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東京都立大島海洋国際高等学校 全日制

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2025/04/21 トピックス

【2年海洋探究系1次乗船実習④】下船式・乗船実習を終えて

4月14日(月)から4月23日(水)の日程で、2年生の海洋探究系による第1次乗船実習が実施され、本日、下船式が行われました。あいにくの雨天のため、下船式は船内の教室にて挙行されました。以下に、式辞の一部を抜粋してご紹介します。

本校の実習船担当副校長より「寄宿舎とは異なる船内生活の中で、船員の方々や乗船教官、生徒同士が力を合わせて生活し、共に航海を進めるという、貴重な経験をされたことがよく伝わってきました。仲間とのコミュニケーションを通じて、自ら考え行動し、チームとして何が最善かを常に模索しながら過ごした期間だったのではないでしょうか。海は常に穏やかとは限りません。時には揺れる船内で船酔いを経験しながらも、「自分だけではない」と気づき、それを乗り越えた経験は、全員で共有してほしい大切な財産です。」

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大島丸の船長より「乗船式のときに、私から「感謝の気持ちを忘れずに」とお話ししたのを覚えていますか?困ったときに助けてくれた教官やクラスメートに、「ありがとうございました」と、ちゃんと気持ちを伝えることができたでしょうか。毎日の食事を準備してくれた司厨部の皆さんに、「ごちそうさまでした」と声をかけることができましたか?こうした「ありがとう」の気持ちは、これから先もずっと大切にしてください。感謝の言葉をかけられて、嫌な気持ちになる人はいません。むしろ、「また力になろう」「自分も頑張ろう」という前向きな気持ちが生まれてくるものです。今の時代、LINEやSNSを使えば、感謝の気持ちもワンクリックで簡単に伝えられます。でも、できるだけ自分の言葉で、直接伝えることも意識してみてください。その方が、相手の心にきっと、もっと深く届くはずです。」

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下船式の最後の生徒代表による挨拶では、「One for all, all for one(一人は皆のために、皆は一人のために)」という言葉で締めくくられました。

生徒たちは、岡田港に戻ってきた後、10日間にわたる実習の振り返りを行いました。ここでは、生徒たちが得た学びや気づきの一部を抜粋してご紹介いたします。

航海実習を通して学んだこと

・この10日間の航海実習は、私にとって非常に多くの学びを与えてくれた貴重な時間でした。仲間との協力、命の大切さ、そして「当たり前」に対する考え方を見つめ直す機会になりました。

挨拶の意味と大切さ

・最初に、挨拶の重要性について改めて考えるきっかけがありました。挨拶は単なる習慣ではなく、「私は元気です」「大丈夫です」というメッセージを込めた行為なのだと気づきました。お互いに安心し、状況を共有するためにも、挨拶は欠かせないコミュニケーションの一つです。

仲間と共に過ごす意味

・集団生活をスムーズに進めるためには、仲間との協力が不可欠です。しかし、協力を引き出すためには、まず自分自身が動くことが求められます。動かない人から指示を受けても人は動きません。自ら率先して行動する姿勢が、信頼や協力の土台になることを実感しました。

・最初は不安もありましたが、次第に慣れ、船員の方々の助けを借りずに一人で作業をこなせるようになったことで、自分の成長を感じられました。班の仲間とも、日々の作業や反省会を通じて自然に会話が増え、協力体制が強まっていきました。普段話す機会がなかった人とも励まし合いながら乗り越えることができ、かけがえのない思い出となりました。

船という「小さな社会」での学び

・船は、まるで小さな社会のようです。全員がそれぞれの役割を果たすことで、初めてスムーズな航行が可能になります。一人では何もできません。多くの人が一つの目標に向かって動    き、協力するからこそ、船は動くのです。

・ボースンから「失敗しても構わない、できるまでやり続けろ」と教えられたことも心に残っています。大切なのは過程であり、失敗を恐れずに挑戦し続けることが、成功へとつながるのだということを学びました。

寄港地先の気仙沼で感じた命と記憶の重み

・震災伝承館では、実際に震災で亡くなった方々の記録や証言に触れました。言葉にするのが難しいほどの重みがありましたが、目の前で見たからこそ伝えられることがあります。それは、「今ある環境や人間関係に感謝し、一瞬一瞬を大切に生きるべきだ」ということです。命とは儚いものであり、いつ失われるかわかりません。だからこそ、今あるものを大切にするべきだと強く感じました。

・復興の進んだ町の姿からも、年月の流れを感じると同時に、完全な再建にはまだ時間がかかることも痛感しました。

自分自身の成長を実感

・今回の乗船実習は二度目の参加でした。初回は緊張や戸惑いが多く、ただ指示をこなすことに精一杯でしたが、今回は少し余裕ができ、周囲を見渡すことも、新しい挑戦も楽しめるようになりました。自分自身の成長を感じる実習でもありました。

最後に

・この航海実習では、「協力すること」「コミュニケーションをとること」「周囲をよく見ること」、そして「過去を伝えること」という4つの大切なことを学びました。船上で学んだ「集合時間の5分前には全員が揃う」という習慣は、時間に余裕を持つことや、突発的な出来事への対応力にもつながりました。陸に戻ってからも、同じような意識で行動していきたいと思います。

・何よりも、私がこの実習をやり遂げられたのは、身近で支えてくれる人たちのおかげです。その存在のありがたさを強く感じました。これからは、もっと感謝の気持ちを素直に伝えていきたいと思います。

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船員の方に見送られて、生徒たちは感謝の気持ちを込めて挨拶をして岡田港を後にしました。この実習が充実したものとなったのは、実習中いつも温かくご指導くださった船員の皆様、そして寄港地・気仙沼での活動に際し、多大なご協力とご配慮を賜りました地域の皆様のおかげです。生徒たちの学びを支えてくださったすべての方々に、心より感謝申し上げます。

船側からの最後のデイリーレポートが届きましたのでご確認ください。

 4月23日 20250423 デイリーレポート (71.1KB)