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2025/06/03 トピックス
【1年生⑤】2次基礎乗船実習 ~ 出港・ 横浜上陸 ~
実習初日、お昼を終えた生徒たちは、あいにくの雨のなか、大島・岡田港を出港しました。岸壁では本校関係者が見送りに訪れ、生徒たちに「頑張っておいで!」という気持ちを込めて手を振ってくださいました。それに応えるように、生徒たちは帽子を振って出港の挨拶を交わしました。船上で仲間と過ごす初めての時間、生徒一人ひとりが“海と生きる学び”に向けて、気持ちを新たにしていたようです。
午後は、船員(ボースン)によるロープワークの実習が行われました。船酔いを感じる生徒もいましたが、全員が甲板で真剣に取り組みました。もやい結び、ひきとけ結び、ひばり結びといった船上で重要な結び方を次々に習得していく姿には、教える側も驚きの様子。「すごいん。教えることないな」と、ボースンから思わず声が上がるほどの出来栄えでした。
夕食には、サラダ、ハンバーグ、ピザ、スパゲッティー、スイカ、そしてコーンスープと、豪華な洋食が並びました。午後に一時、船酔いで元気をなくしていた生徒たちも、徐々に体調を取り戻し、美味しい夕飯に笑顔が戻ってきました。仲間とテーブルを囲む時間は、実習の中でもかけがえのない交流の場となります。
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夜は館山沖で錨泊し、翌朝を迎えました。抜錨前には、指導教官より海図を用いた講義が行われ、これから通過する浦賀水道航路、中ノ瀬航路の特徴や航行ルールなどについて学びました。
その後、全員がコンパスデッキに上がり、実際に船が航行する様子と重ねながら、さまざまな船舶が安全に行き交うためのルールを体感しました。生徒からも積極的に質問をし、興味深そうに船上からの景色を観察していました。机上では得られない“生きた知識”に触れる時間となりました。
いよいよ大島丸が横浜港・大黒ふ頭へ入港します。これまで外から眺めていた港を、今度は船員の一部として“入っていく”経験。生徒たちは目を輝かせながら、船員の方々の作業を食い入るように見守っていました。船首と船尾から岸壁に向かってロープが投げられ、岸壁まで無事に届いた瞬間には「お~っ!」と歓声があがりました。細やかな動きが求められる着岸作業を間近で見学し、海上輸送の裏にあるプロの仕事ぶりを学ぶ機会となりました。
大黒ふ頭は、横浜港の中でも重要な国際物流拠点のひとつで、コンテナ船や大型貨物船の停泊地として利用されています。前回の1次乗船で利用した寄港地の大さん橋とは異なり、産業的な役割が強いこの場所に接することで、生徒たちは“海運”の社会的な意義と規模の大きさを肌で感じることができました。
入港後は、バスで横浜みなとみらい地区へ移動し、「横浜みなと博物館」と「帆船日本丸」を見学しました。帆船日本丸は、かつて実際に使用されていた練習帆船で、戦前から戦後にかけて数多くの海技者を育てた歴史を持ちます。現在の大島丸とは構造も規模も異なりますが、実習船としての基本的な設備や役割に多くの共通点があることを、生徒たちは実感していました。時間と場所を超えてつながる“海洋教育の系譜”を学ぶ貴重な経験となりました。
1日目、2日目の実習を終えた生徒たちからは、「最初は慣れない船での生活に不安もありましたが、仲間と協力して行動するうちに自然と心配がなくなりました」「食事や作業も声をかけ合い、短時間で支度できたことが達成感につながりました」といった前向きな声が聞かれました。
翌朝、横浜港を出発して、館山沖で実習を行います。
今後も、日々の実習の様子を保護者の皆さまにお届けしてまいります。日々の進捗に関するデイリーレポートが大島丸船長から届く予定です。以下ご確認ください。