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東京都立南多摩中等教育学校

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2025/09/03 フィールドワーク

東京大学史料編纂所スタディツアー

2025年8月22日(金)に東京大学史料編纂所を訪問しました。本校では探究活動の一環として学外へのスタディーツアーを実施しています。今回は一昨年より始まった東京大学の本郷キャンパスにある東京大学史料編纂所の訪問です。

前半部では、本郷恵子教授から編纂所の歴史や活動、史料の復元方法、進行中の具体的なプロジェクトなど、史料編纂所のさまざまな活動と役割を説明していただきました。さらに黒嶋敏教授からは「国絵図の魅力とデジタル化」をテーマとして、国絵図の時代ごとの変遷、江戸時代に行われた国絵図制作事業の内容、史料をデジタル化する過程での難しさなどさまざまなお話をしていただきました。

最後に、黒須友里江准教授と林遼助教からなぜ研究者の道を歩まれたのかといったキャリアに関する話もしていただきました。

後半部では、南北朝時代の公家である中院通冬の日記「中院一品記」、豊臣秀吉の「刀狩令」、琉球の「国絵図」関係複製史料のレプリカの解説とワークショップをしていただきました。各古文書に触れながら、その書状が書かれた歴史的背景、筆跡にまつわるお話、古文書から読み解ける歴史の話など多岐にわたる解説をしていただき、時間いっぱいに史料が持つ魅力とその意義を伝えて下さいました。

以下は生徒の感想です。

・高校2年生になってから理系を選択していたため、歴史に触れる機会が大きく減少していた中、今回の貴重な体験がとても勉強になりました。教科書に載っていたような国宝級の書物のレプリカを見て触ったことで、当時の社会の仕組みや主従関係への理解が深まりました。書物の大きさや、漢字と仮名の混じり具合などで当時の様子を考察できるのは面白いと感じました。

・神田喜一郎氏など古いコレクターもやっていたこともあり、レプリカや写本というのはとりあえず一旦写しておこう、という考えで行われているのかと思っていた。しかし、琉球の国絵図について、東京に運ばれてきてしまったことで関東大震災による被害を受けたが、東大史料編纂所が写しておいたことで当時のもののイメージが現代でもできるようになっているということを聞き、レプリカはどちらかというと気軽に触れる作品数を増やすことでその時代に同時に多くの人が調査しやすくするためでなく、未来に過去を繋ぐためということがわかった。

・今まで失礼ながらレプリカというものに対して、贋作というかまがい物のようなイメージを持っていましたが、今回レプリカは当時の紙質なども再現できることを知り、そのイメージが一気に消えました。劣化して年月を感じられるオリジナル品も当然大事ですが、レプリカを使って時代の雰囲気を感じられるのはとても貴重だと思いました。また、明治時代などに書かれた文字を見ていると、積み重ねられた年月の厚さに不思議な気持ちがしました。

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