全国高校総体・北海道インターハイ観戦記・新潟夏合宿の様子(是非ご覧ください)

2023/08/22

全国高校総体・北海道インターハイを終えて

顧問笹川浩司の選手への思いが溢れた観戦記を掲載させていただきます。

是非ご覧ください。

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一昨年度の福井インターハイ、昨年度の徳島インターハイに引き続き、3年連続して今回の北海道インターハイの引率が出来ることに指導者としての幸せを噛み締めながら、7月の最後の日に羽田を飛び立った。思い起こせば、昨年の徳島でも2名の選手とともに臨んだが、思う様な成績を全国の舞台で発揮する事ができなかった事を、千歳に向かう機中で脳裏をよぎった。昨年の反省を今回どの様に活かすのかを今回のテーマの一つでもある。昨年の徳島で一番感じたことは,インターハイは記録のよい者が勝つのではなく,勝ち上がる準備をしてきた者が勝つという事を痛感した。  今回、2名の戦士は、その先輩たちが成し得なかった宿題を克服するために血の滲む様なトレーニングを自ら課してここまでたどり着いたのだ.特に、通常の競技会ではあまり経験しない1日のうちに予選,準決勝、決勝と3本走り切る体力と精神力を身に付けるためのトレーニングを積み重ね、昨年までの単発的なパフォーマンスではない勝ち上がるための準備をしてきた。関東大会に於いても、その効果が結果として出力され、都総体に引き続き2名とも100m優勝、800m3位となり北海道への道に繋げたのだ。  そんな1回りも2回りも逞しくなった彼らの活躍を私は予感めいたものを感じていた。 先ずは100mが8月2日に予選が始まった.強い向かい風の上にあいにくの雨模様、しかも集中力を削ぐ様な何度もスタートのやり直しが続き、観ていて苛立ちがピークとなる中,4度目でようやくスタートした。終わってみれば彼のいつもの様にスタートの飛び出しで他を圧倒し,中盤の加速で勝負を決めて圧勝。向い風4.0の中、記録こそ良くないが,しっかりと1番通過で難なく準決勝に駒を進めたのである。

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続いて準決勝はお昼になり雨も上がり、風も弱くなり時折追風も吹くコンディションとなってきた。3組ある準決勝の3組目。このレースも圧巻であった.7レーンから飛び出した武蔵大地は、最初の4歩で勝負を決めて、さらにグイグイと中盤で加速して行く。向風0.7の中、10.64の好タイムでトップでゴールを駆け抜けて、全体でも2番手に付けている.1番手は優勝候補筆頭の東福岡の黒木君。ただ,準決勝の動きを見る限り、武蔵に勝機がある様に思えた。  レースが終わり、陣地に戻ってきた彼は、先ほどまでの様子と違っていた。全身疲労困憊の様相で肩で息をしている。向い風が数字よりも強い様で、体力を相当奪われてる様だ.決勝レースまでもう1時間を切っている。脚を振りマッサージを施し、何とか回復を促すが、時間が足らない。彼のレースが最後であったのも決勝までの休憩時間を削られている要因に。しかし、これがインターハイ。あとはどれだけ強い気持ちで決勝レースに臨めるかが勝負の要。そんな事を告げて彼を招集所に送り込んだ。

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いよいよ決勝の時間になったが,厚別競技場特有の強い向い風が吹いている。決勝に残った8名の選手がスタートラインに着く。号砲一発ほぼ同時に8名の選手が飛び出す。いつもと違うのは、スタート数歩で他をリードしてきた武蔵が飛び出していない。逆に優勝候補の黒木君が体一つリードする。武蔵は中盤から追い上げて2〜3番手に上がり、雪崩れ込む様にゴールを通過。見た目では3、4、5位が誰なのか分からない。おそらくその中に武蔵が入っている。 電光掲示板に1位から順番に掲示されていく。優勝は東福岡の黒木君10.73 2位緒方君10.87 3位菅野君10.93 4位武蔵大地10.94 5位小川君10.96、、、、最後の最後で100分の1秒差で3位と4位が入れ替わってしまった様だ。 ほぼ全員が向い風2.7の状況下で力んで走った様に見えた。向かい風とはいえ,普段記録しているタイムではない。やはり、決勝レースには魔物がいたのだろうか? 武蔵本人は初の全国大会を経験した中での4位入賞は素晴らしい結果であろうし、賞賛すべき実績。しかし、本人の気持ちには嬉しさとは違う複雑な感情が芽生えている。試合後に沸々と湧き上がってきた悔しい気持ち。それを晴らすには、南の地で行われる鹿児島国体で晴らすしかない様だ。 

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800mに出場する小泉惺は、試合前のルーティンを大切にする選手で、2日前に必ず無酸素バイク(パワーマックス)を実施している。遠征先でもフィットネスクラブに立寄り、同じ事を行う。今回はメーカーの展示ブースが会場に来ているので、そのマシーンを借用させてもらえた。しかし,今回は様子が違った。ルーティンにこだわり過ぎたのか、食事も勝ち飯に拘り過ぎて、うどんだけを食べ続けてしまった。試合前の食べ物に神経を使う事は大切な事ではあるが,過ぎたるは及ばざるが如しを証明してしまう結果となった。トレーニングも調整も全て順調に進んでいたはずであったが,今回は思わぬ所に落とし穴があり,彼本来の力、特にラスト300mからのスパートが炸裂する事なくレースを終えてしまった。1.54.75という記録は決して悪い記録ではないのだが,最近の彼の力からすると,2秒以上落ちてしまったので,残念な結果と言わざるを得ない。 レースが終了しても陣地になかなか戻って来ないので探した結果,木陰のベンチで一人落ち込んでる彼の姿を発見した。同僚の武蔵が4位入賞した事で、自分も活躍するぞという気持ちが空回りし、プレッシャーにもなったのかもしれない。 私は、フッと、ボクシングの名トレーナー、エディ・タウンゼントさんの事を思い出した。彼はボクサーが勝った時はその場から姿を消し,負けた時にこそ、寄り添い,ねぎらいの言葉をかける。負けた時こそがトレーナーの最も重要な仕事、勝った選手にはおぜい集まってくるが,負けた選手から皆離れて孤立させる。その時こそそこにいてあげないといけない。その言葉を思い出した私は,泣きじゃくる彼の側に寄り添い,ここまでの努力を労い、彼のこれまでの成長過程を一緒に振り返りながら、最後に前を向いて胸を張って戻ろうと肩を叩いた。言うまでもなく、板橋高校に入学した時は,普通の生徒でむしろ,速い女子に負けてしまう程の走力で、誰も彼がインターハイ出場するとは思わなかっただろうし、おそらく本人も夢のまた夢であったに違いない。私が関わった生徒の中でも凄まじい伸び率は他に例を見ないし、今後もどれだけ伸びていくのか予想だにつかない。今回の悔しさを次のステージで必ず活かされるはずで、それを期待したい。

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全国高校総体・北海道インターハイを終えて

あっという間の夢の時間が過ぎていきました。

そしてこの瞬間が新たな始まり!来年の舞台福岡インターハイへのスタートへ!

 

新潟県で北海道インターハイから帰って2日後から始まった夏合宿です!

北海道インターハイに出場した二人武藏大地と小泉惺も、疲労回復しきれていない状態でも

後輩たちのために駆け付けてくれました!新人戦に向けて最高の夏合宿となりました!

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