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2026/09/01 SSH
文理融合SSH「人と自然の関係を学ぶ」北陸研修報告 黒四ダム、立山高山植物・氷河、化石発掘、能登地震を訪ねて
文理融合SSH「人と自然の関係を学ぶ」北陸研修報告
黒四ダム、立山高山植物・氷河、化石発掘、能登地震を訪ねて
1 目的
(1) 産業や日常生活に必要な電気をどのように確保していくかは、現代文明において必須の事業である。その電気を確保するためには、火力発電や原子力発電、そして水力や風力、太陽光などの自然エネルギーがある。先人たちがそのエネルギー源を得るために多大な努力を費やして建設した巨大ダムを見学することで、そのエネルギーの強大さを実感するとともに、今後の日本のエネルギー政策についても考えるきっかけとする。また、このような自然エネルギーを得るために、どのような土木工事が行われたかを事前学習し、人間が自然をコントロールすることの難しさも体感する。
(2) 立山の氷河地形や高山植物群落、そこに暮らす鳥類をはじめとした動物たちを観察することで、氷河が巨大な山を削るエネルギーの大きさや高山のバイオームの特殊で美しい景観を体感する。
(3) 化石が路頭に見られる夕日寺健民自然園にて石川県在住の地学を専門とする外部講師の指導のもと、化石の発掘を行う。地学を学ぶ機会のない本校の生徒に発掘の体験や得られた化石からどのような知見が得られるかを地学が専門の教諭から指導を受け、考えさせる。合わせてそのような地層がどのようにしてできたかも、上下の地層から考えさせる。
(4) 能登地震の現場を訪ね、地球の持つエネルギーの大きさを実感する。また、そのようなエネルギーによって人々の生活にどのような影響を与えたかを被災地の人達にお話を聞き、防災の大切さを実感する。
(5) 巡検で学んだことを校内・校外に発表し、聞きに来てくれた人達との対話によってより一層深く考える機会をつくる。
2 日程及び行程
7月22日(水)~24日(金)立川駅集合・東京駅解散
7/22(水)立川駅発→(あずさ5号)→信濃大町から黒部アルペンルート→(路線バス)→扇沢→(電気バス)→黒部ダム 見学 黒部湖→(ケーブルカー、ロープウェイ)→大観峰→(電気バス)→室堂着 氷河地形・高山植物・鳥類の観察
7/23(木)朝 周辺にて動植物の観察 室堂→(立山高原バス)→美女平→(立山ケーブルカー)→立山駅→夕日寺健民自然公園(化石発掘)→金沢着
7/24(金)金沢発→羽咋 能登地震のメカニズム 地形からの観察→門前町 震災遺構の視察→金沢駅着 →(はくたか570)→大宮駅着 解散
3 参加生徒 16名
4 事前研修 7/15(水)
・立山の地形、能登の地震地理学の知見から(本校・斎藤慶将主任教諭)
・立山の植生(本校・橋本瑠美子主任教諭)
・黒四ダムができるまで(プロジェクトX)
5 今回の取組
「北陸研修私は何を感じたか?気づいたか?」
「どんどんメモをしよう」単語でも短いフレーズでもよい。
訪れた場所ごとにメモさせる。それを忘れないうちにTeamsに記入する。
メモする項目
☆ 1日目
①立川駅から信濃大町駅の車窓から
②信濃大町から室堂までの乗り物(路線バス、電気バス、ケーブルカー、ロープウェイ等)
③黒部第四ダム④宿舎周辺の自然⑤本日一番心を動かされたこと
☆ 2日目
①宿舎周辺②室堂から立山駅③夕日寺県民自然公園化石の発掘
④本日一番心を動かされたこと
☆ 3日目
①羽咋(はくい周辺)②門前漁港③3日目で一番心を動かされたこと
※ 全体を通じて感じたこと、気が付いたこと
6 生徒の変容
生徒が書き綴ったメモはA4で23枚を超えるほど集まった。その一部を紹介する。

① 移動時に気づいたこと・黒四ダム
○ 外に出た瞬間からその涼しさに驚いた。電気バスで関電トンネルを通ったとき、工事が難しかった区間や2方向からの掘削が合流した場所など、映像で学んだ事をさらに自分の体で理解することができて、建設の歴史を肌で感じた。
○ 薄暗い場所から出ると風が強く吹きつけていた。空も広く晴れ渡っている。当然ながら山にも囲まれている。しかし、私の目を奪うのはそれらではなく、一面に水を張った異質な建物、ダムだ。何十何百もの人々がそれを作るために命を落とした。それでもなお、この大自然の中に活路を見出し、果てには自然を利用してしまった。この力は異常とも言える。当時の人々の未来への期待が呼び起こしたのではないだろうか。

○ 自然との完全な融和なんて、私たち人間がここまで発展し自立してしまった以上、不可能なのだ。もともとの人類は自然の中で、他の動植物たちと同じように暮らしていた。しかし現状はどうだ。自然を一方的に使おうとしているだけではないか。自分たちが一番偉いかのように振る舞っているではないか。そしてその傲慢さ故に資源が足りず現状に喘いでいるだろう。ただし、それを改めて、過去の不便な生活に戻るなど、もうできないだろう?少なくともしたいと思える。
○ 高尚な人間は多くない。だからこそ、今私たちにできることは自然に戻ることでも、自然を完全に支配することでもなく、ちょうど良い距離感で許容しながら自然と付き合っていくことなのではないだろうか。だが、こんなにも大きいダムを人間の力だけで、しかも今より技術も発展していない6~70年前に作り上げたというのが信じられない。今後一生忘れない経験になった。しかし同時に、この建設で沢山の人が命を落としたこと、そのような方々がいるお陰で今の生活が成り立っている事を絶対に忘れてはいけないと思った。

○ ダムの深さ、大きさが圧倒的で人間の知恵や努力、建築の凄さを身をもって感じた。また、多くの人間がここで亡くなったこと、破砕帯の冷たい水を浴びながらも建設を続けたことなど、実際に行ってみて目で見て感じないとわからない規模感を認識することができた。
○ ダムに溜まっている水を見て、この量の水を堰き止める人間の建築技術に感動を覚えると同時に、この技術を正しく、そして多くのものにできる限り配慮して使っていかないといけないと身をもって感じた。
○ ありえないくらい広大で偉大な自然。天を衝く高さの立山と、そこから望める満天の星々。本当に圧巻でおもわず息を飲み込んだ。だんだんと暗くなっていく空に、ぽつぽつと星が浮かんでいく。初めに見えたのは金星だった。調べてみれば-4.06等級だそうだ。その後続々と増えていく星を眺めていく。少し首が疲れたのでストレッチをしてみた。そして再び見上げると、宇宙には数え切れないほどの星が浮かんでいた。東京なんて場所では山に登ろうと見られないであろうこの景色に、私は心から感動した。

② 能登半島にて
○地震の影響で大幅に下がった海面、海の縁が衝撃的だった。もともと海だったところの壁に牡蠣がたくさん張り付いていたが、これらが全て死に海から消えたことでこの地域の海が少し汚くなったりしたのだろうか?また、海だった部分にがっつり植物が生えていて驚いた。

○ 塩分があったにも関わらず、おそらく地下水が流入し、育つことができるようになったのではないだろうかとの考察がなされていた。現に染み出ていた水を舐めた人がいたが,その水は塩辛くはないとの感想を述べていた。一方で,山側の井戸が枯れたそうだ。これらから、ニュースなどでは建物の倒壊や津波による被害など、人への直接的な被害を多く報道するが、もっと時間がたってから、間接的に人に与える影響や、自然に与える影響についても知ることが出来た。
