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東京都立南多摩中等教育学校

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2023/07/19 フィールドワーク

八王子市養蚕農家訪問

2023年7月13日(木)、八王子市にある養蚕農家に本校の生徒と共に訪問しました。八王子市はかつて養蚕で栄えた町で、八王子を通る3つのJR線は養蚕で取れた繭を製糸場へ、あるいは生産した絹糸を海外へ輸出する目的で建設されました。養蚕農家は最盛期で200万軒以上全国にあったと言われていますが、現在は数百軒ほど。八王子市に至ってはたった1軒を残すのみとなっています。

今回は本校や他の都立学校に春秋にカイコを納品頂いている長田農家さんの作業場へお邪魔しました。作業場の設備や道具はカイコを衛生的にかつ効率的に育てる工夫がされており、一つ一つのお話に生徒は頷きながら必死に耳を傾けていました。
繭から絹糸を取る苦労を生徒が話すと、作業場から伝統的な技法で作られた糸繰りの装置、それに着想を得て作られた手製の糸繰り装置を見せていただきました。歯車やゴムベルトをかませて、手回しで効率よく糸を取る装置を実際に触りながら、自分たちでも作ってみたいと必死に写真や基部の長さの記録をとっていました。
また、作られた繭を使った人形や遊び道具、繭糸を使ったランプシェードなどの貴重な作品も見させてもらい、自校で糸繰りした絹糸を使って作品を作ったり、文化祭での外部の人向けのワークショップアイデアを頂きました。帰りには桑畑を見学させてもらい、手入れの仕方や、養蚕以外の兼業農業についてのお話も聞かせていただきました。

生徒の感想(一部)
・蚕は糞尿、蛹、幼虫全てで楽しめる生き物で、糸取りの道具は身近なもので代用でき、ダンボールやゴム、ペットボトルや割り箸などでも作れる。繭人形などは小学生に人気で、繭の中にパチンコ玉を入れて転がすと挙動が面白い。文化祭に使えるかも。綿状にして布団にも使えるなど、ネットで調べてもわからないような詳しいことを細かく知ることができ、とても有意義な時間になった。
・今後の部活動や文化祭に積極的に取り入れていきたい。蚕を育てる際は糞の掃除などはこまめにする(通気性よく)。蚕は繭を作る時からだから水分を出したり糞をしたりするためそのまま放置すると他の繭が茶色になってしまったりする。これを防ぐために回転まぶしを使用し、回転まぶしは蚕の体の大きさに沿って作られている。昔は藁まぶしというものが使われていた(藁を山折して作ったもの)ことを学んだ。

・桑の木は、手入れをしないとどんどん伸びて、手が付けられないほどの状態になってしまう。蚕の糸を巻きとる方法や機械はいくつかあるが、用途によって使い分けることが大切だとわかった。100均の材料でも十分作れそう。蚕のフンには肌をツルツルにする成分が含まれている。シルクの光沢と関係あり?実際に足を運ぶことで、様々なことを知れて良かったです。
・蚕を育てている場所は、地面と少し離れていて網目状になっていた。このやり方で飼育してみたいと思った。
・繭糸をつくる道具には試行錯誤や様々な工夫がある事がわかった。まゆ人形などの作品はクオリティが非常に高かった。糸をとる道具を学校で作りたい。桑の木は定期的に枝を切って、葉が取りやすい高さに調節している。
・蚕以外にも綿花や蜂を育てている。そのお話も聞いてみたい。繭を活用して小学校へのワークショップ、子どもたち興味を持ってもらえる。自分たちで育てた蚕の繭を使用する方法を考えていきたい。文化祭で展示できたら良い。

養蚕農家訪問20230713‐1  養蚕農家訪問20230713‐2

養蚕農家訪問20230713‐3  養蚕農家訪問20230713‐4

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