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東京都立東大和南高等学校

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2022/04/28 皆さんよろしゅうございますか?

「皆さんよろしゅうございますか?」  4月27日号

 

皆さんよろしゅうございますか?校長川瀬です。今日は授業で勝負する話です。


私が高校生の頃、都立国立高校に名物教師「世界史の桑島良平(クワジマ リョウヘイ)先生」がいらっしゃいました。その名声を聞き及んだ川瀬青年は国立迄「追っかけ」と言いますか、桑島世界史を見学に伺ったことがあります。黒板にはチョークでデフォルメされた地図が次々と描かれ、その地図が仕上がる間も名授業はとどまることがありません。何より新鮮だったのは、授業が一段落して「質問ありますか?」という先生の声があるやいなや、次々と挙手する生徒がいたことです。先生が一人ずつ指名して質問をきくと、多くの生徒が「●●なのはなぜですか」「先生が△△と断言される根拠は何ですか」と尋ねるのに続いて「僕は・・・だと考えるのですが。立証するには何が必要ですか」とか「私は先生の説明で~というところが正しいなら、教科書の記述と矛盾するのではないかと考えます。どうして先生の説明のようになるのか補足してください。」 と生徒たちが発言していました。それまでにきいたことのない生徒たちの発言の山に遭遇した私は、「この人たち(桑島先生と生徒たち)は授業で勝負している」と思いました。


 後年、30歳をいくつか過ぎたころ、私は都立戸山高校に日本史の教師として着任し、長老教師(といっても60歳前だったはずですが)となっていた桑島良平先生と同じ社会科準備室で机を並べ、先生の最終授業もきかせていただく幸せに出会いました。戸山生が桑島世界史の授業に出席するのに教科書のほかに『岩波講座 世界歴史』をもっていて、「(その本に)××と書いてあるが、どう考えますか」と生徒から質問されると、流暢に明解に根拠を示して答える先生の姿がいまも忘れられません。

いまも昔もよい授業は教師と生徒が協働して創るものです。