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数学カフェ@杉並工科 2026.9.19
9月19日(土)、「杉工祭」に参加しました。
台風25号の接近に伴い天候が心配されましたが、会場の本校1階の図書館には40組80名の方々にご来場いただき、展示やクイズなどを楽しんでいただくことができました。
ご来場いただいた皆様、誠にありがとうございました。
今年度は、「日常にひそむ数学。遊びながら学ぼう!」をテーマに、以下の展示とクイズを行いました。

(1) これまでのゼミで取り上げた内容をもとにまとめた掲示物
- パスカルの三角形
- 素数、公約数・公倍数
- 三角比と三角関数の公式
- 正四面体の計量
- 級数とテイラー多項式
- 関数等式
- グラフ理論(参考資料)




(2) 長方形を組み合わせた紙工作
縦4cm、横7cmの長方形の色紙に切り込みを入れ、それを3枚組み合わせて作った工作物を、来場された皆様全員にプレゼントしました。「どのように組み合わせると、このような立体ができるのだろうか」と考えながら、実際に手に取って、分解したり組み立てたりして楽しんでいただきました。この立体は、私たちが生活している縦・横・高さの3つの方向をもつ3次元空間を、3枚の長方形によって表現したモデルです。身近な紙を使った簡単な工作を通して、平面から立体が生まれる面白さや、3次元空間の広がりを感じてもらうことができたと思います。

(3) 檜材とプラスチックで作成した教具「立体図形」
本校の元機械科の先生に、設計から3Dプリンタによる仕上げまで精密に製作していただいたジョイント(写真内の紺色、水色のプラスチック部品)と檜材を組み合わせ、さまざまな立体図形を製作しました。テーブル上でひときわ目を引いたのは、1辺90cmの正四面体です。普段目にすることのない大きさの立体図形に、実際に触れてもらう機会にもなりました。また、「内部の水色のジョイントが示す点は何を表しているのか」という質問も数多くいただき、正四面体では、外接球と内接球の中心は一致し、その中心にあたる点であることを説明しました。

授業で図形を考える際には、その都度、必要に応じて点や線を補い、できるだけ大きく、丁寧に図を描いて考えることを勧めています。今回の展示は、実際に大きな立体に触れることで、平面上の図だけでは捉えにくい点や線の位置関係を、より具体的に理解する機会にもなったと思われます。

(4) プラスチック板を加工した教具「曲線の接線」
1995年にNHKで放映された「秋山仁の数学タイムトラベル」で使用された教具を参考に、本校の元理工環境科の先生に製作していただいた、「曲線の接線」を視覚的に理解するための教具です。レーザー加工によって、プラスチック板から曲線と直線が正確に切り抜かれています。
切り抜かれた放物線上を直線が滑らかに動くことで、直線が放物線に接する様子や、接点の移動にともなって接線の傾きが変化する様子を、実際に動かしながら確かめることができます。
来場した中学生の多くが、放物線上を接線が滑らかに動く仕組みに驚いていました。その様子を通して、実際に手で触れ、動かしながら数学的な概念を理解する手作り教具の良さを、改めて実感することができました。

(5) 一筆書きクイズ
有限個の頂点と、それらを結ぶ辺からなる図形を「グラフ」といい、グラフに関する数学の理論を「グラフ理論」といいます。関数のグラフと区別するため、「離散グラフ」とよばれることもあります。グラフについては、高校数学Cの「数学的な表現の工夫」で解説されていますが、授業時間数の関係から、実際の授業で取り上げられる機会は稀だと思われます。
グラフのすべての辺をちょうど1回ずつ通る道(みち)を「オイラー路」といい、そのうち始点と終点が一致するものを「オイラー閉路」といいます。いわゆる「一筆書き」は、このオイラー路を考える問題です。
一方、グラフのすべての頂点をちょうど 1 回ずつ通る道を「ハミルトン路」といい、出発した頂点に戻るものを「ハミルトン閉路」といいます。ハミルトン路や閉路は配送経路などを考える際にも関係する身近な問題ですが、一般のグラフがハミルトン閉路をもつための必要十分条件は、現在も知られていません。
今回、オイラー閉路の問題を8題、ハミルトン閉路の問題を8題、さらに「4色定理」に関する問題を2題用意し、来場された皆様に挑戦していただきました。挑戦してくださった方には、もれなく「数学カフェ@杉並工科」手作りコースターをプレゼントしました。対応した生徒たちの説明がとても丁寧でわかりやすかったとの声も多くいただき、来場者との数学を通した交流の場となりました。

ちなみに、レオンハルト・オイラーは、18世紀のスイスの数学者で、膨大な成果を残し、著書「無限解析序説」の中で円周率の記号を「π」と表記することに決めたことでも知られています。後の人が数学を考えるための道具も作った数学者です。
また、ウィリアム・ローワン・ハミルトンは、19世紀のアイルランドの数学者で「四元数」を発見しました。四元数は立体の回転を表すのに適し、CGやロボットの姿勢制御等に使われています。かつて行列式を学んだ高校生にとっては「ケーリー・ハミルトンの定理」でもお馴染みでしょう。
まとめ
今回の文化祭では、掲示物を見るだけでなく、実際に教具に触れ、動かし、クイズに挑戦することで、来場された皆様に多少なりとも数学の面白さを体験していただくことができたと思っております。
数学は、公式を覚えたり計算したりするだけのものではありません。身の回りのさまざまなところに数学があり、実際に「見る・触れる・動かす・考える」ことで、新たな発見や驚きが生まれます。今回の展示を通して、そのことを少しでも感じていただけたのであれば幸いです。
また、生徒たちが来場者に自分の言葉で数学を説明する姿も多くみられました。人に説明することは、自分自身の理解を深めることにつながります。来場者の皆様と数学について語り合う時間は、生徒たちにとっても貴重な学びの機会となりました。
これからも数学カフェ@杉並工科では、「日常にひそむ数学。遊びながら学ぼう!」を大切にしながら、数学を身近に感じ、自由に考え、語り合える場をつくっていきたいと考えています。