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2025/09/16 造形美術

第2学年造形美術コース 高大連携授業 参加報告

7月31日(木)、8月1日(金)の2日間に渡り、多摩美術大学の高大連携授業に本校生徒が参加しました。第2学年造形美術コースから希望者9名の参加となりました。授業内容は油画、工芸、メディア芸術と多岐に渡り、生徒は希望する授業に参加しました。その中でも本校生徒が最も多く参加した工芸プログラムの授業風景をお届けします。

 

この授業では2日間の中で陶・ガラス・金属、3つの素材を扱い、それぞれの技法について講義と実践を交えて学びました。

1日目午前は陶芸の「アメリカン楽焼」について学び、制作を行いました。生徒たちは昨年度の授業で陶器のコップと皿制作を行っていますが、使用する釉薬の種類や焼成方法が授業で経験したものとは全く違っており、この技法ならではの偶然性を楽しみながら制作することができました。釉薬は焼成前と後で色が変化するため、それを予測しながら施釉します。学校の授業では絵付け用絵具と透明釉薬を使用しましたが、本授業では透明なものだけではなく金属質で光沢があるものや不透明で垂れにくいものなど、性質の違いを考えながら施釉しました。また、学校では窯の管理は教員が行っていますが、本授業では大学生の方々がガス窯で焼成する工程を見学しました。今回の「アメリカン楽焼」の特徴である、温度が上がった陶器を藁などと共に閉じ込める還元焼成を体験し、煙の香りなど普段体験できないことを味わえました。

 

1日目午後には「ガラスの空中成形」を体験しました。室内には大きな炉が何個もあり、ガラスを溶かす熱さを感じながら授業を受けました。教授陣に手厚くご指導いただき、初めての素材に試行錯誤して制作することができました。空中成形は、溶けたガラスが先端についた棒を教授が回転させ、ちょうどよい柔らかさになったところで生徒がハサミやピンセットを使って変形させるという内容です。教授陣が傍で見守っていてくれて、マンツーマンでアシストしてくださいました。成形の技法を数種類体験した後には、ガラスの置物の制作をしました。生徒たちのアイディアスケッチを元に教授陣に最適な成形方法を指示していただき、なんとか形にすることができました。

 

2日目の午前は金属の延展を活かした「銅のスイングカップ」制作を行いました。一人1枚円形の銅板が配られ、金槌を使用して形を絞っていきます。体の向き、腕の振り方、金槌の角度など、今まで意識してこなかった体の動きを実感しながら形作っていきます。効果力のバーナーを使って焼鈍したり、普段理科の実験でしか使わない薬品を使ったり、大学ならではの経験をすることができました。完成した作品を見ると、槌目の大きさや形、詰まり具合、カップのカーブの仕方や表面のつや具合、最初に渡された銅板は同じものだったのに出来上がった作品には一人一人の仕事の違いが表れていました。

2日目の午後には講評会と講義が行われました。講評会では陶・ガラス・金属それぞれの教授陣が揃い、作品に対するディスカッションをしていただきました。1人あたり7作品ほど出来上がり、他校の生徒と合わせ計20名の作品が集まった姿は圧巻でした。講評会は学校でも課題が終わるたびに行っていますが、今回の講評会では生徒たちは非常に緊張した面持ちでした。講評会ではそれぞれの作品の面白さについて、それぞれの素材の特徴を踏まえながら教授陣が解説します。「とりあわせ」に「かいらぎ」に「延性展性」…聞きなじみのない言葉にはてなを浮かべながらも、作品を鑑賞しました。生徒によっては慣れない素材に苦労していましたが、出来上がった作品を改めて見て、自身の頑張りを認められた様子でした。

工芸講座は2日間で3素材、計7作品の制作という体力的にハードな授業ですが、これだけの期間で高校では経験できない素材や技法を扱うことができました。