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2026/06/15 南の風景
6月8日 本年度合唱コンクールでした
街のここかしこで紫陽花が咲く季節となり、今年も合唱コンクールの日がやってきました。6月8日(月)合唱コンクール当日の朝はあいにくの雨となってしまいましたが、その雨の中、会場となる府中の森芸術劇場どりーむホール周辺でも例年のように紫陽花が咲いていました。


8時前の会場周辺はまだ人影もまばらですが、本校の生徒を数人見かけたように思います。8時半を過ぎるとまず合唱コンクール委員が集合し、教員と共に会場準備を始めました。


そして気が付くと、まだ9時前にもかかわらず会場前はご覧の通り、生徒が多数集まっていました。9時5分、受付の設営が終わったところで、各学年ごとに時間差で入場を開始します。まず、2年生が入場し、5分後、9時10分ちょうどに1学年が入場します。クラスごとに指定された最後の歌練習の場所に移動を開始します。ものの5分もたたないうちに、ロビーの奥、階段下、踊り場などから歌声が聞こえ始めます。午前の部の、出場学年の歌練習はこれが最後になります。




1、2年生の仕上げが終わり、あちこちで円陣を組んで気勢を上げ始めた9時半過ぎに、3年生が入場を開始、つづいて保護者の皆様の受付も開始され、いよいよ開会式を待つのみとなりました。昨年度よりも広い会場なので、かなりゆったりとした席の確保ができたのですが、徐々に熱気が満ちてきます。




10時、開会式。合唱コンクール委員長が開会を宣言し、続く学校長挨拶、委員による諸注意と審査員の紹介で開会式は終了です。短時間ながら、興奮した雰囲気が会場に充満します。生徒が移動を開始し、いよいよ本番開始です。




10時20分。1年生の合唱が始まります。ここからは各学年の課題曲と自由曲を手短に紹介してゆきます。1学年の課題曲は本校の校歌です。今年も「よくも短期間でここまで」と思わせる出来上がりでした。元気のよい爽やかな校歌の歌唱が続きます。各クラスの自由曲は次の通りです。発表順に紹介します。
1組 「青い鳥」 作詞:安岡優 作曲:北山陽一
とても爽やかな曲でした。美しいメロディと温かいハーモニーが魅力の曲です。「どこかでだれかの笑う声がする どこかでだれかの涙が流れる」 誰もが心の中に持つ「幸せの青い鳥」を探す旅を、温かく語りかけるように歌っています。このフレーズからサビの「僕らの空に」へと向かって、ハーモニーが大きく広がっていく展開が心を打ちます。


6組 「鳥が」 作詞:川崎洋 作曲:新実徳英
「鳥が鳥を殺さないように 人が人を殺さないように」という静かなメッセージが、和音に乗せて響き渡ります。この祈りとも叫びともとれる静かで力強いフレーズが、クラス全員の声で一斉に放たれる瞬間の神秘的な雰囲気と緊張感が聴きどころの一つです。


5組 「きみ、歌えよ」 作詞:谷川俊太郎 作曲:信長貴富
「きみ、歌えよ、こえのあるかぎり」 というストレートで力強い言葉が何度も何度も繰り返されます。後半に向けて感情とエネルギーが蓄積され、最後に大きな解放に向けて、感情を爆発させるようなラストの圧倒的な熱量が魅力の曲です。


7組 「サッカーによせて」 作詞:谷川俊太郎 作曲:木下牧子
谷川俊太郎が続きます。サッカーに情熱を注ぐ若者の躍動感や葛藤が、洗練されたリズムと美しい和音で描かれています。「ぼくらのけっとうはみどりのしばのうえで」 という歌詞に込められた若者の情熱と勝負の厳しさが、芝生の上を駆け抜けるようなスピード感と共に伝わってきます。


4組 「いざたて戦人よ」 作詞:藤井泰一郎 作曲:ジェイムズ・マクグラナハン
明治から伝わる名曲です。「いざたて戦人よ 旗おしたてて」 という、冒頭で全員の声を一つにして力強く歌い出されるこのフレーズが、一気に会場の空気を引き締めます。まるで目の前に兵士たちの隊列が浮かぶような、一糸乱れぬリズムと声の塊が聴きどころです。


3組 「はじまり」 作詞:工藤直子 作曲:木下牧子
新たな世界へ一歩を踏み出す瞬間のきらめきとスケール感が「まだ見ぬ未来を 私はここで はじめねばならない」というこの歌詞に凝縮されています。ドラマチックな転調と美しい旋律が聴きどころで、優しく語りかけるようなはじまりから、世界が目の前に広がるようなラストのイメージは息をのむものがあります。


2組 「ロマンチストの豚」 作詞:やなせたかし 作曲:木下牧子
アンパンマンのやなせたかしさんの作詞のこの曲は、ユーモラスで少し切ない感情を、軽快で洒落たハーモニーで描いたユニークな曲です。「ぼくはロマンチストの豚 なぜならぼくは愛を夢みる」というコミカルでちょっと切ない歌詞に隠された、純粋でロマンチックな世界観をクラスがどう歌うかが聴きどころです。


ここで10分間の休憩。短い時間を使って、各クラスは担任もまじって最後の気勢をあげます。

11時30分、午前の部後半の開始です。2年生はこの合唱コンクールを機に、学校の中心学年として行事を支えていく学年になります。どのクラスも元気な合唱を披露してくれました。課題曲は昨年に引き続き台湾歌謡の「望春風(春待つ乙女)」です。春の訪れとともに恋心を抱く乙女の心情を歌った曲で、台湾では多くの人々に歌い継がれてきてます。2学期の台湾修学旅行に向けて、気持ちも上がってくる名曲です。課題曲であっても、各クラスの個性が強く出た合唱が続きました。2学年の自由曲を以下に紹介します。
4組 「ぼくが小鳥に」 作詞:寺山修司 作曲:萩京子
私のような年配の教員にはとにかく懐かしい寺山修司の繊細な詩の世界を、萩京子のメロディにのせて切なく歌い上げています。さびの「ぼくが小鳥に なったなら あなたの窓辺で なくだろう」 という歌詞は小鳥に姿を変えてでも大切な人に想いを届けたいという純粋で儚い情熱を歌っており、その瑞々しさが聴きどころでしょう。


3組 「たっけだっけの歌」 作詞:サトウハチロー 作曲:信長貴富
サトウハチローによるリズミカルな言葉遊びの詩を、信長貴富が躍動感あふれる合唱に仕立てた名曲です。随所にあふれる遊び心、とりわけ「たっけだっけ たっけだっけ 竹やぶの」 という言葉の響きが持つユーモアと、歯切れの良いアンサンブルに注目です。クラスの息が合った時、楽しい世界が見えてきます。


7組 「ぜんぶ」 作詞:さくらももこ 作曲:相澤直人
「ちびまるこちゃん」の世界を思い起こさせる、さくらももこの温かく深い詩と、美しく澄んだ和音が心に染み渡る名曲です。「大切なことぜんぶ ここにある」 という歌詞によく表現されている等身大の優しさと、クライマックスに向けて感情が豊かに満ちていくハーモニー、聴きどころが随所にちりばめられています。


1組 「とうりゃんせ」 わらべ歌 作曲:信長貴富
わらべ歌はとにかく難しいと思います。誰もが知る「行きはよいよい 帰りはこわい」 というくだりをどうドラマチックな合唱にするか、腕の見せ所でしょう。伝統的な旋律の裏に潜む怪しげな緊張感と、複雑に絡み合う声の響きが生み出す神秘的な世界観を感じさせてくれる不思議な曲に仕上がりました。


6組 「あんたがたどこさ」 わらべ歌 作曲:信長貴富
これもおなじみのわらべ歌です。「とうりゃんせ」がドラマチックな世界観を私たちに与えてくれるとすれば、この詩はスリリングで遊び心満載のめくりめくイメージを与えてくれる名曲と言えるでしょう。「それを猟師が鉄砲で撃ってさ 煮てさ 焼いてさ 食ってさ」という 畳みかけるようなリズムの緩急と、ダイナミックな展開が印象的な曲です。


2組 「あいたくて」 作詞:工藤直子 作曲:相澤直人
工藤直子の情熱的な詩を、相澤直人がドラマチックで広がりのある旋律へと仕立てた逸品です。「あなたにあいたくて あいたくて あいたくて」 というさびに込められた「あいたくて」というストレートな情念と衝動が合唱の波となり、私たちの心に直球で伝わってきます。


5組 「ずいずいずっころばし」 わらべ歌 作曲:信長貴富
3番目のわらべ歌です。おなじみの手遊び歌をベースに、声のパーカッションや斬新なハーモニーを組み込められています。「ずいずいずっころばし ごまみそずい」 というコミカルでありながら、現代的でスリリングに展開していく声の応酬をどれだけ楽しみ、かつ聴衆に伝えるかが鍵となる曲だと思われます。


以上で午前の部は終了しました。残るは3年生です。昼休み、昼食もそこそこにどのクラスも最後の歌練習に励んでいます。




13時20分生徒が会場に戻ってきました。午後の部の始まりです。まずは、合唱コンクール委員によるハンドベル演奏です。ところどころ詰まりながら、それでも会場が暖かい雰囲気に包まれた演奏でした。

和やかな演奏が終わると、会場にまた緊張が走ります。いよいよ3年生の登壇です。本年度の3年生は、過去最高といってもよいほどの熱の入った練習を連日続けてきました。前々日の土曜日の午後遅くまで練習していたクラスもあります。3年間の仕上げとしての合唱が始まりました。まず課題曲は「草原の別れ」。詩情豊かな詩と洒脱な和声のハーモニーを、どのクラスも精一杯歌いきっていました。そして、自由曲。各クラスが精魂込めて歌いこんだが曲を紹介します。
6組 「生きる」 作詞:谷川俊太郎 作曲:新実徳英
つくづく谷川俊太郎の詩には合唱に向いていると思わせる力があります。一言でいえば「普遍性」でしょうか。メッセージ性の高い詩を、ダイナミックな転調と重厚なハーモニーで表現する大曲です。「いま生きているということ」 という一行に込められた生命への尊厳念を、今この瞬間に仲間たちと歌い上げる喜びが溢れ出ような合唱でした。


2組 「こころよ うたえ」 作詞:一倉宏 作曲:信長貴富
揺れ動く繊細な青春の心情に寄り添った、優しく、時には激しい、感情を揺さぶる旋律が魅力の曲です。「こころよ うたえ わたしの代わりに」と 心の奥底に秘めた葛藤や願い、祈りを込めた美しいポリフォニー(旋律の多層性)に体が震えた聴衆も多いと思います。


5組 「鷗」 作詞:三好達治 作曲:木下牧子
戦争で命を落とした若者たちへの鎮魂歌(レクイエム)であり、戦後の自由への渇望を美しいカモメの姿に託した、透明感と哀愁が同居する木下牧子の最高傑作の一つと言われます。「つひに自由なカモメに ならう」 という歌詞に込められた、絶望から這い上がり、どこまでも広がる青空へと翼を広げて飛び立つ鷗のような、劇的な広がりのあるサビが圧巻でした。


7組 「最上川舟唄」 山形県民謡 作曲:清水侑作
私事になりますが、山形県の最上川流域に生を受けた私には、普通の気持ちでは聞いていられない曲でした。荒ぶる自然と力強い川乗りの息遣いを、民謡特有のうねりを加えた合唱が特徴です。「ヨーエ サノ マカショ エサノ コリャ」 男声の力強い掛け声と女声の美しい情景描写が交錯し、川の流れが目前に迫るような印象を与えてくれます。クラスが一体になった大迫力に圧倒されました。


1組 「いっしょに」 作詞:くどうなおこ 作曲:木下牧子
くどうなおこの温かい詩の世界を、リズミカルで軽快なメロディに乗せて届け、人に笑みを浮かばせる佳品です。「こころを ひらいて いっしょに 歩こう」 今は失われてしまったかもしれない共同性への憧憬をも感じさせるこの一節は、言葉の輪郭を大切にしながら、弾むようなハーモニーで仲間との繋がりを表現しています。爽やかに一歩を踏み出す勇気を聴衆に与えてくれるような合唱でした。


3組 「わが抒情詩」 作詞:草野新平 作曲:千原英喜
精神の体躯の大きさを感じさせてくれるという点では、この草野新平の詩が随一だと思います。抒情的な美しいメロディで始まり、中盤からテンポが緩み、詩人の心のうちを吐露するような「語り(朗読)」に近い表現へと変化し、そこに、東洋的な響きと情熱的な旋律が加わることで、劇的で壮大な曲に仕上がっています。「わが抒情詩よ 宇宙のなかの小さな地球の」 という壮大なイメージを見事に歌い上げていました。


4組 「放課後」 作詞:加藤千恵 作曲:信長貴富
加藤千恵が、高校生の合唱のために書き下ろした美しい小品です。「忘れたいことなどないよ 今のまま すべての季節 いつか愛せる」という歌詞からも感じれるように多感な時期のいとしい日常と切ない情感が表現されています。誰もが覚えのあるかもしれない、思春期特有の感傷、大人になった時にふと湧き上がる郷愁が、美しいメロディに乗せて表現されていました。


14時40分頃、これですべての合唱が終わり、いよいよ審査に入ります。審査員が退席し、審査を行っている間、合唱部と教員合唱の時間になります。合唱部は普段から歌いこんでいる見事な歌声を披露してくれました。教職員はと言えば、練習に熱心に参加した教員、雑事にまぎれて練習に参加できず当日初めて楽譜を手にした教員、歌は知らないけど周りに合わせればなんとかなるさと大きく(というか図々しく)構えた教員、実に人員構成的に玉石混交といった合唱団になりましたが、何とか全員が歌いきった、と思います。この学校の生徒は本当に優しいと思います。笑いながら、携帯のライトをかざして声援をくれます。また来年も実施したいと思った教員は多いはずです。


そして、閉会式。審査発表の時間となりました。まず、審査員の先生より講評をいただき、多数のお褒めの言葉をいただきました。そして、緊張の審査発表となります。ドラムロールを交え、入賞クラスが発表されるたびに、会場のいたるところで悲喜こもごもの光景が繰り広げられます。入賞に歓喜するクラスもあれば、自分たちこそ1位と確信し練習を続けてきたがゆえに次点となり落胆するクラス、様々な感情がホールの中を行きかいます。






審査結果は以下の通りとなりました。総合部門も3年生が独占しました。
1学年 1位 4組 「いざたて戦人よ」
2位 7組 「サッカーによせて」
3位 5組 「きみ 歌えよ」
2学年 1位 7組 「ぜんぶ」
2位 4組 「ぼくが小鳥に」
3位 6組 「あんたがたどこさ」
3学年 1位 3組 「わが抒情詩」
2位 7組 「最上川舟唄」
3位 2組 「こころよ うたえ」
総合優勝 3年3組
総合準優勝 3年7組
総合3位 3年2組
指揮者賞 3年2組
全ての結果発表が終わり、表彰になります。代表が賞状を受け取るたびに、クラス全員が立ち上がり、「ありがとう」と声援を送ります。そして、全ての表彰が終わると、最優秀クラスのアンコールが行われます。








そして最後の校歌斉唱です。式は1年生の最優秀クラスの課題曲指揮者が行います。例年、圧倒的な感銘を与えてくれる校歌斉唱に今年も心を震わされました。会場全体に本校の校歌が鳴り響きます。


以上、本年度合唱コンクールの報告でした。また来年、再び素晴らしい歌声を聞けることを祈念します。
生徒の皆さん、本当にお疲れさまでした。