日本陸上競技選手権大会 2024日本室内競技会大阪大会 U20男子60m準優勝!!!武藏大地が高校日本一まであと一歩の素晴らしい走り!小山裕成もU20男子60mHに出場!目指すは福岡インターハイ!!!

2024/02/09

日本室内陸上選手権大会 2024大阪大会  大阪府大阪市 大阪城ホール

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 2月3日4日の2日間で室内の日本選手権である大阪大会が、大阪城ホールで開催された。 板橋高校としてこの舞台に参戦するのは2021、2022年に続き2年ぶりの3回目であり,2021年に渡辺隼斗(現日大3年)が4位、2022年は白濱稔也が優勝するなど、過去2回とも先輩たちは全国の舞台で活躍した縁起の良い競技会であるが、この大会は,日本選手権でもある為に、標準記録だけでなく、各種目ごとに人数制限が設定されている為,エントリーするだけでは出場する事ができない競技会である。  今回は、U20(高2~大学1の早生まれ)60mに3年生の武蔵大地が、同じく60mJHに2年生の小山裕成が出場枠35の狭き門をクリアして出場する事となった。 3年生の武蔵大地は、本校のみならず、東京都を代表するエースであり、昨年の関東大会優勝に引き続き北海道インターハイ、鹿児島国体共に4位という実績を作り上げている.しかも彼の走りは,スタートからカミソリの様な鋭い飛び出しで、前半で勝負を決めてしまうタイプなので,今回の室内での60mは勝機が大いにある。現に国立競技場で開催された東京選手権や新潟big Swanで開催されたyogibo ワールドチャレンジにおいても60m~70m付近までは格上の大学生や社会人達を抑えて前を走っていた程、スタートから前半の加速は他を圧倒している。今回はそんなこともあり,10月の鹿児島国体後も、モチベーションを下げずに大阪での勝負に照準を合わせてきたのである。  

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 一方,2年生の小山裕成は、混成八種競技をメインにしながら、単種目としても高いレベルで競技出来る選手である。6月の甲府で開催された関東大会と10月の熊谷で開催された関東新人には共に走高跳の代表として参加し,関東新人では1m95で準優勝を果たしている。また,都新人大会では,走高跳4位、110mH7位だけでなく,三段跳でも13m97で4位と3種目入賞している板橋高校のスーパーマンである。今回は110mJHの標準記録は突破しているものの,出場できる確信はあまりない中14,43という記録でチャレンジしてみたら,34番目でギリギリの参加枠に滑り込んだ。失うものなど何もない状態でのラッキーな参加である。  

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 2名とも室内陸上の経験は初めてとあって、ボードに貼られた走路の弾みに慣れないとならない。多くの選手が初めてボードの走路を経験すると,いつもと違う弾みに違和感を覚え戸惑う事になる。慣れないままレースに臨むと、不本意な結果が待っている。かと言って、普段から経験できるわけではなく,前日練習の調整が非常に大事になる事は、過去の先輩達が出場した際に充分認識している。新幹線で2時間半もあれば行くことの出来る大阪ではあるが,我々は前日練習ができる金曜日に大阪入りし、室内走路の感触を確認したのである。案の定,2人ともタイミングやリズムがずれて、いつもの走りではなくキレがなくなっている。しかも、限られた時間に例年以上の選手が走路の順番待ちに群がり,スターティングブロックをセットした練習は1回しかできない状態であった。アウェイの洗礼というよりも室内陸上の洗礼を受けて,多少の不安を残したまま前日練習を終えた。ただ,小山のハードリングは繰り返す毎に動きが良くなり,キレが出てきた。武蔵に関しては百戦錬磨,明後日ということもあり,必ずアジャスト出来る力をすでに身につけているはず。あれこれと言わなくともこちらの思っていること、感じている事は理解しているので、大丈夫そうだね。と言った事の意味が伝わったはずである。  

 

 2月3日(土) U20男子60mJH いよいよ開幕、初日は小山裕成の60mJH予選がはじまる。今回の宿泊ホテルは大阪城ホールまで歩いて行ける距離であり,便利且つ快適である。競技開始前朝の1時間だけ練習可能で、早朝練習をした後ホテルに戻り朝食を摂り、午後から始まるレースに備えて出直す事ができた。遠征試合の殆どが,競技場近くの宿舎ではなく,電車やタクシーを使ってたどり着く場所であり,早朝早く出ないと間に合わないので,宿の朝食はほとんどの場合食べる事ができずに途中のコンビニに寄って,あるいは前日にコンビニで当日の朝食と昼食を購入して競技場に向かうパターンであるが,今回はそう言った意味で快適な遠征試合である. 大阪城ホールの横にある多目的広場で開場の時間になるまでウォーミングアップをした後会場内でハードル練習を開始。明らかに昨日よりも動きのキレが良くなっている。やはり、昨日練習しておいた経験で身体が反応している.むしろ,ボードの弾力がプラスにはたらいているように感じた。本人も同じ感じを得ているようで,早々と会場を後にしホテルに戻り朝食を摂り,部屋で休憩した。昼前に再度会場へ。いよいよレース本番に近づくにつれて本人は試合モードに。コールの時間に合わせて室内の小さなホールでアップした後招集場へ。こちらは観客席に上がり,レースが始まるのを待つ事に。今回も彼の家族と中学校の後輩が親子で応援に来てくれている。本当に有難い事である。今年度、陸上競技部の遠征試合は甲府の関東大会から始まり,北海道インターハイ、石打の夏合宿、新潟ワールドチャレンジ、熊谷の関東新人、愛媛松山市のU18日本選手権、鹿児島国体、名古屋でのEverybody デカスロン、そして今回の日本室内陸上。計9回の遠征をしてきた。選手の活躍はもちろんではあるが,家族の支えがなければ成り立たないことである。また,仲間やその家族が遠い所まで応援に駆けつけてくれる事は選手にとって大きな支えとなる。更に、同窓会やPTA、陸上競技部OB会の御理解、経済的な御支援が無かったら,このような選手の活躍はあり得ないのである。頭が下がる思いであり,この場を借りて御礼を申し上げたい。  

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 話はレースに戻す事に。U20 60mJH1組8レーンのスタート位置に彼はついた。オンユアマークスの合図の後一斉にスタート。反応良く飛び出し1台目をトップでクリア。全部で5台のハードルのうち3台目までトップ争いを、そこからほんの僅かなタイミングのズレが増幅しなだれ込むように数人のハードラー達がゴール。トップではなかったもののその中に小山も入っている。動き自体は彼のレースの中では1番良い動きではなかっただろうか。電光掲示板に結果が出る。4着8.13と表示された。4着とはいえタイムは決して悪くはない。A決勝は厳しいかもしれないが,B決勝に進出できるのではないかと,残りのレースの結果を確認していくと,16番目までが決勝進出のところ,18番目であった。0.03秒の僅差での予選敗退であったが、収穫は大いにあった。大学1年生の早生まれを含めた全国の同年代ハードラーの中で,34番目のランクで参入し、18番目まで上げてきた事実。この舞台で見違えるような動きに進化している事実。ハードラーとしては勿論のこと、八種競技でのハードルが高得点が見込まれる事実。おそらく110mHにおいても来シーズン中に14秒台に突入するであろう。ここに来て彼ならではの贅沢な悩みが出てきた。来春からのインターハイへの道は、リレー以外では1人3種目まで出場する事ができるが、八種以外にも有望な種目が今回のハードルの他に,走高跳、三段跳、やり投、と3種目に絞るにはもう少し時間が掛かりそうである。   

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 2月4日(日) U20男子60m  大阪入りした金曜日は、慣れない室内陸上のボードにバタバタと弾む音だけでなく、心模様もバタついていたが、流石、百戦錬磨の武蔵,試合当日ともなると,焦る気配もなく、レースに集中するモードに入っている。レース自体も午後からなのでホテルでの時間の使い方も余裕を持って行動する事ができた。昨日の夜に雨が降った影響で、予定していた多目的広場でのウォーミングアップはできなかったが,慌てずに,ホール内でゆっくりと落ち着いてアップしている様子を見ていると、王者の風格すら感じるほどで、頼もしい限りである。招集時間に合わせて徐々に速い刺激を入れた動きに、仕上げにホールの搬入口にあるスロープでスタートからの加速を確認。いつもに増してキレキレの素早い動きをしている。誰が見ても周囲の選手とは次元の違う動きをしている。この場に来ているのは、全国から来た精鋭達である。中には名の通った日の丸を着けた経験のある選手もそこら中にいる中でも、彼の切れ味鋭い動きは目を引くものがある。招集場に消えていく彼といつもの様にぐうタッチで見送る。何の心配もなく、安心して観客席に上がった。 予選1組目8レーン、号砲一発真っ先に飛び出し、真っ先にゴールを通過。見事1着6.77。予選全体を2番目タイでA決勝に進出。

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 しかもこの記録は、3年前に渡辺隼斗が同じこの大阪室内で記録した6.81の板橋高校記録を0.04秒更新した新記録である。彼はその春進学した日大ですぐに100mを10.40の記録を出し、0.20自己ベストを更新している。先輩と同じ様に伸びていくとしたなら,来季が益々楽しみになってきた。 予選レース後夕方までの決勝まで、他の種目を観客席で観戦したのちに,決勝に備えて再び練習場へ。予選レースでの修正点を確認しながら動きをまとめていく。決勝での勝負は予選トップの6.74で通過した地元大阪の東海大仰星2年生。彼は資格記録でも10,38と武蔵の10.44を上回っているが,インターハイ路線ではどこかで失敗したのか、怪我をしたのか見ていない。もう1人予選を6.77の同記録で決勝進出してきたのは大東文化大学の大学生。彼は持ち記録こそ10.5台ではあるが,ゴールを余裕を持って通過しているので不気味な存在である。また,インターハイの決勝で一緒に走って武蔵より一つ上の3位となった福島県いわき光洋の選手や兵庫滝川第二の選手も決勝に駒を進めてきた。いずれにしても,決勝は何か一つでもミスをすれば取り返しのつかない事となる。

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 60mは、一瞬の集中力の勝負である。後半で取り返そうとしても、その前にフィニッシュラインが来てしまう。  レースは先ず、B決勝が行われて、2着に都内ではずっと競ってきた明星学園のI君がゴールに飛び込んだ。いよいよA決勝。反応は良かったものの,スタート直後、力んだのか若干ではあるが頭の位置が上がり、隣を走る大阪の選手にリードを許すと後半追い込むがそのままゴールまで逃げられてしまった。1位の大阪東海大仰星の選手とは0.06秒差で6.79の2位。

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 優勝を逃した悔しい思いと、同時に,ホッとした想いが交錯した。何故ならば、一番恐れていた事は起こらなかったからである。本人には言ってはいなかったが,それは4位となる事で,彼はインターハイ,国体共に4位となっていたので、何とかそれだけは避けないと変なジンクスとなり今後彼を苦しめる事になりかねないからである。そして今回の2位は、今後の大学生として競技をすることにつながる良い経験であったと思うのである。

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 できる事ならば,また来年、この地に生徒を引率し,板橋高校を卒業した選手達と再会したいものである。この1年、生徒の引率と言いながら,活躍してくれる生徒達に北は北海道,南は九州鹿児島まで、多くの旅に連れて行って貰ったのである。来年度も福岡インターハイ、佐賀国民スポーツ大会、三重U18、新潟日本選手権、そして今回の大阪室内など連れて行って欲しいものである。

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