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東京都立国分寺高等学校

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2025/12/16 SSH

SSHふくしま震災遺構フィールドワーク レポート②

 8月21〜22日に東日本大震災の被災地の一つ、福島県に震災遺構をめぐるフィールドワークに参加しました。約半年近く事前学習や準備を経ての実施となりました。遅くなりましたが、2回にわたるレポートの2回目です。

 初日、他校との交流といった温かなコミュニケーションがあった一方で、実際に被災地に足を踏み入れ、14年も経過したとは思えないほど、深刻な町の状況は私たちも驚きと衝撃で言葉を失うような場面がたくさんありました。

 2日目、宝鏡寺見学の後、福島県双葉町に2020年に設立された「東日本大震災 原子力災害伝承館」を訪れました。県内に震災関連の施設が数ある中で最も規模の大きいものです。 福島で起きた地震、津波、東京電力福島第一原発事故という未曽有の複合災害の実態や、復興に向けた歩みを展示されています。

 まず私たちは「シアター」という場所に案内され、そこでは震災の画像や動画とともに施設について福島出身の俳優、故 西田敏行さんの温かく優しい語りかけで紹介されました。

 そして、館内をそれぞれが思うままに見学に回りました。

 

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 館内はとてもきれいで、シンプルな意匠で一貫しており、静寂に包まれていました。しかし、そこに展示されていたものはとても重く、暗い過去の事実ばかりで、対照的だったのが印象的でした。

 2階の常設展示室には、震災前と後の東京電力と福島の町との関係とその変化がわかるように展示されていました。今のIT技術で動画などとてもリアルで、当時の恐怖や不安を疑似体験できました。

 

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 初日の町の見学で、たくさん目にした除染土の土嚢の予想以上の大きさにとてもびっくりしました。ちょうどこの頃、これら土嚢を都内の官庁等に搬入したというニュースがあったばかりだったので、伝承館を見学していたことで、除染土のあり方やこれからについて考えが深めるこができました

 

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さらにそこから歩いて、学校震災遺構の一つ、浪江町立請戸小学校へ見学に行きました。

 

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 途中、地震の規模の大きさを物語る場所を、引率の佐藤先生に案内していただきました。道路の中央線を表すオレンジのラインが大きくズレているところです(画像参照)。

 授業で習うところですが、実際に見るとその揺れの大きさに怖さもリアルに感じられました。 

 

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 震災遺構浪江町立請戸小学校は、震災当時、児童生徒全員が避難して助かった学校です。

 当時、どのような動きや流れで先生たちが子供たちを誘導、引率して避難したかが時系列で展示されています。そこにあったものは震災当時のまま、です。

 

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 私たちは当時の避難経路を実際に歩いて、子供たちが避難した大平山公園に行ってみました。猛暑の中、およそ30分。当時はまだ寒い時期だったので、どんな思いで避難したのだろうか、と思いながらそこを歩いて行きました。周辺は何もない、草が茂る空き地だらけですが、14年前は住宅街で、そこに生活があったことを示すものが点在していました。

 

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 一泊二日の濃密な被災地体験は、今後の私たちの高校生活や、人生、探究活動にも影響していくと思います。

 行かなければわからないことばかりでした。

 最初は福島に震災の勉強に行く、と言ったら周りの大人は「あの当時、あなたたちかなり小さかったでしょ」と言われ、周りの同世代の人たちからは「意識高いね」とか言われて、私たちはある意味、ちょっと変わった人たちみたいな見方をされていました。でも、私たちはそれこそが今の社会課題だと思っています。

 もっと原発や震災の話をフラットにカジュアルに、いろんな人と日常的に話ができるようになるには、どうすればいいか  これが私たちの探究活動のテーマになりそうです。

 来年度は、一年生にこの取り組みを引き継ぎ、今年度参加できなかった「世界津波サミット」にぜひ参加できるようにしてほしいと思います。

参加者代表(文責 引率教員 齋藤美帆)

 

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