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2025/10/07 学校行事
都立高校生等の海外派遣研修(UAE=アラブ首長国連邦)活動報告
9月27日(土)から10月3日(金)の7日間、本校2学年生徒4名がUAE(アラブ首長国連邦)での研修に参加してきました。(参加校6校、計24名)
9月27日(土)、成田空港に集合してチェックインを済ませ、開講式を行いました。引率者紹介や代表生徒の挨拶などがあり、渡航する実感が湧いてきた瞬間でした。手荷物検査ではいろいろとトラブルがありましたが、何とか出発することができました・・・!
そこから飛行機でアブダビのザイード国際空港まで10時間かけて移動し、入国審査も少しトラブルがありましたが、なんとか無事通過。バスでホテルに向かい、着いたのは現地の深夜2時頃。この日はそのまま就寝となりました。長い飛行機移動やトラブルが数件あったおかげで(?)、生徒たちはすぐに眠りにつけたようです。
9月28日(日)、ここからいよいよUAE研修の本番開始です。この日はアブダビで研修を行いました。まずは『ルーブル・アブダビ』。現地ガイドの方のお話を聞きながら見学を行いました。ここはフランスのルーブル美術館の国外初の分館であり、古代から現代までの歴史の流れに沿って、世界中の美術作品を目で触れることができました。建物自体がとても特徴的で、中学で学んだ歴史の授業に出てきたものが実際に体験できたことが生徒にとってはとても印象的だったようです。
その後は市場調査やデザートサファリ(車に乗って砂漠体験)、ホテルに戻って本日の振り返りを行いました。どの体験も日本では味わえないものであり、また異国の文化や生活習慣などに触れられた1日でした。
9月29日(月)UAE2日目、メインイベントの1つがこの日でした。午前中、まずはアブダビにある『在アラブ首長国連邦日本国大使館』へ訪問しました。そこではまず、岡庭健大使による講話を聴くことができました。この講話では、1971年のUAE建国から現在に至るまでの経緯や歴史のこと、日本との経済や政治の違い、UAEの方から見た日本の印象などについてお話を頂きました。分刻みでお仕事をされている大使の貴重な時間を割いて講話をしてくださり、その中で大使も都立高校出身であることや、日本の強みなどについても触れて頂いたこと、こちらの質問にも笑顔で答えてくださったこの経験は、彼らの一生モノの宝物になったことと思います。
そしてその午後、国立ENS高校(Emirates National Schools)を訪問しました。そこではウェルカムセレモニーや文化交流、学校見学などが行われたのですが、まず驚いたことが、バスを降りた瞬間でした、ENSの先生や生徒さん達がものすごい勢いで我々を出迎えて頂き、その歓迎ムードに、我々教職員も生徒も圧倒されてしまいました。ここで我々のメインとなるのが【文化交流】であり、日本文化の特徴的な「折り紙」「習字」「けん玉」をツールとして交流を行いました。準備してきてそれが相手に伝わったこともあれば、準備してきたのに伝わらなかったことや準備自体が足りていなかったことなど、参加した生徒は楽しさや悔しさなど様々な感情を抱いたことと思います。おそらくこの3日間で一番緊張した瞬間であり、また短く限られた時間ではありましたが、練習してきた英語やツールを使って交流するこの体験は、彼らにとって間違いなくかけがえのない貴重な体験となりました。
9月30日(火)UAE3日目、この日はアブダビにあるニューヨーク大学アブダビ校の見学を行い、その後ドバイへ移動しました。大学はNY以外にも、上海、アブダビの3都市にキャンパスがあり、特にこのアブダビ校の大きな特徴は125以上の国から学生が集まってきています。そのため、あらゆる日常会話が異文化交流となるそうです。学生さんにキャンパスツアーを行っていただき、大学の説明だけでなく、この大学に決めた理由やその決定時期、キャリアプランなど様々なお話を聞くことができました。参加生徒も、そろそろ進路選択を決めなくてはならない時期にこのようなお話が聞けたことは貴重であり、ぜひ本人たちの進路選択に役立てて頂きたい所です。
10月1日(水)UAE4日目、この日はドバイで研修を行いました。未来博物館やブルジュ・ハリファ、ドバイ・モールなどの見学や市場調査を行いました。ブルジュ・ハリファは世界一高い建物(828m)で知られており、その124階、125階(地上456m)の展望台の見学を行いました。展望台以外の見学は時間の都合上できませんでしたが、他にも世界一高いラウンジ、世界一高いレストラン、アルマーニホテルなどがこの建物内にあるようです。着工(2004年)から開業(2020年)までわずか6年で建設したことでも有名であり、その建造の記録についても展示されておりました。
午後は伊藤忠大型廃棄物処理施設を訪問しました。ここはUAE政府から依頼を受けて、ドバイのごみ処理を担っており、ごみを焼却するときに発生するエネルギーを利用して発電している施設です。この施設だけでドバイの約半数にあたる、1万5000世帯分もの電力量を賄っているそうです。担当していただいたチョウさんには、発電の仕組みや日本とUAEの土地の違い、ごみ事情の違いなどを説明していただきました。この研修で少しでも東京に還元できることはないか、生徒は真剣になって説明を聞いたり、積極的に質問をしたりしていました。
ホテルに帰ってすぐ、振り返りと明日の高校訪問に向けた最終確認を行いました。前回のENSで上手くいったこと、そうでなかったことをメンバー同士で共有し、説明の英語や盛り上げるにはどうしたら良いかなど全員で相談しました。他校の生徒さん達ともかなり打ち解け、時にはとても楽しく表情豊かに、時には真剣な表情でホテル研修に臨んでいました。
10月2日(木)UAE5日目、いよいよUAE滞在も最終日となり、この日は朝からアブダビへ移動しました。まずはATS高校(Applied Technology Scholls)へ訪問しました。ENSでは圧倒されていましたが、このATSでは堂々とコミュニケーションをとったり、楽しそうにATSの生徒さん達と交流したりといった場面が多く見受けられました。日本やUAEで準備してきた成果を存分に発揮でき、とても充実した時間になったようです。また、学校見学を行いましたが、施設の充実ぶり等に生徒はここでも圧倒されたようでした。建物すべての大きさやコンテナほどの大きさがある3Dプリンタ、その素材にはまさかの昨日訪問したごみ処理施設から出された廃棄物が使われていることなど、これもまた貴重な体験となりました。
その後、グランドモスクを見学し、空港近くで最後の振り返り学習を行いました。ここでは参加した生徒と引率教員が全員発表する時間がありました。この旅で良くも悪くも痛感した事前準備や、積極的に自分からアプローチすること、英語を学ぶことの大切さなど様々な思いを話してくれました。その後、ザイード国際空港から成田空港に移動し、10月3日(金)、成田空港にて解散式を行い、無事に研修が終了しました。
最後になりますが、参加した本校の生徒4人については、この研修前や当初にはなかった積極性や前向きな姿勢が、この研修を通して目に見えるように変わっていくのがはっきりとわかる7日間でした。言語や文化の違う異国の地で様々な人と出会い、触れたことで、言語能力も伸びましたが、それ以上に言語以外の大きな成長が見られたことがとても印象的でした。
これからまだ事後研修等も控えていますが、まずは目の前の中間考査から”パッション”注入して頑張ってもらうこと、そしてその先の進路選択、キャリアプランに今回の経験を自身に生かしてもらいたいと思います。