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東京都立東大和南高等学校

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2022/08/23 皆さんよろしゅうございますか?

 「皆さんよろしゅうございますか?」8月23日号   キャリアパスポートを読んで感じること~いまこそ未来の自分のために考えたい

 

皆さんよろしゅうございますか?校長川瀬です。この夏季休業中、私は39期生(現1年生)が中学生時代に書き続けてきたキャリアパスポートを読んでみました。中学校によって掲載内容は少しずつ異なりますが、学期ごとの振り返りを大切にし、キャリアデザインをどのように進めてきたかが記録されているところは共通しています。読んでみて強く感じるのは、東大和南生となった皆さん一人一人がそれぞれの未来のために考えて欲しいことが4点あるということです。

1点目 自分の「ものさし(価値観)」をもつこと

   率直に言いますと、自分がどういう人間なのか、自分がどんなこだわりをもっているのか、自分がどういう社会人に成長したいのか、どのような時に自分は幸せだと感じられるのか、過去から現在になるまでの自分を振り返って、将来の夢を描き、自分なりの「ものさし(価値観)」を発見して欲しいのです。

2点目 自分自身を大人にしていくのに必要なこと

 「自分の夢」をかなえるのには、まず可能な限り自分自身を鍛えて能力・資質を磨き上げることです。そのためにも「授業で勝負、教養で勝負、部活で勝負」です。もちろん求められるのは能力・資質だけではありません。大人の人格・個性をもてるように努めることが大事です。授業も教養も部活も、今までの自分に足りない立派な大人になるための何かを磨くためのものでもあります。ときどき同級生や先輩、先生方、保護者の皆様等に「自分がこれから実現したい事」を伝えるコミュニケーションをとってみて、相手の意見をきいてみることで、自分では気が付かない大人になるための何かを発見できるかもしれません。特に己に対する厳しさ(克己心)と他人に対する誠実さ(友愛など)があってこそ、新しい自分・大人の自分へと成長(創造)できるのではないでしょうか。

3点目 自信がもてるまで努力を重ねること

   自信をもつと姿勢、態度、雰囲気、そして目の輝きまで変わってきます。誰しも強みだけでなく,弱点があります。それならばそれをどのように克服しましょうか。目的意識があり、生き生きした人間は声にもハリがあり、顔つきも変わってきます。東大和南の生徒はみな謙虚で素直です。そのことは素晴らしいことなのですが、自分の夢の実現をするために不足を補い乗り越えてみせるという覚悟というか、迫力というか、そうしたものにおいて残念ながらもう一歩であると感じます。

4点目 大学で何をどう研究するのかということ

  ほとんどの生徒が入学してくるときから漠然と大学進学を考えています。しかしその進路先というのは、まさに極めて漠然としています。39期生の皆さんはさる7月19日に大学訪問をして視野をひろげてきました。この夏季休業中もオープンキャンパスに出かけてきた在校生は少なくないでしょう。大学等を見学してどんなことに気が付くでしょうか?人工知能(AI)の発達によりあらゆる分野で数学的な思考法が求められています。「数学が苦手だから文系」とは安直に決められません。英語も同様で、あらゆる専門職の世界で英語力が求められています。大学で学ぶ学問は、実は文系と理系の2種類だけではないということです。たとえば工学は自然科学の側面が色濃いですが、これからの社会をどのように設計し運用するかという社会科学の側面も持っています。文系型入試(英語・国語・地歴等)で入学できる多くの経済学部にあっても、大学生として実際に取り組んでいく経済学研究では数学的素養が実に多く使われています。あなたは大学生になってから「経済学部って、数学を使うんですか?」といって困惑する学生にはなりたくありませんでしょう。また現在の高校生が大学卒業後の新卒採用から定年退職まで、生涯一つの組織で働き続ける可能性は高くないでしょう。そうであるならば、キャリアを主体的に築いていく必要があります。つまり、その仕事を通じて自分にどんなキャリアが身に付くかというのは、いままで以上に重要になります。志望大学を選ぶ時、こうしたことも意識したいものです。

 

キャリアパスポートからはじまって、「未来の自分のために考えて欲しいこと」について少し大

きな風呂敷をひろげてみました。高等学校全日制は3年間、しかし慌てる必要もあせることもありません。一歩一歩着実に進めばよいのです。夏季休業もまだ1週間あります。2学期がはじまれば、楠翔祭(文化祭部門・体育祭部門)もすぐです。学校行事もまた、広い意味でみなさんのキャリアデザインに役に立つものです。さあ中学時代のキャリアパスポートに高校時代の記載を加えていきましょう。