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2024/03/11 お知らせ

卒業式を挙行いたしました

2024/3/8

都立小平南高等学校第39期生の卒業式を挙行いたしました。
朝は雨が降っていましたが、式が終わるころには天候も回復し、眩しいほどの日が差していました。
卒業生、保護者の皆様
ご卒業おめでとうございます。

校長よりいただいた式辞を掲載します

卒業式式辞

 

式辞を申し上げる前に、このたびの年頭に発生した能登半島地震により殉難された方々のご冥福を心中より深くお祈り申し上げます。また被災された方々に対しまして心よりお見舞い申し上げ、一日も早い復興をお祈り申し上げます。

これより式辞とさせていただきます。

寒さがやわらぎ春の日差しと息吹を感じ、梅花馥郁たるこの良き日に、東京都立小平南高等学校第39回卒業式が挙行できますことを、心より深く感謝申し上げます。

第39期生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。

また、本日はご多用の中、小平市立第四中学校長関勝志様には本校卒業生の為にお時間を頂戴し足をお運びくださいました。高い所からではありますが、厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。

そして、入学以来今日まで、お子様を支え励ましてこられた保護者の皆様にもご卒業を心からお祝い申し上げます。三年間本校の教育活動に御理解と御協力を賜わったことを、教職員を代表致しましてお慶びと御礼を申し上げます。

私が皆さんのお顔を最初に拝見したのは一昨年1月11日放送による始業式終了後に当時1年生の教室廊下を歩いているときで、まだあどけなさを感じたことを記憶しています。先程、呼名時に皆さんのお顔を拝見して高校3年間の学びを得て立派に成長され、その姿から自信と誇りを感じることができました。また、立派な進路実績を上げられ、コミナミの歴史に39期生として確かな足跡を残し、「努力、自律、英知」というコミナミ伝統のバトンを後輩に渡すことができました。今後はそれぞれの進路先で精一杯活躍されることを念願しております。

皆さんは中学2年生3学期のころから新型コロナウイルスの影響により、通常の活動ができず授業再開後も色々な制約の中での学校生活が余儀なくされました。徐々に学校行事が再開される中、特に修学旅行については学年の先生方の努力と工夫が実り2年生の9月には3泊4日の行程で無事に行われ、高校生活の貴重な思い出を残すことが出来ました。このような経験から普通に行われてきたことが普通に行うことが出来ることが如何にありがたいことであるかを痛感されたと思います。このことを忘れずにこれからの人生の糧にして欲しいと思います。

さて、昔ある人が大きな池の周りを散策しているとき、人々が鯉に麩(ふ)をやっている光景が目に付き、その人は自分も麩を買って鯉にやることにしました。その人は麩を千切(ちぎ)らず丸ごと棒のまま池に投げ入れました。棒のままの麩に大きな鯉が群がる様子はさぞかし壮観であろうと考えたからです。しかし、予想に反して、その麩には1尾の鯉も近寄らず、周りの人が投げ入れた千切った麩にのみ群がりました。試しに手元の小枝で棒の麩を崩してみると、見る見るうちに多くの鯉が寄ってきました。それを見て、この人は「小さいもので育った者は、大きなものが見えない」とつくづく感じたというお話です。皆さんは次の進路先で更に将来の大きな目標に向かって一歩一歩前進されるわけですが、小事に囚われず、しっかりとした足取りのもと、その時の現実を直視し綿密な計画つまり大きな目標に対して目下の目標を立てて着実に進んでいってほしいと思います。このお話は、その参考になればと思い述べた次第です。

次に私の信条としている好きなお歌を紹介いたします。昔ある高僧が自身の病が癒え復帰する際に後継を託す方に詠まれたもので「わくら葉の 影に若芽の見ゆるかな 春の日差しの 恵にぞこそ」というお歌です。これは柏の葉は秋に枯れても春の若芽つまり新芽が出るまで決して落ちないことを題材にして詠まれたものです。色々な意味があると思いますが、私はこの歌を、人材を育成し後継者を残し継承させていくことの大切さと、それを担う人生の先達といわれる上に立つ者の責任、さらには辛抱強く継続することの大切さを述べているものと思い、辛い時大変な時、この歌を思い出して乗り越えてまいりました。

皆さんが今この場にこのようにいられるのも御両親や様々な方々のおかげによるものなのです。これからの人生その恩を知り報いて欲しいのです。このことは決して縛られることではなく、それぞれの進路先で精一杯活躍し次代の社会を担い、今度は皆さんが後輩たちにも伝え活躍していくことが報恩になります。そしてご両親をはじめお世話になった方々に孝を尽くしてください。

最後になりますが、今世の中に目を向けると自然災害、人的災害ともに激動の様相を呈しています。大変な時こそ以前お話しした「応変」という言葉のように、根本をわきまえて外界の変化に適応していくことが大切です。長い人生です。今まで以上に辛い局面に立たされることがあるでしょうが、決して諦めることなく怯むことなく前進していきましょう。今回の卒業式から初代西村校長が精魂込めて作詞され、晩年毎日口ずさんでおられた校歌の斉唱が再開されます。歌詞の中には欅、公孫樹、翔くという言葉が使われています。校章にも使われている欅は頑丈、公孫樹は長寿と荘厳を意味します。前庭「翔く」の銅像の鳩のように七つの海を越えて理想の空へ悠々とここ白亜の学び舎コミナミから力強く飛び立つのです。

心身の健全と益々のご活躍を祈念し、ピンチをチャンスに変えるコミナミ卒の意気込みを期待して、校長式辞と致します。

 

令和6年3月8日 東京都立小平南高等学校長 中野 清吾

 


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