校章

東京都立南多摩中等教育学校

ニュース

2023/11/01 フィールドワーク

東京農工大学研究室訪問

2023年10月29日(日)、府中市にある東京農工大学府中キャンパスに研究室訪問しました。今年は蚕学研究で有名な横山先生の研究室に訪問し、貴重なお話を聞いたり構内をご案内いただきました。八王子市は養蚕で栄えた町であり、明治から昭和初期にかけて養蚕で作られた生糸は国の財源となる価値ある資源であり、最も栄えた時期には外国への輸出産業の6割を占めました。これまで本校では養蚕農家の助けを借りながら、授業や部活動の時間で校内でカイコを育て、生糸取りを行ってきました。年末には富岡製糸場の見学も控えているなか、蚕学のこれまでの歴史・研究やこれからの未来について横山先生からお話を頂きました。

前半は、日本における蚕学研究の歴史について学びました。兼業として養蚕を行っていた農家が半数近くにものぼった時代があったこと、渋沢栄一の助力もあり近代的な製糸業が日本で発展していったこと、動物の遺伝学やmRNA研究は日本ではカイコから深められていったこと、動物の治療薬などに含まれる有用成分はカイコから作られていること、明治から昭和初期にかけて外貨のほとんどは生糸輸出で手に入れていたことなど、貴重なお話を聞かせていただきました。

後半は、実際に構内の桑を育てている農園や養蚕室を特別にご案内いただきました。研究室の大学院生に何人も入っていただき、自身の研究、大学での生活、カイコの管理など、実物を交えながら分かりやすく説明いただきました。見学後も本校の生徒から熱心に質問が飛び交い、当初予定していた終了時間から大幅に伸びてしまいましたが快く対応いただきました。横山先生、研究室学生の皆さんのご厚意に感謝申し上げます。

 

生徒の感想(一部)

・都内の大学とは思えないほどの広大な附属農場で色々な作物や蚕を含む家畜を育てており、実習や研究には魅力的な環境が整っていた。大学院進学率が高く面白い研究をたくさんしている上、色々なサークルもあって満足感のある大学生活が送れそうだと思った。

・私が今まで行ったことのある大学は、学祭の時だったり、敷地の中に入って散歩をしただけだったりしたので、じっくり研究のこと、研究室を見たのは初めてでした。

・畑が広くすごく自然豊かで、馬もいて癒された。それに対して研究室の中にはクロマトなど多くの機器が揃っていて、すごいと感じた。

・遺伝学の発端は蚕である!と言われている!という話を聞き、とても驚いたし面白いなと思いました!また、蚕体内には生物時計があって調節していることや、風穴のこと、昆虫食のことにも触れたお話があり、楽しめました

・大学院生がやっていた蚕の餌の研究(ほとんど桑しか食べないが、タンポポだとどうなるのか)で、タンポポの餌を与えた蚕と桑を与えた蚕の違いを結果としてだすためには、桑を与えたほうの生存率が95%以上必須だということを知り、管理が大変だと思った。

・日本の研究者への手当に関する問題点について共感した。日本の明るい未来をつくる貴重な人材を経済的な理由で海外に手放してしまうのは悔しいので、優秀な研究者が研究に没頭できるような環境づくりをしていかないといけないと思った。

農工大20231029-1  農工大20231029-2

農工大20231029-3  農工大20231029-4

農工大20231029-5  農工大20231029-6

農工大20231029-7  農工大20231029-8

農工大20231029-9  農工大20231029-10