校章

東京都立総合芸術高等学校

コンテンポラリーダンスコースの卒業生の声

2021/02/26

舞台表現科舞踊専攻コンテンポラリーダンスコースの卒業生の声です。
様々な進路に進んだ4人の卒業生から質問に答えてもらいました。

(1)Aさん
(1期生:国立大学に進学後、海外に1年間留学。大学のダンス部に所属してAJDF神戸に出場し、
     文部科学大臣賞やNHK賞を受賞するなど活躍中)
(2)Bさん
(2期生:日本で唯一のコンテンポラリ-ダンスのプロカンパニ-に所属して、
    本公演や全国ツアーにも参加するなど活躍中)
(3)Cさん
(3期生:私立大学舞踊学専攻に在籍して意欲的に個人の創作活動を展開中。
     すでに数々の成果を挙げ、舞踊コンクールでの受賞も多数ある。)
(4)Dさん
(4期生:ドイツに留学後、現在はカンパニ-研修生となり、本公演にも参加するなど活躍中。
     これから所属したいカンパニ-を定めてオ-ディションを受ける予定。)

(1)Aさん
(1期生:国立大学に進学後、海外に1年間留学。大学のダンス部に所属してAJDF神戸に出場し、
     文部科学大臣賞やNHK賞を受賞するなど活躍中)
1.総芸を卒業して思うこと
 高校3年間を総合芸術高校で過ごすことができて本当に良かったと心から思っています。
ジャンルは違っても音楽、美術、演劇、そしてクラシックバレエやコンテンポラリーダンスに情熱を注ぐ仲間が集まり、
刺激し合いながら毎日を過ごすことができる学校が他にあるでしょうか。
講師の先生方をはじめ同期・後輩に出会ったことで、ダンスに限らず文化、芸術、社会、人間についての視野が
どんどん広がっていくことを実感できました。
 一番心に残っていることは、3年間出場した「全日本高校・大学ダンスフェスティバル(神戸)」
創作コンクール部門への参加経験です。4月から8月上旬の大会までの練習は、なにより心身ともに成長できる素晴らしい経験の場でした。
平日は月・火・金曜日放課後約2時間、土日・祝日は朝9時から昼休みを挟んで夕方4時まで練習。
約4ケ月間の集中練習を通して、体力や精神力が鍛えられることは勿論ですが、日々作品テーマについて理解を深めたり、
表現の仕方や動き方、またチームワークについて考えたりする時間はとても充実していました。
辛い時期を乗り越えて迎える本番、みんなで挑む舞台が達成感に満ちていて、本当に楽しかったことを今でも思い出します。
一生の宝として忘れることはないでしょう。
2.総合芸術高校の魅力
 この学校の魅力は、専攻のダンスができるだけではありません。舞台表現科以外に音楽科・美術科もあり、
専攻を超えて友達と協働で作品を創る機会もありました(文化祭など)。その経験を通して、
総合的な芸術表現についての新しい発見がたくさんできたと思って居ます。総芸で過ごす3年間は、
ここでしか経験できないことばかりです。ダンス漬けの毎日を送りたい方、毎日アートに触れていたい方、
ぜひ東京都立総合芸術高等学校へ入学して下さい。
3.将来について
(現在ダンス活動で頑張っていること、感じていること、将来への希望、夢)
 大学に入り、留学もしてまたさらに視野が広がりました。しかし、これからのダンサーとしてのキャリア、
自分のしたいダンススタイルについてまだまだ模索中です。将来はダンサーとして活躍したいと考えていますが、
今は、大学で多くの舞台経験を積みながら、実技面はもとより理論的な勉強にも力を入れて身体の仕組み(解剖・生理学)や心理学、
トレーニング方法、指導法などを友人たちと切磋琢磨しながら学び、将来を見つめています。
4.母校に期待すること
 母校に期待することは、良い意味で、いつまでも自由であり続けてほしいと願います。常に新しい発想を、
その時感じたありのままを表現する高校生が集まる場所であることを願っています。



 (2)Bさん
(2期生:日本で唯一のコンテンポラリ-ダンスのプロカンパニ-に所属して、
    本公演や全国ツアーにも参加するなど活躍中)
1.総芸を卒業して思うこと
・総芸のコンテコースでは、少人数でのコンテンポラリーダンスクラスを受けることができるから、
 講師の先生方が生徒一人一人に合わせた指導をしっかりとしてくださり、自分には何が足りなくて、
 どんなクセがあるのかなど、的確にアドバイスしてくださる。それに加え、自分では気づけない、
 自分の良い部分、伸ばすべき部分にも気づかせてくださる。
・舞台公演に向けてのレッスンでは、様々な先生方の指導を受けることができ、今までとは違う自分を発見し、
 様々なタイプのコンテンポラリーダンスを経験することができる。
・年に2度の発表会(前期成果発表会、後期成果発表会)、そして年に1度、東京芸術劇場での定期公演があることで、
 お稽古場に通うだけでの舞台回数に比べ、しっかりと舞台公演回数あり、照明に当たりながらお客さんの前で踊ることができる。
 人の目がある舞台で踊ることで、ダンサーは成長できると考える私にとって、この数多くの公演はとても貴重な舞台だったと思う。
・「全日本高校・大学ダンスフェスティバル(神戸)」(創作コンクール部門)参加に向けた練習では、技術の向上はもちろんだが、
 それよりも、自分の目標、チームでの目標を定め、それを達成するにはどのような努力が必要で、
 自分は何をすべきなのかを問いかけ答えを考えながら、作品と自分自身と向き合っていく長いプロセスの中で、
 何度も壁にぶつかり、答えを導き出し、舞踊との向き合い方を学べたと思う。
2.現在ダンス活動で頑張っていること、感じていること、将来への希望、夢
 ただひたすらに自らの身体と向き合い、弱い部分の強化はもちろん、今まであまりしてこなかった、
自分にあって人にはない自分の長所・個性、自分の売り出せるポイントはどこかを探すことをしている。
人の良いところばかりが見えてしまい、自分に対してはコンプレックスばかり抱いてしまうものだが、
自分の良いところを見つけ、伸ばしていくということも大切で、尚且つ自分にしかできないことだと思う。
長く踊っていきたいと思うと、やはり怪我は大敵で、若いうちから怪我を出来るだけしない体づくりと、
ダンスの基本、基礎をしっかりと身につけることはとても大切なことだと感じる。
何事にも恐れず、挑戦し、ダンスだけではなく自分自身の中身も素敵で充実したダンサーになりたい。
3.母校に期待すること
・総芸がさらに発展することで、東京都以外の府、県が舞台芸術に関心を持ち、総芸のような授業内に舞台表現の授業がある、
 しかも公立の高校が他県にもどんどん増えていってほしい。(私は中学校卒業の時点で、
 父の仕事の事情で東京都への転居が決まっていたので、運良く都立の総芸を受験することが出来ましたが、
 他県に住んでいて、総芸を知ったとき、東京都だけズルいなぁ~と思ったのをよく覚えています。)
4.その他
・総芸のレッスンでたくさんの“出来ない”現実に直面しました。特に初めの頃は、
 即興の授業では自分が今までにどれだけ受け身に踊っていて、創造することをしてこなかったのかと、
 絶望するほどに全く動けず、踊れなかったことを思い出します。
 そんな時も、諦めずに付き合ってくださった先生方の優しさを卒業した今になって痛感しています。
 そして即興の授業は、現在の自分の感性、表現性、創造性などを鍛えてくれたと感謝しています。
・総芸を知って、入学して、先生方と出会って、コンテンポラリーダンスと出会って、
 私の人生は本当に大きく変わりました。そして今の人生、とても充実しています。
 卒業してからも卒業生のことをいつも気にかけてくださる先生方には感謝しかありません。


(3)Cさん
(3期生:私立大学舞踊学専攻に在籍して意欲的に個人の創作活動を展開中。
     すでに数々の成果を挙げ、舞踊コンクールでの受賞も多数ある。)
1.総芸を卒業して思うこと
 講師の先生方は第一線で活躍している方たちで、先生であるとともに、振付師や踊り手であり、素晴らしい舞踊家です。
その後ろ姿を近くで見ながら、舞踊のテクニックはもちろんのこと、
体のケアへの意識や舞台への精神的な心構えを学ぶことができました。
また、舞台装置や衣装への工夫など、短期間では染み込まない重要な基礎的部分と
応用的総合力を学ぶことができる3年間でした。
少人数制の授業だからこその手厚い指導、都立高校でこの教育を受けられた自分は本当に幸せ者でした。
先生方に3年間鍛えていただいた経験は、舞踊を続ける自信につながり、その後の積極性にもつながっていると感じています。
 また共に過ごした同期生や先輩・後輩が進んだ先で様々に活躍をしている姿を観て、
試練に挑戦し忍耐強く立ち向かう強い女性がたくさん育っている、自分も舞踊家を目指して頑張らなければと常に感化されています。
卒業生同士のつながりや仲間意識の高さも、総合芸術高校で過ごした濃い時間によるものだと思います。
2.総芸に期待すること
 舞台表現科はまだできて数年です。これから卒業生の数もどんどん増えていきます。一度巣立った人々がさらに成長を遂げて、
もう一度共演するなどの企画がいつかできたら素敵だなと思っています。
3.今、頑張っていること
 今は大学で舞踊と教育を学びながら、主に創作をメインにコンクールや発表会に出場するなどの活動を行っています。
踊りという総合芸術だからこそ与えられる感動、その提供者になるのが現在の私の夢です。
4.その他
 神戸で行われる「全日本高校・大学ダンスフェスティバル(神戸)」や、定期公演、文化祭など、
ダンスにひたむきになれる環境、整った施設、何よりも指導陣のプロ意識が必ず生徒の力を引き出してくれることでしょう。
市民講師の先生方、バックアップしてくださる教員の先生方への感謝はしてもしきれません。
卒業した後もこのつながりを大切にし、これからの自分に自信を持って、長い目で毎日を過ごしていきたいと思います。


(4)Dさん
(4期生:ドイツに留学後、現在はカンパニ-研修生となり、本公演にも参加するなど活躍中。
     これから所属したいカンパニ-を定めてオ-ディションを受ける予定。)
1.総芸を卒業して思うこと
 私がこの総合芸術高校を知ったのは、高校受験前ギリギリの中学3年生の冬でした。
都立唯一の芸術を専門に学べる高校として授業内容も大変興味深く、
何よりとても環境の整った場所で踊れること、私にとってまさに理想的な高校でした。
 私は入学するまでバレエ以外のダンス経験が全く無く、コンテンポラリーダンスも1度も踊ったことがありませんでした。
それなので当初は出来ないことが多く、コンテの動きに戸惑いを感じ、床を使って動くことへの恐怖心さえありました。
しかし、そんな私に講師の先生方は基礎から1つ1つ丁寧に教えてくださり、いつの間にか戸惑いや恐怖心が消え、
コンテを踊るのがとても楽しく感じるようになりました。そして3学年で取り組む、
「全日本高校・大学ダンスフェスティバル(神戸)」の練習を通して、先輩方から学ぶことも多く、
もっともっと上手くなりたいと向上心も芽生え、いつの間にかコンテを踊ることに夢中になっている自分がいました。
普段の授業では、2時間ほどのクラスを同学年同専攻の少人数(私の学年は8人)に対して、先生は2人つかれるので、
とても丁寧に教えて頂くことができます。床でのウォーミングアップから始まり、センター、基礎練習、作品練習などをこなし、
1.2.3年と上がる度にどんどん難しい技やムーブメントにも挑戦していきます。
そして、各年に前期、後期と練習成果を発表する舞台もあり、その舞台に向け、
 先生方に私たちにあった作品を振付して頂けることも大きな魅力の1つだと思います。
また「全日本高校・大学ダンスフェスティバル(神戸)」のコンクール参加を通して、
先生方とその年の3年生を中心に、題材選びから作品解説まで考え、
創作をして、それら全てを1つの作品に込めていくという活動をします。
そしてコンクール本番では、同じ志をもつ全国の高校生同士で競い合うのです。
この大会に向けての練習は私自身、辛いことも苦しいこともたくさんありました。
自分の苦手な部分と向き合い、自分の未熟さを実感し、ただ必死に1つの目標に向かって繰り返し練習する。
切磋琢磨し合える仲間と刺激しあってたくさんの練習を重ねていき、
それに結果がついてくることも、思っている結果に届かないこともありました。
それでもやはり私にとって、この総芸に入って1番良かったと言えることは
この「全日本高校・大学ダンスフェスティバル(神戸)」に3年間参加できたことであると言えます。
私はこの練習を通して、技術面も精神面でも成長できたと思っているからです。
きっと一緒に頑張ってきたコンテ専攻のほとんどの人がそう思っているのではないでしょうか。
 総芸での日々は、嬉しさや苦しさなどの一言では表せないたくさんの思い出が詰まった3年間でした。
この時出会った同期生・先輩・後輩、ご指導下さった先生方と過ごした日々が私にとっては一生忘れられない宝物です。
2.現在、ダンス活動で頑張っていること、感じていること。将来への希望・夢など
 私は高校3年生の9月から海外にバレエ留学しました。
飛び級で大学4年生に編入し、現在は卒業して学士号を取得しました。
また総合芸術高校も無事に卒業できました。現地では、現在もバレエはもちろん、コンテやスパニッシュ、
キャラクターダンスなど様々な踊りを学んでいます。総芸で教わってきたコンテの授業は特に先生方やクラスメート達に、
「よく動けるね!」と褒めて頂けました。他にもスクールパフォーマンスなどでのコンテ作品の選抜に選ばれるなど、
総芸コンテで学んできたことがとても活かせています。私自身これから先のことはまだわかりませんが、
これからも踊りを職業にしたいと考えています。
今年は、希望するバレエ団に就職出来るように、少しずつオーディションに挑戦していきたいと思っています。
3.母校に期待すること
 総芸は他の高校に比べると自由の多い校風だと思います。だからこそ、過ごし方1つ1つで生活が変わってきます!
どんなことにも一生懸命挑戦していける人、自分の意志をしっかりもっている人、
そのような人たちにどんどん頑張ってほしいです。
15歳~18歳。私も1番楽しい時期であり、それと同時にたくさん悩んだ時期でもありました。
先生方を信じて、仲間を信じて、そして何より自分を信じて充実した3年間にして欲しいです。
そうして総芸コンテコースの歴史がいつまでも続いてほしいと願っています。
 4.その他(コンテンポラリーダンスの経験はないけれど、コンテンポラリーダンスコースを選んだ理由について)
 将来はダンサ-になりたいと小さい頃から強く思っていました。しかし今の時代、
クラシックバレエだけを踊っているカンパニ-はほとんどありません。
コンテンポラリ-の重要性を知るうちに自分もバレエ以外の踊りに挑戦していきたい、
コンテンポラリ-を学んでみたいと思うようになりました。
そして、この総合芸術高校のコンテコースの授業を見学させて頂いた時、そのレベルの高さに圧倒され、
この場で学びたいとさらに強く思いました。
コンテコースのスケジュールがハードであることは入学前から聞いていました。
だからこそ私は、バレエとコンテを両立させたいと思い、それぞれの自身のレベルを上げようと高校生の間は
とにかくたくさん踊り、どちらも成長出来るように頑張りました。放課後は、毎日バレエ研究所に通ってレッスンを受け、
発表会やコンクールに挑戦して受賞もしました。
 卒業後、あらためてこの選択をして良かったと実感しています。コンテを学んだからこそ、バレエも上達し、
留学という自身の夢に一歩近づけたのだと思うからです。今、3年間を冷静に振り返ってみると、
なかなか無謀なスケジュールであったなと思います。だからこそ高校3年間の収穫は本当に多かったです!
総芸に入り、先輩方に続き、当たり前のように専攻、神戸、成果発表会などをこなしていましたが、
あらためて全てがなくてはならない経験だったのだと思います。
先生方が充実した授業や舞台経験を考えて下さっているお蔭です。
隅々まで考えられたこのカリキュラムだからこその今のコンテコースがあります。
私も、同窓生、後輩、そして偉大な先生方に負けないよう精一杯頑張ります!