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2024年9月10日(火)、葛西臨海水族園に中等1~5年生を連れて職場訪問をしました。葛西臨海水族園は展示施設としての機能だけでなく、研究調査施設としての機能もあります。水族「園」という名前も、館内の展示だけではなく、周囲の環境も一緒に学べる場であるという理念から付けられています。
前半は教育普及係の方に園内レクチャーをしていただきました。展示で使用しているアクリル水槽の技術発展、一つの空間のなかに南米・北米・インド洋・地中海など様々な海の生態の一部を対比してみることができるという魅力、深海の生き物を手に入れる際の注意点や工夫、一番の見どころである巨大なクロマグロ水槽では維持管理に必要な知識のほか、共存するマグロの大きさごとの数のバランスやストレスがかかったときに起こす行動、それによっておこる怪我をどうやって防ぐかなど、具体的な話をいただきました。また、バックヤードの様子をみることができる展示場所も参観し、正面から水槽をみるのとは違った視点で生き物を見る楽しさをお話しいただきました。
館内見学後は、講義室にて生徒からの質問に答える形でお話をいただきました。今回は水族館を活用した環境教育・海洋教育について、LWPでテーマにしている生徒がおり、水族館の実践やこれからのことについて質問に丁寧に答えていただきました。そのほか生態が未知な魚への給餌の工夫、たくさんの要素が関係する飼育の難しさとそれぞれの分業化、水族園には飼育員はもちろん、たくさんの役割を持った方々が働いていること、海水をどのように調達しているか、生き物たちがより良く生きられるようにできる限りの手を尽くし、死んでしまった場合も原因究明に全力を尽くしていることなどをお話していただきました。
生徒の感想(一部)
・自分は今までプラスチックを使わないようにしたり、リサイクルすることが100%環境に貢献出来ていると思っていた。しかし、話を聞いて今までの自分の中での常識を考え直すことが出来た。
・今日のお話を伺うまでは、水族館が行っているのは魚の輸入や飼育管理だけだと思っていた。しかし、他にも水質管理、そもそもの経営、バリアフリーを心掛けているなどたくさんの仕事があり、どれか一つがかけてしまうと水族館は成り立たないのだなと感じた。
・生き物たちの過ごしやすい環境を保ちながら、魅力的に展示しているのが、バランスがとれていてすごいなと思った。
・魚の生息地などの説明やコンセプトごとにブースを区切るというやり方は文化祭の生物展示に生かせそうだと思った。動線にも注意したい。
・35年前の開園当初から、「飼育に関してやることは変わっていない」とはっきりおっしゃっていたので、最初から取り組みをしっかりやっていた、というのがすごかった。また、漁師の方は何年も前から「海が変」とおっしゃっていると聞き、それが「伝わらない」というのがまず解決すべき問題なのではないかと感じた。
・改めて私たちが直面する海洋環境問題が、どれほどの規模でどれほどの生態系に影響を及ぼしているのか、実感させられました。