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2020/04/08

学校長からのメッセージ

学校休業の時期を過ごしている生徒諸君

そして、新たに稔ヶ丘高校に入ってきた生徒諸君に



 「私には夢がある」という演説を知っていますか。

 アメリカの社会活動家 マーチン・ルーサー・キング牧師が行った演説です。もちろん、英語で話されたもので「I Have a Dream」という題で知られており、このフレーズが繰り返されるので、日本では「私には夢がある」と呼ばれている演説です。演説の中でキング牧師は、われわれは毎日のように困難に直面しているが、それでも私には夢がある、と述べ、どんな境遇でも夢をあきらめないで、その夢を実現することの必要性を繰り返し訴えました。もしかしたら授業の中で、彼の演説ビデオを見る機会があるかもしれません。この15分程度の演説がすばらしい演説の一つとして歴史に刻まれている理由は、人間同士の平等性にもとづく信頼関係など普遍的な、人として近代社会がめざしてきた理念を強調しているからです。そして、どんな苦しい時でも夢をもち、そして夢を少しずつ実現していく道のりが、現代社会に生きる我々に求められているからでしょう。


 我々は、現在困難な社会状況に置かれています。

 外出を自粛し、学校にも行けない状況はもう一ヶ月が過ぎました。アルバイトをするなど働きながら学んでいた人もいたはずですが、働きにもいけなくなっています。この不安のなかで、夢をもつことの厳しさは、言葉以上に難しいものがあります。しかし、我々人間は、困難さの中でも夢をもち、挑戦して前に進んでいきました。皆さんは、その先輩たちの築いてきた地盤のうえに、自らの工夫をもって築いていくことが求められています。


 皆さんは覚えていますか? この都立稔ヶ丘高等学校では「自他のチャレンジを尊重する」という言葉を大切にしています。夢をもち、その実現に向かっていく生徒諸君の気持ちこそ、この閉塞した社会を前進させるはずなのです。ぜひ、一人ひとりが夢をもって、その夢に向かって一歩ずつ確実に歩んでいってください。その営みが大きな花をつけ、実を結ぶはずですから。そう、私も校長として工夫し、努力します。



 ゴールデンウイークあけに、皆さんと会えることを期待しています。そして、お互いが思ったことや経験してことを話し合えることを楽しみにしています。


令和2年4月8日

都立稔ヶ丘高等学校長 大場 充