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東京都立大島海洋国際高等学校 全日制

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2025/10/17 トピックス

【海洋産業系】 小笠原実習~下船式

10月4日(土)から10月17日(金)までの日程で、2年生の海洋産業系実習が終了しました。

ダイビングの翌日、晴れ渡る青空の下、父島の扇浦でカヤックの実習を行いました。波浮港でカヤックの練習を積んでいる生徒たちですが、生徒たちは、普段の練習では経験できないような新しい環境の中で、パドルの技術向上を目指しました。指導は現地のインストラクターのもとで行われ、基本的な技術から実践的なスキルまで幅広く学びました。

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まずは「ファーストストローク」や「パワーフェイス」など、効率的なパドル動作を習得。これらの基本技術が身に付くことで、カヤックをより安定して漕ぐことができるようになります。生徒の感想には、「カヤック実習では、行きは潮の流れに苦戦し、流されてしまいましたが、帰りの声を掛け合い協力して無事にゴールできました」と達成感を感じた様子でした。

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出発の日、小笠原でのダイビング実習でお世話になったダイビング船(エスコート)が、実習船の出航を見送るために近づいてきました。生徒たちは感謝の気持ちを込めて帽子を振り、エスコート船のスタッフたちも笑顔で応じてくれました。この心温まるシーンは、実習の締めくくりにふさわしい瞬間でした。

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航海の途中、合間を見て棒づりを行い、全員で協力して甲板作業に取り組みました。作業開始前にはボースンから「嫌々やる30分も、楽しくやる30分も同じ時間。だから、やるなら楽しくやろう」という言葉のおかげで、船酔いをしていたり、実習中の困難な場面でも生徒たちの気持ちを前向きに保つことができました。甲板をピカピカに磨き上げる作業は、体力を使うだけでなく、チームワークが求められる大切な作業でした。船酔いをしている生徒もいましたが、皆で協力しながら作業を進め、船がきれいに整えられたことに大きな達成感を感じていました。

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帰路の途中、生徒たちは航海当直を担当し、実際の船舶運航に携わる経験を積みました。船の運航において、どのように航海計画を立て、注意深く周囲を観察しながら進むべきかを実際に担当することで、その重要性を実感することができました。さらに、海洋観測の時間も設けられましたが、残念ながら生徒たちは海上でイルカを目撃することはできませんでした。それでも、この体験を通じて海洋環境への理解が深まり、今後の学びに繋がる貴重な時間となりました。

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そして、3日間の航海を終え、実習船は無事に伊豆大島に到着しました。下船式では、生徒たちは今回の実習を通じて得た知識と経験を振り返り、それぞれが大きな成長を遂げたことを実感していました。厳しい海上での実習を乗り越えたこと、チームワークを学び、海洋技術を実践的に学んだことが、今後の彼らにとって大きな財産となることでしょう。また、これからの進路選択に向けて、今まで以上に意識を高めていくことでしょう。

船側からの最後のデイリーレポートです。

20251017 デイリーレポート (781.5KB)

【乗船実習 生徒感想文~抜粋~】

・小笠原までの約2日間の航海では、コンパスデッキから眺めた小笠原の風景があまりにも美しく、思わず鳥肌が立ちました。この景色を家族にも見せたいと思い、自分の力で連れてこようと決意しました。

・小笠原の海は透明度が非常に高く、太陽の光が海底まで届いていました。色とりどりの魚や珊瑚礁、そして沈船を巡る体験は、一生に一度の忘れられない経験となりました。

・航海の帰路には初めての航海当直があり、1年ぶりに操舵を担当し、初めて位置入れやロゴブックについて学びました。緊張感のある貴重な経験でした。

・釣り実習の後には魚をさばく実習もあり、司厨部の方々とお話しする機会がありました。その会話を通じて、調理師免許取得にも関心が深まり、自分の将来の進路がより明確になりました。

・この実習は、私にとっても、仲間にとっても大きな試練でした。船酔いで動けない仲間の分まで誰かが当直を代わり、率先して準備や片付けを行うなど、協力し合って乗り越える場面が多くありました。船内でも、誰かがごみを捨てたり、時間に余裕を持って行動を促したりと、仲間への小さな気遣いが積み重なっていました。

・現在、私は海や自然のガイドとして人々を楽しませるツアーガイドを目指しています。実習中に出会ったダイビングインストラクターの方々や、カヤックを教えてくれた須田さんの姿を見て、さらに夢への意志が強くなりました。

・私たちの行動が、自然環境の保護につながり、観光業にも良い影響を与えることを実感しました。この高校生活を通して、技術面だけでなく自然についても学び、進路をより深く考えていきたいと思います。

・今回の実習では、マリンスポーツを楽しむだけでなく、注意された点や反省点をしっかりと受け止め、今後の生活や次の実習に活かしていきたいと考えています。

【実習総括】

今回の乗船実習では、本校の校訓である「誠実」「礼節」「協力」の精神を育む貴重な機会となりました。出港前には台風の影響で2日間の遅れが生じ、先行きが不安な状況となりましたが、船員の皆様のご尽力により、安全に目的地・小笠原まで航海することができました。現地では、急な日程変更にも関わらず、インストラクターの方々が柔軟に対応してくださり、すべての実習を無事に終えることができました。実習を通して、生徒たちは学校という枠を超え、海運や観光、調理など多様な仕事に携わる大人たちと出会い、直接関わる中で、自らの将来について深く考えるきっかけを得ました。それぞれの生徒がこの実習で得た経験と気づきを胸に、今後の学校生活や進路選択において、より一層成長してくれることを期待しています。