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東京都立小平西高等学校

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2023/03/10 今日の小西

令和4年度 第44回卒業式 答辞 全文

第44回卒業式における卒業生代表の答辞を全文掲載いたします。

 

答辞
校舎に差し込む目映い光、 流れる暖かな空気に、 春の粒子を感じるようになりました。通い慣れた通学路も、すっかり体に馴染んだ制服も、今日で最後になります。 本日は、私たち卒業生のために、 このような素晴らしい式を挙行してくださり、誠にありがとうございます。 お忙しい中ご臨席いただいた皆様への感謝を胸に、 私たち44期生 267名は、 小平西高校を卒業します。

私たちの高校生活は、初夏の風が吹く、6月から始まりました。入学式延期、前後半に分かれての分散登校、想像していた生活とはかけ離れた毎日でした。 体育祭、文化祭、 合唱コンクールと中止が続き、もしかしたらこの3年間何も残らないかもしれない、そんな不安に駆られたのを覚えています。
 2年生に上がり、 学年別での体育祭、文化祭を行うことができました。 初めて学年全体でひとつになることができました。今までの思い出を取り返そう、そんな奮起も束の間、2022年1月、沖縄への修学旅行中止。 出発ギリギリまで粘った先生方の決断に、胸が痛むばかりでした。 感染は更に勢いを増し、 オンラインでの授業が始まりました。 しかし、 全員が悔しい思いをする中でも、先生方はユニークな授業を準備してくださいました。 節分の日に鬼のお面を被りながら積分を教える渋谷先生、 くまのぬいぐるみを使って語りかける水井先生、 特別出演してくれたスティーブンにはハートやグッドマークが画面上に溢れました。 会えないけれど、話せないけれど、 画面上でひとつになれた、喜びがありました。 そして3年生となり、 ついに果たせた全学年での体育祭、文化祭。 ようやく夢見ていた形を取り戻すことができました。 八景島・ディズニーシーへの修学旅行。 宿泊したホテルで、全員でエイサーを踊ったあの光景は、日々の息苦しさなど忘れてしまう程、希望に満ちたものでした。ここまで、諦めず尽くしてくださった先生方。 慣れない日々が続く中身を尽くし、 時間をかけ、いつも安心と安全を届けてくれました。

可哀想な学年なんかじゃない。 この学年で良かった、と心から言いたいです。

出会ってくれた友達。 この三年間、 共に笑いあい、互いに鼓舞し合えたことを嬉しく思います。 この三年間、思い返す度々の表情に残る、 マスク一枚の隔たりを、少し悲しく思います。 思い返せば、あの授業も、 あの放課後も、 あの帰り道も、 全部全部、密そのもので、かけがえのない時間でした。 どんな時も一緒に居てくれて、 本当にありがとう。

支えてくれた家族。 私たちはいつの間にか成人し、 一人で解決していくことが増えました。 日々の生活を、ただ続けていくことが、どれだけ大変か、 身にしみて分かるようになりました。 将来に悩んだ時、 些細な一言が、いつものお弁当が、 何よりの力になりました。この場に立てているのは、間違いなく家族のおかげです。 ありがとう。

私たちの高校3年間は、 コロナ抜きでは語れません。 それくらい、縛られた、塞がれた毎日でした。 正直、 悔しい思いでいっぱいです。 でも、 だからこそ行けた場所、 出会えた人、 生まれた時間がありました。 学校に行けること、 人に会えること、今日のように全開の笑顔が見られること、 その有り難みを痛いほど知ることが出来ました。 誰も予想していなかった3年間、 私はこの3年間を誇りに思います。

「さよならだけが人生ならば、 また来る春は何だろう
さよならだけが人生ならば、 巡り合う日は何だろう」
これは今年没後40年となる劇作家・寺山修司の詩の一節です。春はいつも通りに訪れます。 新たな出会いも生まれます。 その時、春の粒子は必ず桜を咲かせます。 私たちは前を向いて、 この時代をたくましく生き抜き、それぞれの蕾を開いていきます。 3年間支えてくださった方々に改めて感謝を、そして、 小平西高校のさらなる発展を祈念し、 答辞といたします。

令和5年3月8日  卒業生代表  荘田節