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2025/06/15 トピックス
【1年生⑧】3次基礎乗船実習 ~ 5日間を振り返って ~
〇 1年生3次基礎航海実習報告
令和7年6月9日から6月13日の5日間、岡田港から出港した大島丸に乗船し、実際の航海に参加する貴重な経験をしました。
この航海実習を通じて、船上での安全な行動やチームワークの大切さ、そして乗船実習や船務の基本的な知識を学ぶことができました。
〇 1日目:船内ツアーと基礎知識の学び
乗船後、最初に行われたのは船内ツアーでした。
生徒たちは船の内部を見学し、普段見ることができない設備や機器を間近で見ることができました。
ブリッジ(操縦室)では、実習中に使う海洋観測用の機材についての解説を受けることができました。
また、船内での生活に関する基本的な知識や、緊急時の対応方法についても学びました。
これらは実際の航海を安全に乗り切るために必要不可欠な知識です。
実習初日の終了後の感想には「初めてだったので何もわからなかったが、次第に楽しさを感じ始めた」という声が多かったです。
緊張から次第にワクワク感が芽生えていった様子が伺えました。
この初日の体験を通じて、船での生活がいかに充実したものであるかを実感したようです。
〇 2日目:浦賀水道航路と旗の上げ下げ
2日目は、浦賀水道航路を航行しました。
生徒たちは、コンパスデッキで実際にブイ(浮標)や立標、そして航行方向について学び、船の通行ルールを理解しました。
また、旗の上げ下げについても学び、実際にその手順を体験しました。
毎日、8:03 に旗を揚げ、17:03 に下げるという決まった時間に従って行われるこの一連の流れ。
生徒たちはその重要性をしっかりと学び、特に国旗や各旗を大切に扱うこと、そして国旗の意味に対する敬意を深く実感しました。
また、時間を守ることの大切さを感じ取り、規律ある生活への意識が高まり始めました。
〇 3日目:横浜出港見学と海洋観測
3日目は、横浜港での出港見学を行いました。
生徒たちは、船がどのようにして出港するのかを間近で観察し、船長が船員へ的確な指示を出している様子を見ました。
船の出港作業は、一つのミスが大きなケガや事故につながるという緊張感が漂い、船全体にその重要性がひしひしと感じられました。
この緊張感を生徒たちも自然に感じ取ることができました。
午後には、海洋観測を実施し、水温や透明度を測定しながら、実際の観測手法を体験しました。
海の状態を把握するための大切な実習で、実際のデータ収集を行うことで、海洋環境への理解が深まりました。
また、この日は多くの生徒が船酔いを経験し、海の厳しさを身をもって感じることとなりました。
〇 4日目:操舵実習と責任感
4日目には、船の舵を実際に握る操舵実習が行われました。
生徒たちは、掛け声やコースの安定を保ちながら舵を取る難しさに直面しました。
実習後の生徒からの感想では「緊張感がありながらも責任を感じてしっかりと取り組めた」
「船に乗っている人々の命を預かる責任感を実感した」といった声がありました。
この日は、棒ズリ(船尾デッキでのブラシを使った船体磨き)も行い、日常生活では味わえない緊張感を体験しました。
〇 5日目:下船式と実習の成果
最終日、無事に下船式が行われました。
生徒たちは初日の乗船式の感想として「想像以上に多くの人々に支えられていることを感じた」と述べていました。
実習を通じて船員の方々への感謝の気持ちが深まりました。
天候の悪化に伴う揺れの中でも、日常生活では体験できない貴重な学びが数多くあったことを振り返っていました。
「浦賀水道のブイの見学や操舵実習など、知識や体験が増えることによる楽しさを実感した」
「トビウオや海の潮目が見えた」などの感想が寄せられました。
下船式では、乗船担当副校長からも次のような講話がありました。
「乗船式でお話しした”協力”と”助け合い”の大切さも、仲間と過ごす中で実感する機会があったのではないでしょうか。
一人では難しいことも、互いに支え合うことで乗り越えられる――そうした経験が心に残っていれば何よりです。
そして、実習が充実したものになったのは、仲間の存在はもちろん、指導してくださった教官や、実習の準備に尽力してくださった船員の皆さんのおかげです。
感謝の気持ちは、ぜひ言葉や行動でしっかり伝えてください。」
〇 生徒の感想
実習を終えた生徒たちは、次のような感想を述べています。
- 「4日間を通して自分の進路について深く考えることができた。特に、2年次の類系選択に活かせる経験だった」
- 「協力することで、時間を有効に使えるし、何より楽しくなると実感できた」
- 「電子機器が使えない環境が不安だったが、人とのつながりや記憶の残り方が変わったことに気づいた」
- 「船員さんの仕事に触れ、責任感やチームワークの大切さを実感した」
今回の3次航海では、海の厳しさや大きな責任を実感し、他者と協力することの重要性を学ぶ貴重な機会となりました。
また、実際に大島丸の船の業務を体験することで、学校では得られない生きた知識を得ることができました。
この実習を通して生徒たちは大きく成長し、今後の学校生活や進路選択においても、その経験を活かしていくことでしょう。
これからも、さらなる努力を重ねていくことを期待しながら、生徒たちの成長を温かく見守っていきます。