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東京都立大島海洋国際高等学校 全日制

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2024/05/23 トピックス

【海洋探究系】乗船実習(下船式の様子)について

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 5月21日の午前中、大島丸での最後の実習、CTD観測、ニューストンネット曳航観測などを実施後、夕方に波浮港に無事入港しました。

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 乗船式は、悪天候のため、船内での実施となりました。

 5月22日の下船式は、爽やかな晴天の下、無事挙行することができました。

 下船式での挨拶の内容を抜粋して紹介します。

〈乗船実習担当 副校長 鈴木から〉

 皆さんの日誌を毎日、楽しく読ませてもらいました。周囲に気を配り、「協力」し合う姿勢を忘れず、苦しい時でも、一人一人が目標の達成に向かい、様々な場面や活動で積極的に学ぼうとする様子が伝わってきました。指導教官、支援員、船員の方々は、14日間のこの経験を皆さんが今後の高校生活にどのように活かしていいくのか、これからの「成長」と「活躍」を何よりも楽しみにしています。お世話になった方々への感謝の気持ちを示すためにも、ここでの経験が無駄ならないよう、日々努力し続けてください。

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〈大島丸船長から〉

 助けてもらった教官やクラスメートに「有難うございました」と感謝の気持ちは伝えられましたか? 現代はデジタルな時代。ライン等SNSでワンクリックで感謝の気持ちも伝えられますが、できるだけ、言葉にして感謝の気持ちをしっかりと伝えればさらに相手の心に響くことも覚えておいてください。皆さんに「段取り八分、仕事二分」という格言を送ります。今回の実習では24時間大きな船を動かすという仕事を体験できたと思います。我々の乗組員の仕事も殆ど準備で成り立っています。例えば底釣実習では、実習開始前には釣り道具やエサ切りの道具等既に準備が整えられていて直ぐに実習が開始できました。これは事前にボースンを始めとした甲板部の方々が準備してくれていた為であります。そして糸を垂らせばすぐに魚がヒットしました。これも航海当直の航海士やQ/Mが事前に魚群探知機という航海計器で魚を探し出し目星をつけていたからであります。これから皆さんが成長していくことによって、責任感を持ってこなしていかなければならない勉強や仕事がどんどん増えていきます。この「段取り8部、仕事2部」という言葉を忘れずに、準備やスタンバイをしっかりと整えて、成功目指し立ち向かっていきましょう!!

〈生徒代表から〉

 私たちは、14日間を通じて、多くの学びを得る共に、自ら課題を設定し、常に探究してきました。仙台・気仙沼の寄港地上陸見学で得た学びや、生物調査実習船(底釣り)のデータなどは、これからの高校生活や、卒業後の進路選択に活かしていきます。船内生活において、船酔いで辛い時間を過ごした人もいるでしょう。しかし、仲間と支え合ったり、助っ合った日々は、必ず人生の財産になると思います。私たちが安全に実習ができたのは、船長を始めとする19人の船員の方々、乗船教官・支援員の方々、様々な人の善意のおかげです。生徒を代表として感謝申し上げます。

下船直後に整列して、感謝の気持ちを込めて挨拶して終わりました。

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 船内で14日間のまとめを行いました。以下、生徒の感想を抜粋してお伝えします。

〈気仙沼の震災遺構・伝承館で考えたこと〉

・私は、他人事では済まないと感じ、今よりもっと自分の周囲の人々や日常生活、周りの環境を大切にして、生活しようと考えました。

・気仙沼にあったのは、東日本大震災の辛い過去とは逆に人々の笑顔と優しさ、親切心がありました。地域の皆様から学んだことは多く忘れることのない一生の思い出です。

〈印象に残っていること〉

・初めての航海当直だ。船に乗る前は、船酔いになっても最後までやりきろう、と意気込んでいたが、最初の航海当直は終始動けず、ブリッジの隅で丸くなっていた。船酔いのせいで、吐き気と気持ち悪さに襲われて、早く終わってほしいと心の中でずっと思っていた。(中略)数を重ねるにつれて、感動や達成感を得られるようになった。

〈生物調査実習で考えたこと〉

・私が今後探究していきたいのは、日による魚種、大きなの違いについてだ。水深、水域、時間、天候、気圧。多くの要因が考えられる。その中で規則性を見るけることで安定的な漁業の操業を行えるだけでなく、釣りなどのレジャー産業・観光業でも役立てたい。

〈航海当直にて〉

・航海当直の仕事をして、ログブック・位置入れ・操舵などの実習を行った。船酔いなど、辛いこともたくさんあったが、自分に負けることなく、打ち勝つことができた。

〈教官との思い出〉

・「協力は、嫌われるくらい手伝ったり、力を何個も合わせて1つの力にしていくこと。」この言葉を胸に刻んで生活していきたいと思う。

・今回の実習では、苦しい場面が多々あり、怒られることもありましたが、その分、楽しいこともたくさんあってとても充実したものでした。

〈克服したこと〉

・元々苦手意識のあったコミュニケーションが、今ではクラスのみんな、教官、船員さんとも話せるようになり、自分にとって素晴らしい経験となりました。

・船酔いが激しいので、航海当直の始めの頃は、ずっと倒れてしまい、役に立つことができていませんでしたが、日が経つにつれて船酔いに慣れていき、最終的には、全て仕事を全うすることができとても良い体験ができました。

 

 人や自然から多くのことを学んだ充実した14日間となりました。

 仙台や気仙沼を訪れて歴史や地域の人との関わることで、知見を広げたり、人の優しさに触れたりと、貴重な経験をすることがでました。

 探究活動を行う上で大切な、積極的に(地域の方との)コミュニケーションを図ること、また、街を歩くことで、その土地の特色や良さがわかることなどに多くの生徒が気づくことができました。

 船内では、苦楽を共にすることで、人と協力することや、自主的に動くことの意味や意義を感じることができたのもこの実習の大きな成果ではないでしょうか。

 寄港地でお世話になった方々、大島丸の船員の方々、この場を借りて感謝申し上げます。

(文責:副校長 鈴木)