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東京都立東大和南高等学校

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2023/02/15 皆さんよろしゅうございますか?

皆さんよろしゅうございますか 令和5年2月13日号 「私の青春時代」~ドン・キホーテみたいな生き方にあこがれた頃

「私の青春時代」~ドン・キホーテみたいな生き方にあこがれた頃

校長川瀬より年度末に向かうにあたり、しばらくぶりにメッセージをお届けします。

本年度、私は折に触れ「青春とは何だ」と10代後半を生きるミナミ生へ問い続けました。たった一度の人生のなかでは青春時代もまた一度しかありません。私は「心の持ち方では・・」と青春時代がいつまでも続くとする考えには同意できません。10代後半からのわずかな若者時代を通り過ぎれば、豊かな円熟時代はあっても、そこは青春時代とは違う世界が広がっていて、もう後戻りはできないのです。

さて、私自身は「青春とは何だ」と考えてきたかについて少しく述べさせていただきます。以下をお読みになったうえで、あらためて自分自身にとって「青春」とは何なのかを考えて欲しいと思います。体力・気力がまだまだ成長を続けていた10代・20代のころ「人間にとって最も恥ずかしいことは、その人があるべき姿のために戦わないこと」すなわち理想の自分となるために勝負しないのは恥ずかしいと考えていました。これはドン・キホーテにスペインの作家ミゲル・デ・セルバンテスが言わせたセリフ(台詞)です。私たちは、明らかに負けると分かっていても戦わなければならないことがあります。向こう見ずの姿勢をとらなくてはならない時があるのです。というか、人生においては、そのようにしなければならない事の方が明らかに多いのです。このドン・キホーテ的生き方を支えるのは、毎日の日常生活をきちんとすることだと思います。だらしない生活をしていたら、優れた先生方がいらっしゃる学校に通ってはいても、知識も理解もすこしも増えることはなく、成長はしないでしょう。遅刻し、あいさつをせず、マナーに反した身なりをしているようでいて、どうして夢がかなえられましょうか。昔の人はタガの緩んだ桶に水はたまらぬといったものですが、底の抜けたバケツでは水をくむことは難しいのです。

なお、聖書の次によく読まれた近代小説の先駆け『ドン・キホーテ』に不案内の人のために補足をします。古典ではありますが、東洋人もちろん日本人にも読みやすく、聖書やギリシャ神話を読んだことがなくても理解できる本です。少々乱暴ですが、ひとことでいえば、騎士物語を読みすぎで妄想を抱き続けている老人が、家来のサンチョ・パンサを連れてスペインじゅうを旅し続ける話です。前編・後編つまり最初の旅の話・二度目の旅の話からなっていて、ある文庫では全6冊にも及ぶ長い話ですが、こども向けに一部を紹介するものや絵本もあります。百聞は一見に如かず、少年文庫などでもよいので読んでみると私の話の意図が伝わりやすくなるかもしれません。

この度は年度末まであと一押し、最後の粘り強さの大切ないま、本年度初めより皆さんに問うてきた青春について述べてみました。