいられるのも御両親や様々な方々のおかげによるものなのです。これからの人生その恩を知り報いて欲しいのです。このことは決して縛られることではなく、それぞれの立場で精一杯活躍し次代の社会を担い、後輩たちにも伝え活躍していくことが報恩になります。そしてご両親をはじめお世話になった方々に孝を尽くしてほしいのです。
昨年の卒業式から初代西村校長が精魂込めて作詞され、晩年毎日口ずさんでおられた校歌の斉唱が再開されました。歌詞の中には校章と同様に欅、公孫樹、翔くという言葉が使われています。欅は頑丈、公孫樹は長寿と荘厳を意味します。前庭の「翔く」の鳩のように七つの海を越えて理想の空へ悠々とこの春の日差しの中、白亜の学び舎コミナミから力強く飛び立ちましょう!心身の健全と益々のご活躍を祈り、ピンチをチャンスに変える力強いコミナミ卒の意気込みを期待して、校長式辞と致します。
令和7年3月7日 東京都立小平南高等学校長 中野 清吾